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» 2012年11月14日 20時40分 UPDATE

小説部門の大賞は史上初の2作品――電撃大賞授賞式

アスキー・メディアワークスが第19回電撃大賞の授賞式を開催。小説部門は設立以来初めて2作品が大賞を受賞した。学校の花壇を舞台に前向きに生きようとする高校生と教師を描く『きじかくしの庭』、意思を持つ魔法の銃を主人公にした『ハロー、Mrマグナム』と、対照的な2作品が選ばれている。

[山田祐介,ITmedia]

 アスキー・メディアワークスは11月14日、東京都内にて第19回電撃大賞の授賞式を開催した。応募総数過去最多となる6771作品(小説部門:6078作品/イラスト部門:693作品)の中から、小説部門では8作品、イラスト部門では4作品の受賞作品が選ばれた。

小説部門、大賞は史上初の2作品

 小説部門では、大賞に桜井美奈さん(37才)の『きじかくしの庭』と、茜屋まつりさん(42才)の『ハロー、Mrマグナム』が選ばれた。大賞が2作品選出されるのは、同賞の設立以来初めてのことだ。

photo 小説部門の大賞に輝いた茜屋まつりさん(左)と、桜井美奈さん(右)
photo 小説部門の総評は『キノの旅』シリーズで知られる作家・時雨沢恵一さんが務めた。今回は選考委員らの推薦作品が「物の見事にバラバラ」で選考に時間がかかったという。「大賞の2作品選出はかつてないが、それにふさわしい作品」「読み応えのある作品ばかりだった。毎度レベルが高くなっており、来年もそうなるだろう」(時雨沢さん)

 桜井さんの『きじかくしの庭』は、高校を舞台にした「剣も魔法も出てこない、誰の身近にでもあるお話」。高校の片隅にある荒れ果てた花壇に集まる女生徒たちと1人の教師が、心に秘める悩みを共有しながら植物を育て、前向きに生きようとする姿を描く。「今回、最も選考委員の高評価がそろった作品」(選考委員の作家・時雨沢恵一さん)で、文章力や抑揚の効いた表現などが高く評価された。

 高校生のころから小説を書き始め、投稿生活を7年続けてきたという桜井さん。「いつか書いてみたいが、形にできていない作品」への思いが、作家を目指す気持ちを支えてきたという。今回の大賞受賞は「予想外の結果」とはにかみ、「できるかぎり長く(作家を)続けていきたい」と今後の創作への意欲を語った。

 同じく大賞に輝いた茜屋さんの『ハロー、Mrマグナム』は、意思を持つ魔法の銃“ミスターマグマム”の視点で描かれる西部劇的なアクション作品だ。桜井さんの作品とは対照的に、魔法あり、時間跳躍あり、ガンアクションありという電撃大賞受賞作らしい要素の詰まった作品となっている。

 茜屋さんは42才で受賞者の中では最も遅咲きの作家。ライトノベルを書こうと会社を辞め2年半を経ての受賞となった。当時の自分を“ワナビー”(強い憧れを持ちながら日々を過ごす人)と語り、自分を支えてくれた“ワナビー仲間”への感謝を語りつつ、これまでの日々を「自分にとって第2の青春」と振り返った。作家志望者へのメッセージを求められた茜屋さんは、「ワナビーという言葉はブラックなイメージで使われがちだが、私が出会ったワナビーと呼ばれる人たちは気持ちも熱く、楽しい人たちだった。自分を卑下せず、もっともっと自分を出していってほしい」と答えた。

小説部門受賞概要
作品名 作者名
大賞 『きじかくしの庭』 桜井美奈さん(37才)
大賞 『ハロー、Mrマグナム』 茜屋まつりさん(42才)
金賞 『明日、僕は死ぬ。君は生き返る。』 藤まるさん(24才)
金賞 『エーコと【トオル】と部活の時間。』 柳田狐狗狸さん(34才)
銀賞 『塔京ソウルウィザーズ』 愛染猫太郎さん(35才)
メディアワークス文庫賞 『玉響通り綾櫛横丁加納表具店』 行田尚希さん(28才)
電撃文庫MAGAZINE賞 『失恋探偵百瀬』 岬鷺宮さん(27才)
選考委員奨励賞 『サマー・ランサー』 天沢夏月さん(22才)

国際色豊かなイラスト部門受賞者

 イラスト部門では今回、大賞の受賞はなかった。金賞には、zpoliceさん(25才)と櫻木けいさん(23才)の作品が輝いた。zpoliceさんはタイ出身で、絵を描きはじめたのは「新世紀エヴァンゲリオン」に感動したからだという。また、銀賞受賞者の全力少女さん(26才)は韓国出身で、やはり日本の漫画やアニメに親しんできた。電撃大賞ではネットからの作品投稿も受け付けており、海外からも簡単に応募できる。全力少女さんは日本の専門学校を卒業してアニメ制作会社で働いたのち、韓国に帰国。その後ネットから作品を応募したことで、受賞につながった。

イラスト部門受賞概要
作者名
大賞 該当者なし
金賞 zopoliceさん(25才)
金賞 櫻木けいさん(23才)
銀賞 全力少女さん(26才)
銀賞 れこさん(22才)
photo 第19回電撃大賞を受賞した12人

 アスキー・メディアワークスでは小説部門の入選8作品のうち6作品を2013年2月に「電撃文庫」「メディアワークス文庫」から刊行する。

 2月10日には電撃文庫より、大賞作の『ハロー、Mrマグナム』、金賞『明日、僕は死ぬ。君は生き返る。』(藤まるさん)、金賞『エーコと【トオル】と部活の時間。』(柳田狐狗狸さん)、銀賞『塔京ソウルウィザーズ』(愛染猫太郎さん)が発売。23日にはメディアワークス文庫より大賞作『きじかくしの庭』、メディアワークス文庫賞『玉響通り綾櫛横丁加納表具店』(行田尚希さん)が発売となる。3月以降は、選考委員奨励賞『サマー・ランサー』(天沢夏月さん)を刊行予定。このほか、2月10日発売予定の「電撃文庫MAGAZINE Vol.30」に電撃文庫MAGAZINE賞受賞作『失恋探偵百瀬』(岬鷺宮さん)が一部掲載される。

 イラスト部門の受賞者は今後、電撃文庫や電撃文庫MAGAZINEなどで活躍する予定となっている。

 第20回電撃大賞の募集も始まっており、20回目を記念して各賞の賞金額を増額(大賞300万円)するほか、同一の学校に在籍するグループから電撃文庫/メディアワークス文庫をモチーフとした作品を募る「電撃学校大賞」も特別に設置されている。募集の締め切りは2013年4月10日(当日消印有効)。

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