インタビュー
» 2013年06月12日 08時00分 UPDATE

まつもとあつしの電子書籍セカンドインパクト:電子書籍を盛り上げるコミュニケーション――「LINEマンガ」の取り組みを聞く (1/3)

2013年、電子書籍は新たな局面に直面していた。そんな変化の最前線を行く人々にその知恵と情熱を聞くこの連載。今回は、リリースから1カ月で100万ダウンロードを突破しさらに突き進む「LINEマンガ」の担当者、村田朋良さんに聞いた。

[まつもとあつし,ITmedia]
LINEマンガ LINEマンガ

 4月9日にリリースされた「LINEマンガ」は出版業界に少なからず衝撃を与えた。国内4500万人以上、全世界では1億7000万人という巨大なユーザーを抱えるコミュニケーションサービス「LINE」。昨年プラットフォーム化を発表し、ゲームなどを中心にコンテンツサービスを拡充してきたが、遂に電子書籍にその食指を伸ばしたのだ。

 すでに100万ダウンロードを超えたというLINEマンガ。スタンプを始めとしてLINEとの連携をどう図るのか、何故マンガだけに特化しているのか、など気になる点を担当者の村田朋良さんにぶつけてみた。


タイトル数では競わずコミュニケーションを重視

村田朋良さん LINEの村田朋良さん

―― 現在多くの電子書店がタイトル数(10数万点前後)の充実を競う中、LINEマンガはその名の通りマンガに特化して(約3万5000点)展開しています。その理由は?

村田 世界を視野に入れたとき、日本のコンテンツとして最も充実していて、かつ発信力があるジャンルと言えばやはりマンガですので、まずはマンガからチャレンジしていこうということになりました。

 また、LINEゲームでは、ゲームそのものをやりこむというよりは、これまでスマホでゲームをやってこなかったライトユーザーに、LINEの友だちとのコミュニケーションのひとつの手段として、積極的にゲームを楽しんでもらえています。そこで培った、ライトユーザーにも楽しんでもらうためのノウハウを生かしやすいのもマンガだという判断がありました。

tnfiglineint006.jpg 開始12日で全世界1000万ダウンロードに達したLINE POP。友だち同士で点数を競い合ったり、ゲームのプレイ回数を加算できる「ハート」を贈ることもできる

―― 確かにLINEマンガにも、友だちにマンガを薦めることでマンガの購入に使用できるポイント(ボーナスコイン)が得られる仕組みが備わっていますね。文字ベースの作品ではそういったコミュニケーションは成立しづらいのでしょうか?

村田 マンガだと話題の新刊が出たときにそれを話題にしたり、週刊誌の発売日にそれを友だち同士で回し読みしたりと、コミュニケーションがリアルな場で活発に行われていますよね。そのコミュニケーションが、LINEというプラットフォームに親和性が高いと考えました。

 LINEゲームでは、自分の記録した得点を友だちとすぐ共有でき、コミュニケーションが自然かつ、スピーディに生まれています。その感覚は読了までに比較的時間がかかる小説より、読み終わるまでの消費のスピードが非常に早いマンガのほうがより実現しやすい。実際にLINEマンガでは毎日1万冊以上のマンガがトークやホームで共有され、マンガを介したコミュニケーションが非常に活発に行われています。成立しづらいというよりは、マンガのほうがLINEにより適していると判断したので、マンガに特化したサービスにしました。

tnfiglineint001.jpg トークやホームのタイムラインがマンガの話題で埋まることも

―― そういう意味では、いわゆるガラケー時代の電子マンガのように、エピソード単位で作品を提供することは考えられなかったのでしょうか? より消費のサイクルが早くなるのではないかと思うのですが?

村田 さまざまな議論はありましたが、現在の市場のトレンドにあわせた電子書籍の配信フォーマットを採用しています(編注:LINEマンガはメディアドゥの汎用コンテンツ配信エンジンを採用している)。配信フォーマットで差別化を図ることに重きを置くのではなく、LINEとの連携機能を充実させて、どのようにコミュニケーションを実現するかという点で差別化を目指しています。

 また、コンテンツは標準的なフォーマットですが、ページ送りのしやすさやローディングのスピード、続刊レコメンドなど、ユーザビリティを高めることには拘りました。

 LINEマンガでは、友だちにマンガをお薦めする場合、特定の友だちに直接「トーク」で薦める方法と、自分の友だち全員に「ホーム」を通じて薦めする方法の2種類があります。比率としてはトークでお薦めされることが多いのですが、ホームも合わせると、1日に数万冊のマンガがLINEを通じてレコメンドされています。

 そうやって活発にお薦めされたマンガが実際に購入されるコンバージョンも徐々に高まってきていて、コミュニケーションがマンガの購入につながっているという手応えを感じています。LINE上の友だちからのレコメンデーションと、電子書籍ならではの立ち読みの仕組みが功を奏しているのではないでしょうか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia Book Club会員登録がまだの方はこちら

電子書籍/紙を問わず、読書を愛する皆さまに向け、特別な情報提供、書籍の献本、著者や業界関係者との懇親会、執筆活動を検討されている方へのサポートなどを順次提供し、皆さまの読書を強力にバックアップします。

コンテンツパートナー

新刊JP
ラノコミ.com
hon.jp
新文化通信社
Good E-Reader Blog
ぶくまる