ラボでの開発が進む未来のディスプレイ

薄くて軽くて柔軟性を備えたディスプレイの登場が待たれる。

» 2012年11月30日 16時40分 公開
[Sovan Mandal,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 Good e-Reader Blogの仕事を続けていると電子書籍リーダーのプロトタイプに出くわすことが少なからずある。そうしたプロトタイプからは、デバイスが近い将来どういう方向性に進むのかを垣間見ることができる。


 最近出くわした最新のモックアップは米国オハイオ州にあるシンシナティ大学のThe Novel Devices Laboratoryが制作したものだ。ラボを率いるエンジニアのジェイソン・ハイケンフェルド氏はこのプロトタイプに大きな期待を寄せている。同氏によると動画再生を快適にこなせるページ送り速度と豊かなカラーディスプレイを実現しているというが、この2つの特性は現在市場にある電子ペーパーベースのリーダー端末に欠けているものだ。

 そのプロトタイプはこれまで見たことのある――非常に薄く雑誌や新聞のように巻くこともできる――ディスプレイを思い出させる。ハイケンフェルド氏は柔軟性を約束しつつ、「巻いたりポケットの中に収納できるiPadのようなものを作りたければ、これこそがそのようなブレークスルーを可能にする技術」だと話す。

 このプロトタイプのリフレッシュレートは67fps(Frames Per Second)で、動画再生に十分なスピードを確保しつつ、非常に薄く軽いという。モバイルデバイスで課題となっているもう1つの分野がバッテリーの持続時間だが、このプロトタイプはエネルギー効率が良くその点でも優れているという。

 ディスプレイは優れた反射性を持つ多孔性アルミニウムコーティングによって補強された白いプラスチックの薄いシートから成り、細孔がプラスチックシートの前面に押し出されるインクの流れをスムーズにしている。ハイケンフェルド氏によると、背面にアルミニウム層を持つ白いプラスチックが素晴らしい色彩の再現を可能にする肝だという。同氏はこのプロトタイプを暗い下層の色を効果的に隠すことができない現在の電子書籍リーダーと対比して、「自分の家の黒い壁を白く塗りたければ、下塗りが必要なことは分かるでしょう」と語る。

 液晶ベースのタブレットでは難しい直射日光下での可読性も損なっていないのも利点だ。ハイケンフェルド氏は「iPadのディスプレイの多くの利点を獲得しながら、日光下でも利用できます」という。

 もっとも、このディスプレイを搭載した電子書籍リーダーやタブレットがすぐに登場するという見通しに熱を上げ過ぎるのは禁物だ。技術が成熟し利用可能な製品になるにはまだ何年もの研究が必要だからだ。

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