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» 2013年06月07日 16時45分 UPDATE

EPUB 3、活用への道半ば

電子書籍の標準的なフォーマットとして普及が進むEPUBだが、グローバルでみればEPUB 3に対して慎重な姿勢を崩さない向きは多い。何がネックになっているのだろうか。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 毎年、Book Expo Americaの前には、IDPF(International Digital Publishing Forum)が2日に渡って年次会議を開催している。この年次会議では、電子書籍の世界を揺るがすすべてのプレーヤーたちが集まり、パネルディスカッションを行ったり、電子書籍と将来のフォーマットにまつわる諸問題について話したりする。DAISYコンソーシアム、IDPF、W3CからはEPUB 3の現状が広く語られ、スピーカーたちは出版社がこのフォーマットを採用するよう説得に努めていた。進ちょくはあったものの、本気で採用が行われるには至っていない。

 われわれがコンタクトしたほぼすべての出版社がEPUB 3を採用するのに慎重な姿勢を崩さないでいる。このフォーマットについて説明しておくと、HTML5から多くの要素を取り入れており、音声・動画に対応し、言語を一瞬で変更できる。インタラクティブコンテンツ、子ども向けの本、料理本などメディアを中心とするコンテンツで利用したい向きには誰にでも基本的なレベルで確実に訴求している。

 主な問題としてはEPUB 3の最高の機能のどれもいまだに標準化されておらず、フォーマットが完全なものになりそうではないことだ。例えば、辞書類はいまだに開発中で、完全に統合されていない。つまり、利用者に英語、フランス語など多くの言語で、単語の検索をしてもらいたければ、自社開発するしかないということだ。辞書類は今年中に実用化されるめどが立っていないとも聞く。

 また、ノート、ハイライト、引用などをほかのユーザーと共有することもできない。W3Cの作業部会がこの問題に取り組んでいるが、リリース予定日は公表されていない。特定市場のユーザーにのみコンテンツへのアクセスを許可したい場合に役立つジオロケーション機能も未実装だ。BBC、Microsoft、Googleなどの企業は現在、自社コンテンツを保護し、国ごとに出版著作権が確実に保護されるようにジオロケーションに関するロビー活動を行なっている。

 EPUB 3で実験を行なっている出版社は「Readium」になじみがあるかもしれない。これはEPUBのリファレンス実装を目指すOSSのツールだが、現在、Readiumプロジェクトは大規模なエンハンスメントを8月にリリースしようとしている。AndroidやiOS向けに利用できるSDKもそこでリリースされる見込みだ。固定ページレイアウト、動的ページ割り付け、埋め込みフォントなどの機能も実装される。この新バージョンのReadiumが公開されると、旧版のChromeプラグインは公式に廃止される予定だ。

 EPUB 3が検討されている中、業界の大部分はいまだにEPUB 2を利用している。あるセッションの後、コミック出版社Dark Horseの関係者と話す機会があったが、彼らは新フォーマットに後方互換性があると聴いて驚いていた。多くの企業はEPUB 3フレームワークを導入した場合、旧バージョンでフォーマットされたファイル、書籍、コミックをすべて再編集しなければならないといまだに思っている。EPUB 3には後方互換性があるので、その必要はない。

 EPUB 3、HTML5、専用アプリとそれらが出版パイプラインにどのようにフィットするかについてさらに知りたければ、われわれがフォーマットの標準化を試みる大手出版社・企業・団体にインタビューした3部に渡る記事がある。パート1パート2パート3を読めば、それぞれのフォーマットに対して関係者が持っている認知がどのようなものなのか理解を深めることができるだろう。

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