レビュー
» 2012年09月18日 12時00分 UPDATE

Kobo Arcの実機レビュー

Koboの最新タブレットでKobo Voxの後継機種に当たる「Kobo Arc」。Androidタブレットで最高の読書体験をユーザーに提供すべく設計されたKobo Arcは、どのような特徴があるのだろうか。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader
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 Kobo ArcはKoboの最新タブレットでKobo Voxの後継機種だ。この新デバイスはフルカラーディスプレイ上で最高の読書体験をもたらすためにゼロから刷新された。多くの企業が面白みのないAndroidタブレットをリリースする中、KoboはAmazonやBarnes & Nobleと同じくカスタムUI(Tapestryと呼称される)を採用した。

ハードウェア

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 Kobo Arcは1280×800ピクセル、215ppiの解像度を持つ7インチのディスプレイを採用する。IPSスクリーン技術を採用し、178度の視野角に最適化されたディスプレイは、超耐久性ガラスに覆われ、損傷、引っかき傷、衝撃、落下に対して耐久性がある。デバイスが搭載するのはTexas Instruments OMAP 4470 1.5GHzデュアルコアプロセッサと1GバイトのRAM。ストレージの容量は8Gバイトと16Gバイトの2種類が用意される。

 フロントカメラは720Pでの録画が可能で、ビデオカンファレンスやインスタントメッセージングに便利だ。また、筐体前面にはSRS TruMediaを採用した1対のステレオスピーカーを搭載し、オーディオ機能を劇的に強化している。SRS TruMedia機能はデフォルトではオフになっており、カンファレンス中に筆者はボリュームを最大にして音声を再生してみたがほとんど何も聞こえなかったが、機能をオンにすると、すべての音が大きくクリアに聞こえた。Barnes & Noble、Sony、Amazonのデバイスの多くはスピーカーをデバイスの上部か下部に搭載しているが、フロントスピーカーを搭載したKobo Arcに筆者は心を奪われた。スピーカーの品質はハードウェア面でKobo Arcの最大の魅力の1つといえるだろう。

 Kobo Arcの側面には3.5ミリのヘッドフォンジャックとボリュームコントロールが、上部には電源ボタンが配置される。Kobo Arcで素晴らしいのは背面のパネル交換が可能な点だ。Koboはこれまでキルト状パターンの背面パネルで覆われた電子書籍リーダーとタブレットをリリースしてきたが、このパネルは交換することができなかった。しかしKobo Arcおよび同時期に発表された新モデルでは、キルト状パターンカバーを購入し交換することができる。Koboによるとまずは5色のパネルが用意され、将来それを拡充する予定だという。

ソフトウェア

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 Kobo ArcはOSにAndroid 4.0を搭載しているが、ありきたりなAndroid体験を提供するのではなく、“Tapestry”という名の革新的機能によってAndroidタブレットでの読書体験を大きく引き上げようとしている。

 Tapestryは幾つかの目立った特徴を持っている。まず、ユーザーが購入した本の追加情報を提供する。例えば、Koboで購入したスティーブ・ジョブスの伝記を開くと、ディスプレイ上のボタンに沿って幅広いコンテンツ――Wikipediaの記事、画像、YouTube動画、インタビューなど――が並ぶ。これはコンテンツを販売するための機能ではない。Koboは「スティーブ・ジョブスのファンなら、これらの書籍を購入してください」とは言わない。ユーザーが検索をしなくてもインターネット上で入手できる大量のリンクやコンテンツを提供するのだ。

 もう1つの例として、ユーザーがPinterestのユーザーで新型BMWの画像を貼り付けていれば、Kobo Arcはそれについて語った大量のPodcast、数百枚もの画像やその他すべての情報を提供する。これは特定の本、写真を調査したり、学校でのプロジェクトなどに非常に便利だ。ある本、動画、画像やWeb上で見つかるあるゆるデータに沿って、大量のソースマテリアルを提供する。Koboはこの情報を利用したりチェックしたりしないと明らかにした。ユーザーのサーチパターンに基づくいかなる情報も不正な目的には利用されない。

 そのほかUIで面白いのはメインのホーム画面だ。機能をグループ化することで、ユーザーが求めるものを非常に直感的に探し出せるようになっている。筆者が触ったデモ機では、書籍、ソーシャルメディア、音楽、写真はメイン画面上でグループ化されていた。書籍をクリックすると、最近読んだ本の一部と大量のオンラインコンテンツが表示される。

 Kobo Arcで気に入ったのはWebサイトの扱い方とテキストを抜き出す機能だ。Kobo ArcはWeb上のコンテンツからテキストのみをRSS形式で抜き出すことができる機能を持っており、すべての画像を取り去って、サイトにまたがるコンテンツを簡単に読むことができる。例えば、筆者は最近の記事を抜き出して、ファンクションキーの1つをクリックすると、書籍セクションで独立した記事として読むことができた。Wi-Fi経由でテキストを抜き出せば、コンテンツはオフラインでも利用でき、インターネットに接続できない環境、旅行中やビーチにいる時に便利だ。

