エプソンの新技術、Plastic Logicのディスプレイを進化させる

折り曲げられるプラスチック製ディスプレイの研究開発を進めるPlastic Logicとエプソンが提携。エプソンのEPDコントローラーが柔軟性のあるディスプレイの登場を加速させるか。

» 2012年11月30日 16時57分 公開
[Sovan Mandal,Good e-Reader Blog]
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 エプソンは1〜5インチのディスプレイパフォーマンスを最適化することを目的としてPlastic Logicと提携した。Plastic Logicは折り曲げられるプラスチック製ディスプレイの研究開発で最先端を行っており、エプソンとの提携によりそうしたディスプレイの実用が早まるだろう。

 では、いかにしてそれを達成するのか。エプソンはマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(EPD)を制御するのに必要なすべての部品を1つのモジュールに詰め込んだユニークなコントローラーを開発。S1D13541と呼ばれるこのEPDコントローラーは「白黒16階調を表示するのに同時に利用できる」4つのディスプレイパイプラインを採用する。これが意味するのはエプソンのコントローラーを搭載したPlastic Logicのディスプレイがヘルスケア、自動車産業のディスプレイからモバイルデバイスに至るまでさまざま分野に応用できるということだ。

 「Plastic Logicの多目的ディスプレイソリューションはプラスチック素材をベースにしており、顧客は応用分野を改善できるだけでなく、柔軟性のあるディスプレイを搭載した腕時計から大面積のサイネージに至るまで完全な新製品を開発することもできます。エプソンとPlastic Logicの提携を発表でき光栄です。この提携は1〜5インチサイズの柔軟性のあるプラスチック製ディスプレイに集中し、S1D13541を利用するソリューションの開発につながっています。これはモバイルデバイスを含むさまざまな応用分野に大きな利点を提供し、新製品デザインのアプローチに自由さを与えます」とPlastic LogicのCTO、ピーター・フィッシャー博士は説明した。

 提携に関して、EPSON Europe ElectronicsのIC部門マネジャー、マンフレッド・ウィトマイヤー氏は「近年、エプソンは特に電子書籍関連顧客向けのユニークなEPDコントローラーの開発に集中してきました。われわれの次の目標は工業分野とそれ以外に可能性がありそうな分野も含めて製品レンジを拡大することです」と語った。

 「S1D13541モジュールを利用するマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイはシンプルな方法で、複雑な技術の学習プロセスを経ることなくEPDベースのアプリケーション開発を行いたいあらゆる顧客向けの理想的なソリューションです」。

 大量生産される可能性のある製品はまだ現実には存在していないが、Plastic Logicはプラスチック製ディスプレイの研究開発に長く携わってきた。大きな反響を得ることはできなかったが、同社は昨年ロシアで電子書籍リーダーをリリースした。その後、Plastic Logicは電子書籍リーダーの製造と販売を中止し、ほかのメーカーとのライセンス契約のみ継続すると発表した。

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