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» 2013年04月11日 16時24分 UPDATE

Amazon、Goodreadsを買収――次は?

3月にAmazonがソーシャル読書サービスを手掛けるGoodreadsの買収を発表した。この買収が出版社、著者、読者にとって何を意味し得るのか、自主出版サービス大手Smashwordsの創始者でCEOのマーク・コーカー氏が語った。

[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 AmazonによるGoodreads買収に関する公式プレスリリース(と記者会見)は、これまでのところ、ニュースに取り上げられる機会を得ている。また、それ以上ではないにせよ、同程度の数の読者たちがソーシャルメディア上でこの買収への懸念や批判を共有している。しかし、驚くような反応が自主出版サービス大手Smashwordsの創始者でCEOのマーク・コーカー氏から飛び出した。コーカー氏はGoodEReaderの質問に答えて、この買収が出版社、著者、読者にとって何を意味し得るのかについて語ってくれた。

 この手の買収が書籍の発見可能性(Discoverability)に対してどう影響するかを聞いたところ、「実際には本のファンにとって肯定的な機会になると感じました」とコーカー氏。続けて、以下のように話す。

 これはAmazonにとって、幾つかの理由で素晴らしい買収になります。同社は、顧客とインディー系著者の双方とより密接な関係を築くことができます。この2者こそ出版の未来ですから、これは重要なことです。新規顧客と著者を獲得する上で、Amazonはリードしたといえるでしょう。また、買収により、Goodreadsが競合の手に落ちるのを防ぐことができました。

 書籍の発見可能性という点でも、Amazonは数年のリードを獲得しました。AmazonとGoodreads両方の性質を兼ね備えた、これほど深みのある発見可能性情報へのアクセスを持つ小売企業をわたしは知りません。

 Amazonは今回の買収により、読者と読者が読みたい書籍をマッチさせる、あるいは、販売プロモーションを行うに値する書籍を識別するためのより良質なデータを手にしました。これは著者と出版社を満足させるでしょう。Goodreadsが抱える数百万人の読者は、Amazonの潜在顧客となり得るユーザーでもあります。GoodreadsはAmazonの商品販売用リンクを、AmazonはGoodreadsのレビューとGoodsreadのソーシャル機能を取り込むことで多くのチャンスが生まれるのではないでしょうか(コーカー氏)。

 読者がAmazonとGoodreads双方に対して抱く主な懸念点の1つがレビューの正当性だ。コーカー氏は、買収によりAmazonとGoodsreadsが本物のレビューをサポートするのではないかという楽観的見方を示している。

 レビューについてはどちらの企業を非難する気もありません。本の発見に関して最も人気のある2つのサイトですから、不正にレビューを獲得しようとする人にとっては最も大きなターゲットです。どちらかといえば、Amazonは利用できるデータが増えたので、より容易に不正行為を行う人を検知し、隔離し、除去できるでしょう。例えば、Goodreadsである本の100人のレビュワーによる平均レビュー点が3つ星で、Amazonで20人の一群のレビュワーによる平均レビュー点が5つ星だったとすると、Goodreadsのデータでは5つ星の本ではないとされているので、何か不適切な点があることが分かるでしょう(コーカー氏)。

 コーカー氏の反応はAmazonによるGoodreads買収を支持するものだが、買収に関してそれほど楽観的ではない消費者と読者の反応は控えめだ。このニュースに対してソーシャルメディア上で即時に巻き起こった批判は、「Amazonが最も有名な書籍発見用サイトの1つを買収することで再び『悪の帝国』を築こうとしている」というものだった。このことに関するコーカー氏の見解はこうだ。

 幾つかの変化を目にすることになると思います。ソニーとKoboは、Goodreadsのレビューを利用しているので不利な状況です。信頼の置けるパートナーだったGoodreadsは今や鶏小屋の中の狐のような存在になってしまいました。ソニーやKoboはレビューに対するコントロールを失ったといってよいでしょう。

 Amazonの競合企業がGoodreadsに提供するブランディング上の利点――あるいはGoodreadsに依存する貴重な顧客――は、Amazonを利することにしかなりません。これらの小売企業は早くGoodreadsの利用を停止する必要がありますが、Goodreadsがなければ、レビューのない書籍も多く出てくるでしょうから、容易ではないでしょう。

 KoboとソニーがGoodreadsを利用し続けることは、Amazonの発見可能性データに貢献することを意味し、Amazonを利することになります。とはいえGoodreadsの利用をやめれば、レビューは質・量ともに低下し、結果、顧客と顧客が求める書籍をマッチさせる機能が低下するので、これもまたAmazonを利することになります。幸運にも、AppleとBarnes & Nobleは自社でレビューを保有しています。

 長期的には、GoodreadsとAmazonはより密接に統合するでしょう。Amazonはほかの小売企業の競合する商品販売用リンクの締め付けを開始するのではないでしょうか。Amazonが競合企業の商品販売リンクを除去したり、不利な状況に追い込んだりし始めるのは必然です。通常のアフィリエイト関係に加えて、それらの企業から利用料金を徴収することなども考えられるでしょう。これはつまり、書籍が競合企業から販売されても、Amazonはその売り上げの分け前を獲得する側にいるということです(コーカー氏)。

 Goodreadsで書籍を発見されることで恩恵を受ける著者の視点からすると、著者は恐らくKDPにより深く取り込まれていくのではないだろうか。また、Amazon独自のプログラムであるKDP Selectに書籍をリストする著者のインセンティブが増加するのではないだろうか。例えば、KDP Selectの著者がKDP Selectに参加する特典としてGoodreadsでの発見可能性を高めることを提案されるといったことを想像してほしい。これによりAmazonの狙い通りに競争の地平はさらに傾き、インディー系著者の書籍を引き寄せる競合企業の能力を削ぐ可能性がある。

 (Goodreads買収が発表された日は)Amazonにとって素晴らしい日で、Goodreadsの信じられないほど素晴らしいチームにとってはふさわしい報酬となりました。しかし、Amazonの競合企業にとって、幸福な日とはいえません。この買収によりAmazonの競合企業は自社のM&A戦略の見直しを迫られるかもしれません。Barnes & NobleやApple、KoboはAmazonから自社を遠ざけておくためだけにでもGoodreadsを買収したかったと考えているのではないかとすら思えます(コーカー氏)。



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