 KoboはかつてGetjarとのみ取引していたが、最近はGoogle Certificationを取得するのに大きな労力を費やしてきた。4カ月ほど前、同社はGoogle Playを利用可能にし、Google Playにある60万近い無料および有料アプリを利用可能にした。Kobo ArcもGoogleエコシステム全体に自由にアクセスでき、このデバイスを選択するもう1つの理由になっている。

 Kobo VoxとArcのUIの責任者が新機能のすべてを本質的に説明してくれた。両製品を使ってみると、Voxとその後継機種であるArcには天と地ほどの違いがあることが分かる。Pulse、Reading Lifeなどすべてのコア機能、ソーシャルメディア機能は変わらず利用できるが、新たなソフトウェア要素によりKobo Arcは1年前のデバイスであるKobo Voxから数光年ほど進化しているように感じられる。

 Kobo Arcはソフトウェアレベルで堅実さを感じる。すべての機能は即座にロードされ、特に読書向けに最適化されている。ローンチイベントでKoboが明確にしたことは、競合他社が機能を絞り込めていないということだ。Koboは大手企業の中で唯一、電子書籍エコシステムを利用するためのハードウェアを販売することを前提としている。Amazonは多くに集中しており、書籍はその一部でしかない。電子コンテンツに注力するBarnes & NobleはKoboに最も似た競合といえるかもしれないが、Barnes & Nobleは自社アプリストアと大規模な小売チェーンを展開している。

読書体験

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 Kobo Voxが発売されたとき、大きなセールスポイントの1つはKobo Pulseのようなソーシャルメディア機能だった。Pulseにより、ユーザーはどれだけ多くの人が自分と同じ本を同じタイミングで読んでいるか知ることができ、ほかの読者とチャットすることができる。ネタバレを防止する機能があり、ほかの読者が自分よりも読み進んでいれば、まだ起こっていないイベントについてほかの読者が話題にするのを目にすることはない。Koboは著者を招いてリアルタイムで読者と語らせたり、一般ユーザーの質問に即座に答えさせるといった幾つかの実験的な取り組みを行なってきた。Koboはさらにこのような取り組みを行なっていくという。

 また、Koboは自主出版プログラム「Writing Life」を提供している。これを使えば、著者はKoboが販売されているすべての国で自分の作品を出版でき、それぞれの国で価格を設定したり、リアルタイムで売り上げを把握することができる。グローバルレベルで販売機会を提供するまともな自主出版プログラムを提供しているのは、現時点でKoboだけだ。われわれが取材したベラ・アンドレ氏のような多くの著者は、この機能によりまずKoboのプラットフォームに魅了されるのだという。

 Good e−Readerでは多くのタブレット、電子書籍リーダーをレビューしているが、Koboはユーザーに読書体験をカスタマイズさせるという点で業界で最高のデバイスを生み出している。行間、フォント、フォントサイズ、余白、背景色を変更できる。夜間に読書する場合は、ぎらぎらする白い背景白ではなく、黒い背景色に変更して白いテキストを表示させたいかもしれない。コアとなる読書関連機能はVoxからそれほど変わっていないが、メニューの一部の見た目はやや異なる。

 Kobo ArcからKoboのストアで直接コンテンツを購入することもできる。後で自分が購入したいコンテンツをウィッシュリストに追加することも可能だ。Google Playから直接、Google Books、Amazon、NOOK、Moon+ Reader、Droid Comic Viewerなど自分の望む人気の読書アプリをダウンロードすることもできる。

まとめ

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 Kobo Arcを購入する利点の1つは多くの市場に対応していることだ。もちろん、AmazonやBarnes & Nobleにも同様のハードウェアは存在するが、米国内に居住していなければ、コンテンツのほとんどは入手できない。例えば、Kindle Fireをカナダで利用することはできるが、Amazon Instant Moviesや幾つかの中心的コンテンツを購入することはできない。NOOK Tabletもユーザーが米国住所を偽って登録しない限り米国外では機能しない。しかし、Kobo Arcは、フランス、スペイン、英国、ブラジルでもカナダ国内と同様に利用できる。

 滑らかで白いデザインと交換可能なバックパネルは好ましい。バックパネルを交換可能にしたことで、Decalgirlといったアフターマーケット企業の意欲を間違いなくかき立てるだろう。筺体は小型で軽量、ディスプレイ枠は非常に薄い。デモ機ではまだフェームウェアが十分に完成されていないようだったが、それでもコア機能は実装済みで、発売までにブラッシュアップが図られるだろう。

 8Gバイトモデルは11月はじめに発売予定で199.99ドル、16Gバイトモデルは244.99ドルほどになるだろう。モデルはどちらも発売日に国内外を問わず入手できる。Koboが公式にサポートするすべての市場で発売まで長期間待つ必要がないのは素晴らしい。

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この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。

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