これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――hontoあなたに合った電子書店を見つけよう(1/5 ページ)

乱立する電子書店。それぞれに特徴があるが、それらを横断的に紹介したものは少ない。そこでeBook USERでは、国内の主要な電子書店を徹底レビューしていく。そう、これは“書店のレビュー”だ。今回は「honto」を紹介する。

» 2012年09月06日 08時00分 公開
[鷹野 凌ITmedia]

はじめに

 電子書籍というと、どうしても「どの端末がいいかな?」とハードウェアありきで考えがちですが、実際には「どの端末を選ぶか?」より「どのストアを選ぶか?」の方が重要です。それは、読みたい電子書籍を探したり、購入したり、読むためのツールを提供したり、保管したりといった、総合的な「サービス」を提供しているのが電子書店だからです。端末は数年で買い換えてしまうかもしれませんが、電子書店の利用はそれより長期間になる可能性が高いですからね。

 電子書店事業にはさまざまな企業が参入していて、それぞれに特徴があります。この特集では、それぞれのサービスをじっくりと時間を掛けて使い込んだ筆者とeBook USER編集部が、国内の主要な電子書店を徹底解説していきます。「本当によいストアはどこなのか?」を知るガイドにしていただければと思います。この連載は定期的にアップデートし、サービスとしての電子書店の成長をつぶさにお届けします。

 本特集では、以下の5つの要素に基づき電子書店をレビューしていきます。

 各項目について、3点を平均とし、電子書店としていい所があれば加点、悪い所があれば減点という形で評点を付けています。記事の最後に、これらの評点結果をチャートグラフにしたものを用意していますので、そちらも参考にしてください。

honto

 第1回目は、ハイブリッド型総合書店「honto」をレビューします。hontoは、大日本印刷・NTTドコモ・丸善CHIホールディングスの共同出資で設立されたトゥ・ディファクトが運営する電子書店です。

 hontoでは、電子書籍の配信だけではなく、紙の書籍やCD・DVDなどの通信販売も行なっています。また、大日本印刷グループのリアル書店、丸善・ジュンク堂書店・文教堂と提携し、共通のポイントサービスを提供しています。紙と電子、どちらも利用したいという方向けのストアです。

 電子書籍リーダーアプリはPC(Windowsのみ)、iOS、Androidに対応しているので、専用機器などを別途購入する必要がないところも嬉しい点です。

ラインアップは充実しているか?

 hontoの電子書籍ストアには、総ラインアップ数の表示がありません(☆-0.5)。そこで、「まったく同じ本が複数の出版社から出ていることはない」という前提の下、検索メニューの[出版社名で探す]から全出版社をリスト化、検索結果をカウントしてみました。手作業でカウントしているので、間違いがあるかもしれませんがお許しください。

 この方法で調べたところ、2012年8月5日時点で、配信中出版社数は571件、[シリーズ単位]表示で総数5万6965件、[商品単位]表示で総数20万1858件でした。シリーズでまとめられているので、巻数が多いほど商品数が多くなるわけですが、1シリーズ平均で3.54巻というのは他のストアと比べるとかなり多いです。これは、NTTドコモがiモードで配信している、いわゆる「ケータイ小説・コミック」を、hontoでもまったく同じ形式で配信していることが主要因です。「ケータイ小説・コミック」では、1巻あたりのボリュームを少なくして数十円で販売というスタイルがスタンダードです。だから商品単位にすると、こんなに数が多くなるんですね。

 次に、ジャンル別の数字を見ていきましょう。サイト上部のタブは、[小説・文学][経済・ビジネス][コミック][写真集][雑誌]の5種類で、それぞれにミドルページが用意されています。左カラムの[ジャンルから探す]には、タブに表示されているジャンル以外に[コンピュータ・IT・情報科学][暮らし・実用][エッセイ・自伝・ノンセクション][エンタメ・テレビ・タレント][ボーイズラブ][ラブロマンス]の6種類のジャンルがあります。ジャンル別の検索結果は以下の通りです。

ジャンル シリーズ数 商品数
小説・文学 9947 1万8798
経済・ビジネス 2638 2883
コンピュータ・IT・情報科学 398 466
コミック 9762 5万1778
写真集 949 1055
雑誌 632 2852
暮らし・実用 2250 3403
エッセイ・自伝・ノンセクション 4103 4973
エンタメ・テレビ・タレント 1130 1330
ボーイズラブ 9167 5万2322
ラブロマンス 1万7849 6万1446
※2012年8月7日時点

 実はこの表の数字を合計すると、先ほどの総数とはかなり異なる数字になります。これは、大・中・小ジャンルがきちんと階層構造になっておらず、1つのシリーズに複数のジャンルが登録されているためです。例えば角川書店の「古典部シリーズ」は、以下の4ジャンルが登録されています。

電子書籍 > 小説・文学 > 小説

電子書籍 > 小説・文学 > 小説 > 推理・ミステリー

電子書籍 > 文庫 > 一般 > 角川文庫

電子書籍 > エンタメ・テレビ・タレント > テレビ番組 > ドラマ


 つまり、単純にジャンル別の数字を合計すると、重複してしまうことになります。このためこの表は、「どのジャンルがシリーズ数に対し商品数が多いか?」という観点で見て頂くといいでしょう。ご覧のとおり、[コミック][ボーイズラブ][ラブロマンス]の3つが、シリーズ数と商品数の差が大きくなっています。つまりこれらのジャンルに1冊数十円の商品が多く登録されているというわけです。

 [ネットストア]から検索をすると、紙の本と電子書籍が同時に表示されたり、電子書籍の詳細画面に紙書籍の価格が同時に表示されます。紙と電子を同時に比較し、それぞれのメリット・デメリットを考えた上で、どちらを購入するかを選択できるというわけです。これは非常に便利です(☆+1)。

左図は[ネットストア]から”氷菓”を検索した結果。上が紙書籍、下が電子書籍。電子書籍には表紙の左側にアイコンが付いたり、対応デバイスの表示や立ち読みができるなどの違いがあります。右図は、詳細画面を開いた画面。右カラムには[紙書籍版:480円]と表示され、電子書籍版と価格の比較ができるようになっています

評点:☆3.5

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