トーハン、取引先書店に電子書籍流通サービスを12月から提供次世代型の書店形態を模索

トーハンが取引先書店への電子書籍流通サービスを発表。電子書籍時代に書店と出版社をつなぐ新たな流通体制の構築は成るか。

» 2012年09月04日 14時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 トーハンは9月3日、デジタルコンテンツの店頭販売システム「c-shelf」を12月から全国の取引先書店に提供開始すると発表した。すべてのデジタルコンテンツが全国の書店で取り扱い可能となるハイブリッドな出版流通体制の構築に注力する考え。

 同システムは、米国などで書店が電子書籍のショールームの機能を果たしていることを踏まえ、デジタルコンテンツを店頭で選書、現金決済できる売場環境を整備することで、来店の動機付け、読者サービス向上を実現しようというもの。

c-shelfの運用フロー図

 システムにアーカイブされたデジタルコンテンツとの引換券(バウチャーシート)の発行管理機能のほか、陳列用買い物カードの作成や紙本に貼る電子書籍販売シールの出力といった店頭販促ツールの作成機能、検索サイトなどから構成される範囲の広いソリューションとなっている。導入書店側はインターネットに接続可能なPC、カラープリンター、クリアカードケース(売場陳列用の買い物カード)といった既存インフラで基本運用が可能としており、初期導入店数は約3000店舗を予定する。

 c-shelfの運用開始を受け、出版社向けデジタルコンテンツ流通販売システム「e-base」には配信先を書店とするデジタルコンテンツ新刊流通機能を追加、こちらも12月から運用開始予定で、出版社が書店で紙とデジタルの新刊同時発売を行うことが可能になるとしている。

 将来的には、同システムをオーディオブックや電子新聞、音楽や映像・ゲームといったデジタルコンテンツの販売にも対応させ、本の流通稼働点数を超えるデジタルコンテンツを販売できる体制を整える予定としている。

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