TSUTAYA.com eBOOKsで電子楽譜の配信サービス開始

TSUTAYA.com eBOOKsで電子楽譜の配信サービスが開始した。購入した楽譜の印刷を回数限定だが認めているのが珍しい。

» 2012年09月05日 12時30分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 9月5日、TSUTAYA.comは自社の運営する電子書籍配信サービス「TSUTAYA.com eBOOKs」で、楽譜の卸などを手掛ける大阪村上楽器が提供する楽譜の電子配信を開始した。まずは約7000曲の電子楽譜から取り扱いを始め、年内には1万曲を予定する。お試しサービスとして「アンネン・ポルカ」や喜歌劇「こうもり」序曲など、クラシック曲9タイトルが無料でダウンロードできる。

 ところで、楽譜というのはどれくらいの数があるものなのだろうか。大阪村上楽器に取材したところ、自社データベースへの登録は約13万件との回答があった。つまり、1件1冊としても、13万件の楽譜が潜在的には電子配信され得るといえる。もちろん中には何らかの理由で電子配信できないものもあるだろうが、アレンジを考えればさらに膨大な数があるといえる。

 電子書籍市場では、出版社発のコンテンツをどれだけラインアップしているかが、リアルの書店との比較がイメージしやすいという点も含め、電子書店の実力を示す一要素だった。しかしここ最近では、個人出版のコンテンツやこうした楽譜のようなものもラインアップされるようになり、単純なラインアップ比較が意味を持たなくなってきている。楽天のkoboイーブックストアで急激にラインアップが増えたとき、その多くがギターコード譜だったことなどは一時話題となった。もちろんこうしたコンテンツの需要もあるが、多くのユーザーはラインアップの多寡ではなく、「欲しい本があるかどうか」が重要であるとだという結論に再び落ち着くことになるのだろう。

 TSUTAYA.com eBOOKsでの楽譜の電子配信で目を引くのは、購入した楽譜の印刷が可能であるという点だろう。一般に電子書籍はDRMで固められて配信されることが多く、印刷などを許可するケースはまれだが、これを許可しているのは評価できる点だ。ただし、現状では印刷できるのは基本1回となっている(システムエラーなどで印刷できなかった場合に備え、数回のバッファが許容されているようだ)。

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