書評は本当に必要か?

本の発見を促すべき書評。Chicago Sun-Timesが書評欄を廃止するなどの動きが起こっているが、それは書評の新たな場が登場する時期なのかを再考させる。

» 2013年07月19日 14時45分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 Chicago Sun-Timesが書評欄を廃止し、代わりにすべてのエンターテイメントニュースをより華やかなセレブリティ・ライフスタイル欄に統合するという発表は、米国の紙新聞の残念な売上高だけでなく、かつて紙のニュースメディアに購読者が置いていた信頼の現状を代弁している。

 広告収入は引き続き平衡状態で、電子購読とオンライン版は成長し続けているので、プリント版新聞はコスト削減を行う必要があり、まずは読者数や影響が軽微と判断した分野に手を付けたということだろう。

 しかし、これは出版業界にとって大きな損失だろうか。評判が高い書評欄の1つを失うのは本の販売と発見にどのような影響があるだろうか。かつて名声ある書評の拠りどころだった大手新聞の多くは、執筆した著者にかかわらず、自主出版書籍をレビューしないという原則をいまだに守っている。良くて、ファンが称賛してからしばらくして、その成功について記事を出す程度だろうか。書評は本の発見を促すべきもので、読者がすでに知っていることをリポートするためのものではない。

 著者であり、以前Chicago Sun-Timesの編集スタッフだったヘンリー・カイザー氏は、ブログへの投稿で書評欄がなくなったことを嘆いた。「災難が始まった2006年に新聞の書籍欄の編集から引退してよかったと感じています。しかし、活動中の著者として、Sun-Timesの書籍欄がなくなったことはよかったと思いません。現在、能力のある批評家に新刊をレビューしてもらうのは不可能に近いです。Goodreads.comのようなクラウドソーシングによる書評はすべてがうまくいっていますが、そのちょっとした書評はしばしば個人的なもので、十分な情報を提供してくれません」。

 「インディー著者が登竜門に立つ方法を見出す前に従来の書評欄が消えてしまうのは残念です」と話すのは、IndieReaderのエイミー・エーデルマン社長は話す。「もちろん、IndieReader、idreambooks、GoodReadsなど書籍発見ツールとしての役割を果たす代替手段は数多く存在します。しかし、問われるべきは、書評の新たな場が登場する時期なのかということではないでしょうか。読者は良質の本を探す場所を欠いているでしょうか」。

 カイザー氏は、Good e-Readerへのコメントの中で、少なくとも個人出版タイトルに関し、「新聞の書籍欄の(少なくとも残っている)編集者は個人出版書籍が通常の出版社から出版されていなかったので、劣っていると考える傾向があります。一部の個人出版作品は良質で、レビューする価値がありますが、個人出版作品の数があまりにも多く、無価値な作品を選り分けるのが困難です。この状況は変化する必要がありますが、業界はいまだに流動性が高く、何が起こるか予測するのは困難です」と述べ、作品の発見に関する問題の大部分をまとめた。

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