端末へダウンロードした電子書籍にはDRMが掛かっていますので、バックアップコピーや移動はできません。ただ、購入した作品に有効期限などはないので、クラウド上にある[マイライブラリ]から何度でもダウンロードできます(☆+0.5)。端末の故障によるファイル紛失などを心配しなくてもいいというのは、素晴らしいことだと思います。
ただ、同じ楽天グループの電子書店「Raboo」のように、電子書籍の購入履歴をどこへも引き継がない形でサービスを終了させてしまう前例があると、クラウド型のサービスにも「読めなくなる」リスクがあるのだということを思い知らされます。
評点:☆3.5
これまでレビューしてきた電子書店は、マルチデバイスに対応していたり、紙と書籍のハイブリッド型になっていたりと、サービスが充実したところばかりでした。オープンから2カ月ほどしかたっていないニューカマーの楽天koboイーブックストアに同等のものを望むのは酷かもしれません。
ユーザーとしては、楽天グループの電子書店なら、グループ内のさまざまなサービスとも連携していて当然、という期待もあるでしょう。ビジネスにはスピードが重要ですが、あまりに未完成な状態でリリースされてしまったことで、ユーザーにネガティブなイメージを与えてしまったように思います。koboが海外で展開しているサービスを期待していた方には、現状のサービスは不満も多いでしょう。これが電子書籍全体に対するイメージとならないことを願うばかりです。
電子書店として最も重要な品ぞろえがなかなか増えず、ストア内は検索しづらく、肝心の読書体験もファームウェアのバグによって損なわれている現在の状態では、ユーザーはいずれ離れていくでしょう。端末の安さもあって新規ユーザーの獲得は比較的容易と思われますが、安いからこそ見捨てやすいということでもあると思います。楽天スーパーポイントの予約特典があるので、最初は売れて当然です。ただ、電子書店としては継続して売れ続けることこそが重要です。掴んだ顧客を逃がさないためには、このレビューで指摘した数々のマイナスポイントの改善が期待されます。
フリーライター。ブログ「見て歩く者」で、小説・漫画・アニメ・ゲームなどの創作物語(特にSF)、ボカロ・東方、政治・法律・経済・国際関係などの時事問題、電子書籍・SNSなどのIT関連、天文・地球物理・ロボットなどの先端科学分野などの分野について執筆。ブクログのパブーで電子書籍『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を販売中。
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