講談社「ブルーバックス」電子版の配信始まる緊デジの成果物として

経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業」によって電子化されたコンテンツが市場に登場する。第1弾として、講談社の自然科学系新書「ブルーバックス」から52タイトルが複数の電子書店で配信される。

» 2012年11月15日 11時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 出版デジタル機構は11月15日、経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」によって電子化されたコンテンツを、11月16日から電子書店へ配信することを発表した。その第1弾とは講談社の自然科学系新書「ブルーバックス」52タイトルだ。

 経済産業省が推進する緊デジは、電東日本大震災の被災地域の知へのアクセス向上に電子書籍を有効活用することで、電子書籍市場の拡大にもつなげようと、書籍の電子化作業に要する製作費用を国が補助する事業。出版デジタル機構は同事業の代行パートナーとしてかかわっているが、ここで製作されたコンテンツの配信・販売がようやくスタートする。

 その第1弾として配信される講談社の「ブルーバックス」。1963年の創刊以来、1891タイトルを発行、累計発行部数は7000万部で、自然科学系の知的好奇心を刺激される作品が多いよく知られたレーベルだ。

 今回配信がはじまる52タイトルは、ベストセラー『子どもにウケる科学手品 77』(1998年発行)をはじめ、重版を重ねている人気タイトルを厳選したもの。出版デジタル機構のサイトで配信リストが一覧できるが、『新装版 マックスウェルの悪魔:確率から物理学へ』『新装版 不確定性原理:運命への挑戦』『大人のための算数練習帳:論理思考を育てる文章題の傑作選』などなど、手にとってみたいものが並んでいる。

 取扱電子書店は、既に発表された「紀伊國屋書店 BookWebPlus」「kobo イーブックストア」のほか、「エルパカ BOOKS」「GALAPAGOS STORE」「コープデリ e フレンズ電子書店」「セブンネットショッピング」「どこでも読書」「TOP BOOKS」「BooksV」「BOOKSMART Powerd by BOOKER’S」「Book Place」「BookLive!」「honto」「本よみうり堂デジタル」「MOBI-BOOK」を予定している。

 ブルーバックスの配信開始を皮切りに、今後、偕成社の宮沢賢治など児童文学の名作(偕成社文庫)、中央公論新社、筑摩書房、白水社、みすず書房の新書や学術系書籍、ネコ・パブリッシングの鉄道シリーズ「RMライブラリー」、また、これまであまり電子化されていない絵本や図鑑、学芸出版社(京都)、創元社(大阪)、金港堂(宮城)といった関西や東北地域の出版社や、電子書籍を初めて手掛ける出版社の作品などが配信予定だという。

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