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» 2013年07月01日 15時30分 UPDATE

ソニー、電子書籍とReader Storeの成長について語る

ソニーの電子書籍ビジネスは、今どういった方向に向いているのだろうか。Reader Storeの米国・カナダ担当部長ナターシャ・ヘルビグ氏に聞いた。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 ソニーは海外において、2006年以降電子書籍リーダーを販売しており、何年にも渡り自社の電子書店を運営している。2012年にはその業容を拡大し、英国、日本、ドイツ、オーストリアでストアをオープン、フランス、イタリア、フランスでもオープンを予定している。数週間ごとに、新たなコンテンツ提携とストアへの改良を発表しているソニーだが、今回、われわれは直接同社に取材を行い、その考え方の全容を把握した。

 ソニーは現在、インフォグラフィックスやDiscovory Treesの立ち上げにみられるよう、電子書籍の発見可能性(Discoverability)に高い優先順位を与えている。Reader Storeの米国・カナダ担当部長ナターシャ・ヘルビグ氏は「われわれのチームはこれらの発見ツールに多くの思考と労力を割いており、ユーザーの反応も非常にポジティブです。電子書店の利用者は入手できるタイトルの多さに圧倒されがちで、すでに知っている好きな著者やシリーズを選択しがちです。既読かもしれないほかの書籍にユーザーを関連づけることで新たな書籍に導くという、これまでとは異なる独自の方法を創造したかったのです。レコメンデーションエンジンだけがそれを成し遂げることができますが、とはいえ、書籍そのものと、それらが顧客にとってどう関連するかを知っている人を置き換えることはありません」と説明する。

 ソニーはどれだけ電子書籍の発見に寄与しているのだろうか。「顧客にとっての次の本を発見できるようさまざまな施策を行っており、この夏にも新たな機能を立ち上げようと計画しています。ストアで提供しているアルゴリズムベースのレコメンデーションだけでなく、インフォグラフィックス、Reader Storeブログ、キュレーションされたコレクション、スタッフのお勧めなどのどれを利用しても、新たな書籍と著者を発見してもらうために、チームにはさまざまなジャンルのツールを集約させることに集中しています」とヘルビグ氏。

 2012年10月、ソニーはオンラインブッククラブも立ち上げている。毎月新たな電子書籍作品が選ばれ、読者に本について語る場所を提供するために特別なソーシャルメディアチャネルだ。

 著者も頻繁に登場するこの取り組みについてヘルビグ氏は「顧客が新たな書籍と著者を発見できる新しいエキサイティングな方法をわれわれは常に探しています。Sony Readers Book Clubはわれわれをより緊密に顧客と結びつけ、ともに読書体験に参加することを可能にする素晴らしい体験でした。クラブ向けに数百ものアプリケーションを有しており、オンラインチャットは何百万ものインプレッションを生成しています。新たな著者とタイトルを発見し、顧客と著者の活発なディスカッションを促すこの方法は、今後もユーザーがReader Storeで継続的に目にするであろうテーマです」と述べた。

 かつて電子書籍販売で優先順位が高かったのは、ここ7年間大きく取り上げられてきた専用電子書籍リーダーだった。しかし、ソニーのコア顧客の多くはメディアを消費するためのデバイスをスマートフォンとタブレットに切り替えた。この動きにより、音声、動画、インタラクティブ要素など専用電子書籍リーダーでは提供が難しかったより多くのマルチメディア機能が利用できるようになった。

 最近、(海外の)Reader Store上には新たなEPUB 3セクションが導入され、ユーザーにエンハンスド・イーブックの専用ポータルを提供している。「ソニーは業界標準のEPUBを手厚くサポートしてきたので、埋め込み音声・動画、読み上げ機能を含むEPUB 3をサポートする最初の販売企業となったのは自然な流れでした。最初のEPUB 3タイトルは出版パートナーと密接に連携して作成しましたが、これは共同努力といってよいでしょう。最初は児童書タイトルに集中したのですが、その売り上げは非常に励みになりました。また、われわれが最近発売したXperia Tablet Zは理想的な家庭向けタブレットで、子ども向けエンハンスド・イーブックはその目的にぴったり合致します。今後は、ほかのカテゴリーでもEPUB 3をサポートし、出版社が新フォーマットを使って実験するよう促し、電子書籍のあるべき姿の境界を押し広げる予定です。この革命に参加していることに興奮を覚えます」とヘルビグ氏は話す。

 ここで、ソニーの戦略転換がタブレットを軸にしているのなら、電子書籍リーダーと比較して売り上げがどうなっているのかは気になるところだ。「われわれの顧客のほとんどはデスクトップアプリ(Reader for PC)を利用してコンテンツを購入していましたが、昨年のWebストアの立ち上げ後、顧客のほとんどはWebに移行しました。特に昨年、ソニーのタブレットだけでなくサードパーティー製のタブレットとスマートフォンでも、モバイル向けWebストアでの購入が劇的に伸びました」とヘルビグ氏。

 ソニーは売上高と推定顧客数に関する全体の数字をまったく公表しない傾向にあるが、ヘルビグ氏は電子書籍のどのジャンルの売り上げがよいかヒントを与えてくれた。「小説の売り上げが好調です。人気のあるジャンルはロマンス、ミステリーとスリラー、小説と文学、SFとファンタジー、そしてヤングアダルトです」。

 多くの人に地元図書館の電子書籍貸出サービスを知る機会を提供するなどして広く成功しているOverdriveアプリなど、同社の電子書籍リーダーには特別なサービスが提供されてきたが、ソニーはこれらの特別なサービスに今後、どれだけ注力する考えなのだろうか。

 「顧客が熱心な読者として慣れ親しんでいることをReaderで実現させたかったのです。図書館から書籍を借りることは明らかに選択肢の1つでした。この機能は非常に人気があります。PRS-T2ではEvernoteと協力して顧客が個人のノートブックやWebクリッピングをReader上で読めるようにしました。電子読書は紙書籍の読書体験を上回り、技術によりできることを押し広げる必要があると考えています」(ヘルビグ氏)

 最後に、ソニーは自社プラットフォーム上で雑誌と新聞を展開することについて、検討はしているが、今のところ計画はないと認めた。専用自主出版プラットフォームを立ち上げる計画もないが、自社向けコンテンツをサードパーティが制作するよう働きかけているという。

 また、盛り上がりを見せている短編小説ジャンルについても、ソニーはより多くのタイトルをラインアップするために契約を交わす計画はないという。「北米で電子書籍ビジネスはソニーにとって非常に重要です。数々の素晴らしいエンターテイメントデバイスとサービスを顧客向けに提供しており、電子書籍チームはソニーファミリーの中での役割を果たしています」。ヘルビグ氏はインタビューをこのように締めくくった。

 「ソニーだけでなくサードパーティーデバイスに対してもユニークな発見と読書体験を提供し続けることでわれわれの市場シェアを上昇させるつもりです」(ヘルビグ氏)

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