「表で分かる電子書籍ストア比較」をお届けして1年以上が経過した。現在の電子書店は何か変化したのだろうか。幾つか主要な電子書店のラインアップと対応プラットフォームを比較してみた
eBook USERが「表で分かる電子書籍ストア比較」をお届けしたのは2011年6月のこと。もうかなり前のことのように思える。
2012年9月現在、電子書籍市場で最後の巨人と目されるAmazon.comはまだ日本市場への本格参入を正式発表していないが、それでもこの間、電子書籍市場はさまざまなニュースで溢れており、1年前の情報は賞味期限が切れつつある。果たして現在の電子書店はどれくらい変化したのだろうか。
そこで、前回の記事内容を踏襲し、eBook USERで定点観測している電子書店(GALAPAGOS STORE、Reader Store、koboイーブックストア)、および後述する電子書店ガイド特集で取り上げた電子書店、そしてそのほか主要な電子書店のラインアップをまとめてみたのが以下の表だ。
書店名 | タイトル数 | 冊数 | データ取得日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
BOOK☆WALKER | 7680 | 9月11日時点 | 本棚は除外 | |
BookLive! | 6万8299 | 9万6008 | 9月11日時点 | うち楽譜1万7234件 |
BooksV | 42万8482 | 9月11日時点 | うち雑誌記事33万7046件 | |
Digital e-hon | 8万9983 | 9月11日時点 | うち医学文献8万7038件 | |
eBookJapan | 6万3216 | 9月11日時点 | ||
GALAPAGOS STORE | 7万6871 | 9月7日時点 | ||
honto | 5万6965 | 20万1858 | 8月5日時点 | ケータイ小説&コミックが多い |
Koboイーブックストア | 5万6442 | 9月11日時点 | 日本語のみ・楽譜1万3000件 | |
LISMO Book Store | 8万3035 | 9月11日時点 | うち写真集-グラビア-その他 1万6491件 | |
Reader Store | 6万2785 | 9月7日時点 | ||
Yahoo!ブックストア | 4万5064 | 9月11日時点 | ||
紀伊國屋書店BookWebPlus | 5万3490 | 9月11日時点 | ジャンル別カウント | |
セブンネットショッピング | 6万1253 | 9月11日時点 | ||
ニコニコ静画(電子書籍) | 2280 | 9月11日時点 | ジャンル別カウント | |
電子文庫パブリ | 2万3958 | 9月11日時点 | ||
1年前と比べると、どの電子書店もラインアップは大きく増えた。とはいえ、リアルの書店で並ぶような本がそのまま電子書店にも並んでいるかといえば、実際にはまだそうした状況にない。出版社から出ている本は、新刊であれば紙と電子の同時刊行なども珍しくなくなってきたが、過去の作品などは契約の関係などで電子化されていないものの方が圧倒的に多い。この4月に設立された「出版デジタル機構」、あるいは経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)などの動きにより出版社が持つ書籍の電子化が今後加速すると期待されているが、それらが形になってくるのはもうしばらく先の話だ。
こうした中、最近の傾向としては、出版社のコンテンツに固執せず、楽譜や個人出版のコンテンツをラインアップに加えると電子書店が増えてきている。本好きからすると、出版社が刊行する書籍が電子書店にラインアップされることを期待したいところだが、上述のような課題もあり、そうした状況を横目に、広い意味でのコンテンツマーケットとして整備が進んでいる印象を受ける。
しかし、その一方で、利用環境はかなり整備されてきた。現在、主要な電子書店の対応デバイスは、専用端末を除けば、PC(主にWindows)、iOS、Androidに対応するのが標準的で、利用のハードルは下がりつつある。
ストア名 | Windows | Mac OS X | iOS | Android | Windows Phone | 専用端末 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
BOOK☆WALKER | ○ | ○ | 2012年内にPC対応予定 | ||||
BookLive! | ○ | ○ | ○ | ○ | 専用端末を2012年秋にリリース予定 | ||
BooksV | ○ | △ | ○ | ○ | △ | PDFコンテンツはマルチプラットフォームで閲覧可 | |
Digital e-hon | ○ | ○ | ○ | ||||
eBookJapan | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
GALAPAGOS STORE | ○ | ○ | |||||
honto | ○ | ○ | ○ | ||||
Koboイーブックストア | kobo Touch | ||||||
LISMO Book Store | △ | biblio Leaf SP02 | auのスマートフォンから利用可能 | ||||
Reader Store | △ | Reader | Sony Tablet(Xperia Tablet)、Xperiaスマートフォン向けにアプリを用意 | ||||
Yahoo!ブックストア | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ブラウザをビューワとして利用可能 | |
紀伊國屋書店BookWebPlus | ○ | ○ | ○ | Reader、UT-PB1 | Mac OS対応を予定 | ||
セブンネットショッピング | ○ | ○ | ○ | ||||
電子文庫パブリ | ○ | ○ | ○ | ||||
こうした状況をみると、ラインアップや対応デバイスが注目された時期は過ぎ去りつつあるといえる。今後は、例えば「読みたい電子書籍を簡単に探せるか」だったり、「複数の決済方法と分かりやすい決済プロセス」、または「ポイントサービス」「便利に読むためのツール」など総合的な「サービス」を考慮して電子書店を見るべきだといえそうだ。
eBook USERでは9月から、これらのサービス面まで含め、各電子書店をレビューする「電子書店完全ガイド」を特集として掲載開始している。これらも参考にしながら、自分に合った電子書店を見つけてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.