インタビュー
» 2013年01月07日 16時15分 UPDATE

どんな時代でも、お化け屋敷が流行る理由とは?

『お化け屋敷になぜ人は並ぶのか』の著者で、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんインタビュー。

[新刊JP]
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 世の中にはいろいろな職業がありますが、“お化け屋敷プロデューサー”という仕事があることをご存知ですか? 本を紹介するポッドキャスト番組「新刊ラジオ第2部」では、『お化け屋敷になぜ人は並ぶのか』(角川書店/刊)という本を執筆されたお化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんにインタビューを行いました。

fhfigsj043.jpg どんな時代でも、お化け屋敷が流行る理由とは?

矢島 今回は、お化け屋敷をプロデュースすることとはどういったことなのか、また、現代のお化け屋敷はどのような形になっているのかを伺っていこうと思います。早速ですが、お化け屋敷プロデューサーとはどのようなお仕事なのでしょうか。

五味 あまり聞きなれない言葉なので、どういう仕事なのかイメージが湧きづらいと思います。簡単に言ってしまえば、お化け屋敷のすべてを作る仕事です。すべてというのは、設定、ストーリー、演出、図面、それから、造型・衣装さんへの発注といった制作進行ですね。最終的には現場に入って配置を行い、キャストのトレーニング、スタッフへの運営教育も行います。こういった“ものづくり”と“運営”、両方を監修します。

矢島 五味さんがはじめてお化け屋敷にかかわったのは、1992年の『麿赤児のパノラマ怪奇館』だと思いますが、その当時から、こういったプロデューサーの役割を担う方はいらっしゃったんですか。

五味 僕の知る限りではいなかったんじゃないかと思います。お化け屋敷は、会社組織で作ってきたものなので、ある個人がお化け屋敷全体をプロデュースするようなことはなかったんじゃないかなと思います。

矢島 僕らの世代(30代〜)がイメージする“お化け屋敷”というと、順路に沿って進んで飾られているお化けを見たり、仕掛けに驚いたりするといった“展示されたものを見る”というものです。五味さんがプロデューサーとしての役割を担うようになって、これまでになかったようなスタイルが次々とできてきましたね。

五味 僕のスタイルは特徴が3つあるかなと思っていて、1つはキャスト(人間)が出てくることです。これは昔にあったスタイルなんですけど、僕が始めた1992年ごろはほとんどなかったんですよ。メカで動くものが大半で。それをもう一度、やっぱり人間が驚かす方が恐いんじゃないかと思って据えてみました。

 もう1つがストーリーを作るということです。お岩さんの隣にろくろ首がいて、その次は雪女が出てくる……っていうと、脈絡がないものを見て回ることになってしまいます。そこで、お化け屋敷そのものにストーリーを設定することで、それぞれのシーンがつながって物語の展開を楽しめるようにしました。

 3つ目が、お客さまをストーリーに参加させるということです。1996年に『赤ん坊地獄』というお化け屋敷をやりました。これは、入り口でお客様に赤ん坊の人形をお渡しして、“これを出口にいるお母さんに届けてほしい”という任務を与えるんです。お化け屋敷の中では、赤ん坊を奪おうとする魔物が襲い掛かってきます。お客さまはストーリー(や仕掛け)に近づきたくないんだけど、任務があるから否が応でも参加さざるを得なくなってしまうというわけなんです。

矢島 僕の知るお化け屋敷とは全然違いますね。正直、お化け屋敷って“子どもだまし”のようなイメージもありましたし、わざわざ恐い目に遭いたくないと思っていましたけど、今お話を聞くと、そんな面白そうなお化け屋敷があるのなら行きたくなってしまいます。では、最後にお聞きしたいのですが、来場客は、“わざわざお金を払ってまでして恐い思いをしたい”という、一見不思議な感情でやってきます。エンターテインメントとして、恐怖を楽しんでもらうという点について意識していることはありますか。

五味 本当に恐いものには、人はそんなに来ないと思うんですよ。死ぬかもしれないとか、入ったら祟られるとか、そんなものには誰も来ませんよね。お化け屋敷について言えば、絶対的な安全が保障された場所で、あるうまい仕掛けを行うと、恐怖はエンターテインメントに変わっていきます。人間には、“恐怖”が“楽しい”感情に変わる瞬間というものがあって、お化け屋敷の中で凄く恐い思いをしていても、パッと出て安心した後には、楽しいと思っていただけるんですね。ですから、恐怖がなぜ人を惹きつけるのかというと、そこには楽しさがあるからだと思います。普通はネガティブに考えられがちな恐怖を扱っているので、特殊な感じはするんですが、エンターテインメントとして根本にあるものは同じだと思います。

矢島 恐怖という緊張感や不安があるからこそ、その先にある楽しさがいっそう大きなものに感じられて、多くの人が夢中になるのでしょうね。ありがとうございました。

(Podcast番組「新刊ラジオ第2部@プレミアム」今週のスゴい人のコーナーより)

(新刊JP編集部)

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