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» 2012年09月03日 10時10分 UPDATE

第2の地獄のミサワは生まれるか:これからのギャグ漫画はネットで花咲く? ジャンプSQ.「ギャグマンガ宣言!」の野望 (1/2)

誌面で埋もれやすく人気を見極めにくいギャグ漫画。担当者が「面白い」と思っても、雑誌掲載に至らないケースは多いという。日の目を見ない才能をなんとかもっと試せないか——ネットとギャグの親和性に目を付けたジャンプSQ.は、ニコニコ静画で新たな“ヒットの流れ”を模索している。

[山田祐介,ITmedia]
photo 惚れさせ男子達のすさまじい数の名言がストックされている「女に惚れさす名言集」

 集英社の月刊誌「ジャンプSQ.」でギャグ漫画「カッコカワイイ宣言!」を連載中の地獄のミサワさん。同氏はジャンプSQ.で連載をはじめる前からネット上で作品を発表し、話題を呼んでいた。2009年に開設したブログ「女に惚れさす名言集」で1コマギャグをこつこつと掲載し、独特の絵柄やギャグセンスに人気が集まっていたのだ。

 「ネットの人気があったから、ミサワさんの作品を世に送り出せたと思います」

 ジャンプSQ.編集部の編集者・由井琢磨さんは、そう振り返る。由井さんによれば、漫画の中でもギャグ作品は“ウケるかどうか”が見極めにくいジャンル。ストーリー漫画に比べるとページ数が少ないため、分厚い月刊誌の中では読み飛ばされてしまったりと、読者からの反応が得られにくい。いまでこそ人気の「カッコカワイイ宣言」も、連載開始当初は「アンケートの人気が伴いませんでした」。ギャグ漫画ではよくある傾向という。

 こうした背景から、新人作家のギャグ漫画を雑誌で試すことはストーリー漫画以上に難しい。担当者が「面白い」と思っても編集会議を通らず、掲載に至らないことが多いのだ。しかし、何がウケるか分からないギャグ漫画。日の目を見ない才能を、読者の前でもっともっと試したい――そこで始まったのが、ニコニコ静画とジャンプSQ.のコラボプロジェクト「ギャグマンガ宣言!」だ。


ネットはギャグを試すのに向いている

photo ニコニコ静画上にある「ギャグマンガ宣言!」特設コーナー

 ギャグマンガ宣言!は、ニコニコ静画上でジャンプSQ.の連載作家や新人の作品を公開していくプロジェクト。特設サイトには、作品の連載コーナーと、“あまり日の目を見ていない”新人作家たちがユーザーからの得票数で作品の人気を争う「ギャグマンガトーナメント」のコーナーがある。

 このトーナメントには、決勝戦でニコニコ静画ユーザーからの募集作品も参戦。勝ち抜いた作家はギャグマンガ宣言!での連載権を得る。ユーザー作品の募集は8月20日に締め切り、約40本が集まった。新人作品の頂点とユーザー作品の頂点による決勝戦は、9月14日にスタートする予定だ。

 実は、ジャンプSQ.は過去にもギャグマンガ宣言!に似た取り組みを行っている。ジャンプSQ.のホームページ上で新人ギャグ漫画の人気を競わせる「GAG MANGA Grand Prix」という企画だ。そして、2009年に行われた第1回GAG MANGA Grand Prixを勝ち抜いた作家が、地獄のミサワさんだった。この企画がきっかけとなり、ミサワさんのジャンプSQ.での作品掲載が始まった。

 ミサワさんの作品は当初、ネットの人気とは裏腹に誌面で人気がでなかった。しかしグランプリを勝ち抜いたことが後ろ支えになり、2010年に「カッコカワイイ宣言!」がスタート。少しずつ読者に「ギャグを受け入れる土台」が築かれ、人気連載の1つとなった。こうした過去の経験も踏まえ、由井さんは「ネットとギャグの親和性」を指摘する。

 ネットユーザーは日頃から“面白いネタ”を探していて、作品に対する反応が早い。月刊誌では読み飛ばされがちな「ページの短さ」も、ネットなら“サクっと読める手軽さ”につながる。だとすれば、ギャグ作品を試す場所としてネットは相性が良いだろう――。こうした思いもあり、“面白いもの好き”が集まるniconicoのプラットフォーム上で、ギャグマンガ宣言!のスタートに踏み切ったのだ。

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