エプソンの新技術、Plastic Logicディスプレイの未来の一助に

折り曲げられるディスプレイはここ数年の夢物語として語られてきたが、技術は着実にそれを実現しようと進化している。この領域で先を行くPlastic Logicとエプソンの提携は、そうしたディスプレイの登場を早めてくれるかもしれない。

» 2012年11月16日 13時00分 公開
[Sovan Mandal,Good e-Reader Blog]
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 ミュンヘンでの開催が迫っているElectronica 2012で楽しみなニュースをお届けしよう。エプソンは1〜5インチのディスプレイパフォーマンスを最適化することを目的としてPlastic Logicと提携した。Plastic Logicは折り曲げられるプラスチック製ディスプレイの研究開発で最先端を行っており、エプソンとの提携で、そうしたディスプレイの実用がより現実的なものになってくるだろう。

 では、いかにしてそれを達成するのだろうか。エプソンはマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(EPD)の制御を1つのモジュールに詰め込んだユニークなコントローラーを開発した。S1D13541と呼ばれるこのコントローラーは「白黒16階調を表示するのに同時に利用できる」4つのディスプレイパイプラインを採用している。

 小難しいこと内容だが、これが意味するのは、エプソンのコントローラーを搭載したPlastic Logicのディスプレイがヘルスケア、自動車産業のディスプレイからモバイルデバイスに至るまでさまざま分野に応用できるということだ。

 「Plastic Logicの多目的ディスプレイソリューションはプラスチック素材をベースにしており、腕時計から大面積のサイネージに至るまで、応用分野の改善、あるいは、まったく新しい製品の開発につながるでしょう。エプソンとPlastic Logicの提携を発表することができ光栄に思っています。この提携は1〜5インチサイズの柔軟性のあるプラスチック製ディスプレイに集中し、S1D13541を利用するソリューションの開発につながっています。モバイルデバイスを含むさまざまな応用分野に大きな利点を提供し、新製品デザインにさらなる自由さを与えます」とPlastic LogicのCTO、ピーター・フィッシャー博士は説明した。

 提携に関して、EPSON Europe ElectronicsのIC部門マネジャー、マンフレッド・ウィトマイヤー氏は「近年、エプソンは特に電子書籍関連顧客向けのユニークなEPDコントローラーの開発に集中してきました。われわれの次の目標は工業分野とそれ以外に可能性がありそうな分野も含めて製品レンジを拡大することです」と語った。

 「S1D13541モジュールを利用するマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイはシンプルな方法で、複雑な技術の学習プロセスを経ることなくEPDベースのアプリケーション開発を行いたいあらゆる顧客向けの理想的なソリューションです」(ウィトマイヤー氏)

 大量生産される可能性のある製品はまだ現実には存在していないが、Plastic Logicはプラスチック製ディスプレイの研究開発に長く携わってきた。大きな反響を得ることはできなかったものの、同社は昨年ロシアで電子書籍リーダーをリリースした。同社はその後、電子書籍リーダーの製造と販売を中止し、ほかのメーカーとのライセンス契約のみ継続すると発表している。

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