楽天Koboの新型電子書籍リーダー「kobo glo」を使ってみた(1/2 ページ)

Koboが11月15日から発売した電子書籍リーダー「kobo glo」。端末の高解像度化とフロントライト付きというトレンドを抑え、microSD/SDHCスロットを搭載する同端末の実力は?

» 2012年11月27日 08時00分 公開
[鷹野 凌,ITmedia]
kobo glo kobo glo

 楽天の子会社Koboが11月15日から日本国内への出荷を開始した、新型の電子書籍リーダー端末「kobo glo」。今回はこちらのレビューをお届けする。

 電子書店「koboイーブックストア」は7月19日にオープンしており、「これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――楽天koboイーブックストア」で詳細に解説したので、本稿ではkobo gloの使用感という点に絞って「開封の儀」と実機レポートをお届けする。なお、オープン時に発売された「kobo Touch」のレビューも合わせてお読みいただくことで、kobo gloがどのようにブラッシュアップされたのかもつかんでいただけるだろう。

 海外ではAmazonがKindle Paperwhiteなどを発表した同日に、Koboもkobo gloのほか、kobo mini、kobo arcの3製品を発表。カナダや米国では日本に先行して販売されており、価格は129.99ドル。同じモデルが日本では7980円。現時点での為替レート(1ドル82.4円)で換算すると、日本では2730円ほど安く販売されていることになる。先日レビューしたKindle Paperwhiteと同価格のこの製品は、ハードウェア販売での収益ではなく、継続的なコンテンツ販売による中長期的での収益化を想定した戦略的な値付けとなっている。

開封の儀

箱表面 箱表面
箱裏面
箱を開けたところ
同梱品一覧 同梱品一覧
表紙込み48ページのマニュアル

 kobo Touchには非常に簡素なマニュアルしか付いておらず、うまくセットアップできない方が多数発生したため急きょ24時間体制の電話サポート体制を採ったことは記憶に新しい。kobo gloではその経験を生かし、懇切丁寧なマニュアルが1冊付属している。人間がやることには必ず失敗がついて回るが、同じ失敗を繰り返さないというのは大切なことだ。

本体前面
本体裏面
本体上部。右から電源スイッチ、電源ランプ、フロントライトスイッチ
本体底部。中央にmicroUSBポート
本体左側面。底部に近い位置にmicroSDカードスロット
本体右側面には何もない

 Kobo Touchにあったホームボタンは廃止され、物理ボタンは本体上部の電源スイッチとライトのボタンのみ。操作はすべて画面をタップして行う形になっている。また、電源スイッチはKobo Touchで採用されていた金属からプラスチックに変更されており、裏面はキルト状パターンだが凹凸加工ではなく溝が彫り込んであり、特に滑りやすいということもなく、きっちりホールドできる。

スペックを比較してみた

 16階調グレースケール電子ペーパーディスプレイ、6インチのディスプレイサイズ、光学式クリアタッチパネルと、従来国内で販売されてきた電子書籍リーダー端末と共通点も多い。kobo gloが従来の端末と比して明確に優位な点は2つ。フロントライトが搭載されており暗い場所でも読めることと、解像度が高い点だ。これらの端末のスペックを比較したものが以下の表だ。

