インタビュー
» 2013年03月04日 14時00分 UPDATE

写真家・青山裕企の原点とは――青山裕企さんインタビュー (1/3)

スクールガール・コンプレックスでも話題の気鋭の写真家・青山裕企さんのロングインタビュー。

[新刊JP]
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 「3・11」からしばらく経ったとき、ある写真がTwitter上を飛び回った。それは、サラリーマンたちがジャンプしている写真。しかも、とても躍動的で、面白い。その写真には、「元気が出た」という声が添えられていた。

 撮影者は、気鋭の写真家・青山裕企さん。跳んでいる人を写す、いわゆる「ジャンプ写真」を1998年から撮影し続けてきた。いわば、写真家としての原点だ。そして、青山さんはそういった声に突き動かされ、再びジャンプするサラリーマン=ソラリーマンを撮影しはじめた。

fhfigsj151.jpg 前作に掲載された“ソラリーマン”(撮影/青山裕企)

 新作写真集『跳ばずにいられないっ! サラリーマン ジャパン・ツアー』(青山裕企/著、徳間書店/刊)は、日本各地の“ソラリーマン”たちのカットを収録した躍動感溢れる一冊。青山さんのロングインタビューを行った。

(新刊JP編集部/金井元貴)

写真家・青山裕企が写真を撮影するようになったきっかけとは?

―― 青山さんが新刊JPのインタビューに答えていただくのは『つきあいたい』(扶桑社)以来で、あの時は女の子の写真集だったんですよね。で、今作は働く男たちが被写体になっている写真集ですが、ページを開いてみて、ものすごい躍動感がある写真ばかりで、見ていて楽しくなりました。ジャンプって楽しそうだな、と。こうした写真を撮影されるようになったきっかけについて、まずは教えてもらえないでしょうか。

青山さん(以下敬称略) 僕が写真家として活動している中で、『スクールガール・コンプレックス SCHOOLGIRL COMPLEX』という女子高生を被写体にした作品と、『ソラリーマン』という今回のシリーズですね、それを2本立てで進めています。『ソラリーマン』は3年前にピエ・ブックスから出版しておりまして、この『跳ばずにいられないっ!』はシリーズ2冊目になるのですが、実はジャンプ写真は趣味で撮り始めたころからずっとやってるんですよ。

―― 撮り始めたころからですか!

青山 今、僕は34歳なんですが、20歳のときに大学を休学して、一人で自転車に乗って日本縦断旅行に出たことがあったんです。なぜ旅に出たのかというと、自分に自信がなくてなんとか自分を変えたいと思ったからなんですが、その旅行にカメラを持っていって、旅先で写真を撮影していたんですね。で、記念を残そうということで、セルフタイマーで自分を写したりするんですが、観光地に自分が突っ立って写っていても何も面白みがないじゃないですか。だから、ちょっと跳んでみようと思ったんです。なぜだか分からないけれど。

―― とりあえず跳んでみよう、と。

青山 三脚にカメラを付けてタイマーで撮影するんですが、立ったまま数秒待たないといけないんですよね。それがいてもたってもいられなかった(笑)。で、何か跳んでみて、その写真を見てみると面白い。こんな跳び方してたのか、とか、こんな顔してたんだ、とか。自分を自分で見てはじめて面白いなと思いました。

 それで、旅行を終えて大学に復学した後も、今度は日常の風景の中で写真を撮ろうと思いまして、まずは自分がいろんな場所でジャンプをしている写真を撮っていたんです。大学の構内とか、近所の公園とか。誰かに声をかけてもよかったんでしょうけど、人見知りなので(笑)。それを友だちに見せていると、『何か面白いね』『今度撮ってよ』っていう風に言われるようになるんですよ。

 だから、自分に自信がないところから撮り始めた写真を通して、自分ができていった感覚ですね。さらにその写真を通して、友だちや他者とのコミュニケーションもとれるようになって、気になる女の子の写真を撮影したりとか(笑)。そういう意味では、ジャンプ写真は本当に自分の原点です。写真を撮影し始めてからずっと撮っていますからね。

―― まさしく写真家としての原点ですよね。

青山 そうですね。今でも自分の中では写真=ジャンプ写真みたいなところがありますね。ジャンプ写真ってシャッターひと押しで何度でもおいしいんです。まず、撮っている現場が面白いですよね。シリアスな雰囲気の写真を撮っているわけではないですから。

―― 撮影する際に「こう跳んでください」とお願いすることはあるのですか?

青山 いや、ないです。ソラリーマンはポーズを決めていません。『跳んでください』とお願いするんですが、どう跳んでいいのか分からないからちょっと困った顔をする人が多いんですよ(笑)。でも、それが良かったりするんですよね。

―― それで、自由に跳んでもらうわけですね。

青山 そうですね。すると、その人らしさが出てくるんです。最初に自分がタイマーを使って写真を撮影したときに、やむにやまれず跳んでみたときに表出していた自分らしさというか。それが誰にでも出てくるように思えるんですよ。

―― ジャンプしている皆さん、表情がいいなと思いました。

青山 そうなんですよね。写真を撮られ慣れている女の子は自分のキメ顔を知っているのですが、跳ぶと意識がどうしてもそっちに取られるので、素の表情が出やすいんです。本人はもしかしたら変な顔になっていると思うかもしれませんが、実は周囲から見れば良い表情しているよねってなるんです。

fhfigsj151-2.jpg 前作に掲載された“ソラリーマン”(撮影/青山裕企)
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