電子出版社、コンテンツ配信でMicrosoft SkyDriveを利用

ストア側の制限によらず、高解像度ファイルなどを読者に提供する手段として、MicrosoftのSkyDriveを活用する電子出版に目が向けられている。

» 2013年06月17日 17時43分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 多くの電子出版社はほとんどの電子書店がサポートしているファイルサイズを超えた作品を配信する際の問題に直面している。高解像度ファイルはカバーだけでも8Mバイトを超え、ファイル全体では600Mバイトを超えることも珍しくない。出版社が直接電子コンテンツ販売に乗り出す場合、Webトラフィックをさばくための帯域とサーバに多額の投資が必要になる。それならば、Microsoft SkyDriveを活用するという選択肢もある。

 Microsoft SkyDriveはクラウドベースのストレージソリューションで、ユーザーは7Gバイトあまりのストレージにアクセスでき、高速かつ効率的にコンテンツを配信する重厚なサーバクラスタ群を備えている。Complex MagazineとLive NationはMicrosoftと提携してSkyDrive経由でコンテンツ配信を行うに至った。

 SkyDriveが電子出版社と直接契約を行うのは初めてのことだ。Complex Magazineはコンテンツを2つの電子ファイルに分割し、それらはクラウドに保存される。Comlex Magazineは電子保管庫に幾つかのボーナスコンテンツ(過去のカバーも含む)も保存している。Zinio、Appleなどほかのコンテンツ配信企業に対応できるよう各号のファイルサイズを小さくする代わりに、出版社は制限に縛られることなく高品質コンテンツを配信できる。PCビデオ・ゲームが専用機よりも優れたユーザー体験を提供できるのはそのためだ。

 「Complex Magazineが2002年に誕生して以来の愛読者にとって、郵送される雑誌とオンラインで読めるコンテンツの間にはいつも微妙に違いがありました」とComplex Magazineは読者あてのメモの中で伝える。「最新かつ最高のコンテンツをComplex.com上で24時間365日、常に読者にお届けしたいですが、いまだにWebから距離を取りプリント版雑誌をお届けできることに安堵しています」。

 一方、Live Nationは正確には電子雑誌を出版しているわけではないが、SkyDrive経由で画像と動画を配信している。Ke$ha、Pitbull、Rascal Flatts、Big Time Rush、Victoria Justiceなどのアーティストは自らのSkyDriveアカウントを使って配信を行なっている。

 Complex MagazineとSkyDriveの金銭面での契約詳細は明らかになっていない。しかし、Microsoftが無料コンテンツ配信の支配を強化する一手段としてSkyDriveを利用するように、より多くの雑誌に働きかける可能性はある。

Copyright© 2015 Good E-Reader. All rights reserved.

(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。