端末 kobo glo Kindle Paperwhite Kindle Paperwhite 3G Kobo Touch PRS-T2 BookLive! Reader Lideo
114ミリ 117ミリ 117ミリ 114ミリ 110ミリ 110ミリ
奥行き 157ミリ 169ミリ 169ミリ 165ミリ 173ミリ 165ミリ
厚さ 10ミリ 9.1ミリ 9.1ミリ 10ミリ 9.1ミリ 9.4ミリ
重さ 185グラム 213グラム 222グラム 185グラム 164グラム 170グラム
解像度 758x1024 758x1024 758x1024 600x800 600x800 600x800
ライト 内蔵型LEDライト 内蔵型LEDライト 内蔵型LEDライト クリップ型LEDライト(別売り) なし なし
内蔵メモリー 2Gバイト 2Gバイト 2Gバイト 2Gバイト 2Gバイト 4Gバイト
使用可能領域 1Gバイト 1.25Gバイト 1.25Gバイト 1Gバイト 1.3Gバイト 3Gバイト
外部記憶装置 microSD/SDHC(最大32Gバイト) なし なし microSD/SDHC(最大32Gバイト) microSD/SDHC(最大32Gバイト) なし
通信方式 IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n 3G(無料)、IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n WiMAX(無料)、IEEE 802.11b/g/n
バッテリー持続時間(メーカー公称) 最長1カ月(ライトオン、Wi-Fiオフで1日30ページ) 最長2カ月(明るさ設定10、Wi-Fiオフで1日30分) 最長2カ月(明るさ設定10、Wi-Fiオフで1日30分) 最長1カ月 最長2カ月(Wi-Fiオフで1日30分)
対応ファイル形式(電子書籍) EPUB、PDF、RFT、TXT、HTML、MOBI AZW3、TXT、PDF、MOBI、PRC AZW3、TXT、PDF、MOBI、PRC EPUB、PDF、RFT、TXT、HTML、MOBI .mnh、XMDF、.book、EPUB、PDF、TXT EPUB、.book、XMDF
対応ファイル形式(画像) JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、CBZ、CBR JPEG、GIF、PNG、BMP JPEG、GIF、PNG、BMP JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、CBZ、CBR JPEG、GIF、PNG、BMP
販売価格 7980円 7980円 1万2980円 6980円 9980円 8480円
左がKindle Paperwhite、右がkobo glo
左がKindle Paperwhite、右がkobo glo

 kobo gloのスペックはKindle Paperwhiteと非常に近い。Kindle Paperwhiteと比べ幅・奥行きは若干小さくなっているが、わずかに厚い。しかし重さはkobo gloの方が30グラム近く軽いので、実際手にとってみるとかなり違いを感じる。

 Kindle Paperwhiteと比較した端末の優位点は、幅広いファイル形式に対応している点と、microSD/SDHCで最大32Gバイトまで拡張できること。前者は、上述の表をみても分かるように、Kindle用フォーマットであるmobi形式への対応を始め(レイアウトが若干崩れる場合は、フォントをモリサワフォントに変更すると改善する)、Kindle Paperwhiteを上回っている。いわゆる「自炊」用の端末としてはもってこいだろう。

 ベゼルからパネルまでの厚さはKindle Paperwhiteと比べると、明らかに幅があり、ベゼルに近い部分のパネルをタップしづらいのはkobo Touchとkobo gloに共通している。ソニーのPRS-T2も少し幅があるが、ベゼルのパネルに近い側を傾斜させるようなデザインにすることで、タップするのに邪魔にならないような配慮がなされている。この点に関しては、今後発売される端末での改良が望まれるところだ。

kobo gloのベゼルとパネル
Kindle Paperwhiteのベゼルとパネル
PRS-T2のベゼルとパネル

セットアップ

 kobo Touchの初期設定は当初、PCへ「Kobo Desktop」アプリケーションをインストールし、USB接続した上でアクティベーションを行う必要があった。その後改良がなされ、Wi-Fi接続のみで使い始められるようになり、kobo gloでもそれは踏襲されている。ただし、AOSSやWPSといったWi-Fiをワンプッシュボタンで設定する機能は存在しない。また、kobo gloから楽天会員の新規登録はできないため、楽天ID・パスワードはあらかじめ用意しておく必要がある。

電源投入前直後の画面
言語選択画面
PC経由か、Wi-Fi接続でセットアップするかを選択
ライトを初めて点灯すると明るさの調整方法が表示される
日付と時刻の設定
検出したWi-Fiネットワークの一覧

Wi-Fiパスワードの入力画面
Wi-Fi接続できると、ファームウェアの更新が始まる。これは数分で終わる
楽天ID・パスワードの入力画面

 ログインできると自動的にライブラリの同期が始まり、[開始する]をタップするとスタートガイドが始まる。基本的な操作やメニューアイコンなどは、ここでざっと解説されている(8画面)。

ログインするとライブラリの同期が始まる
スタートガイド
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