ソニーの「Reader PRS-T2」をいち早く使ってみた最新電子書籍リーダーの実力は?(1/2 ページ)

ソニーが9月21日から国内販売を開始する最新の電子書籍リーダー「PRS-T2」。その実力と競合製品と比べた違いを実機レポートで紹介しよう。

» 2012年09月03日 11時00分 公開
[鷹野 凌,ITmedia]
PRS-T2 PRS-T2

 ソニーは9月3日、電子書籍リーダー最新モデル「PRS-T2」の国内発売を9月21日から開始することを正式に発表した。海外では8月に発表・販売開始となっており、すでにハードウェア仕様も明らかになっているが、国内モデルではどのようになっているのだろうか。PRS-T2の実機(評価機)での「開封の儀」と実機レポートを最速でお届けしたい。

 この評価機は米国販売モデルではなく、国内向けモデル。ただ、特別に貸し出しを受けた端末のため、本稿執筆時点(8月末時点)では端末登録やストア機能など一部機能が利用できなかった。よって本稿では、端末の機能や使い勝手にフォーカスした内容をお届けし、そのほかの部分はPRS-T2発売後に改めて紹介したい。評価機を用いているため、発売時点での仕様や挙動とは異なる可能性があることはあらかじめご了承いただきたい。機器情報を確認すると、バージョンは「1.0.00.08020」となっている。

 なお、筆者は先日、楽天の「Kobo Touch」を購入したばかりだ。同製品は本体サイズや解像度、電子ペーパーディスプレイなどPRS-T2との共通項が多く、競合製品に当たる。Kobo Touchは、楽天レビューが炎上後不可視状態にされたり、ストアに(出版社刊行の)日本語書籍が少ないなどさまざまな問題もあるが、専用端末としての実力はかなりのものだ。また、7980円という挑戦的な価格も、競合他社にとっては脅威だ。

 PRS-T2は、米国などでは129ドルで販売されているが、日本では9980円で発売されることが発表された。現在の為替レート(1ドル78.5円)で換算すると1万円以上でも不思議はないのに、あえてこの価格での販売に踏み切ったのは非常に意義深い。ちなみに、先代モデルの「PRS-T1」が米国では149.99ドル、日本では19800円で販売(現在は値下げされ14800円)されていたことを考えても、この価格戦略はまず評価したい点だ。

開封の儀

左図/箱表面。中央図/箱裏面。右図/箱を開けたところ
付属品は本体、タッチペン、USBケーブル、保護ポーチ、クイックスタートガイド、本を読むガイド、安全のために、保証書、パンフレット。タッチペンが付属するが、端末にはタッチペンを付ける場所がないので、保護ポーチが付いてくるのはありがたい。なお、カラーバリエーションは黒白赤の3色。レッドはより赤く、ブラックはマットに仕上げられている
左図/表面は光沢加工になっている。ハードウェアボタンはPRS-T1のように四角ではなく、アイコンボタンにすることで直感的に操作できるようにしている。左から順に、左右のページめくりボタン・ホームボタン・バックボタン・メニューボタン。PRS-T1よりディスプレイに近い位置に配置されており、比べてみると非常に操作しやすくなっている。右図/裏面はつや消し加工され、滑りづらくなっている。右下に見えるのがmicroSDメモリーカードスロットのカバー
本体下部に電源スイッチ、マイクロUSB端子、RESETボタンがある。ヘッドフォン端子はPRS-T2では省かれた。
上部には何もない
左図/右側面も何もない。右図/左側面には、miniSDメモリーカードスロットとカバーがある。ベゼル部とパネルの間には段差があるが、これはタッチパネルの電子ペーパー端末に共通する特徴だ。ただ、内側に向けてなめらかに傾斜が付いており、画面端ギリギリをタップする場合でもさほど邪魔には感じない
左図/Kobo Touch と比べると、縦は若干長く、幅は狭い。右図/厚さ比較。Kobo Touchは10ミリ。PRS-T2は9.1ミリ。厚さ0.9ミリ、重さ21グラムの違いは、持って比べてみるとはっきりと体感できる

 PRS-T1では用意されていたオーディオ端子(ヘッドフォンジャック)はPRS-T2では非搭載となった。電子書籍専用端末という位置づけの中、「音楽を聴く」という機能がどの程度使われていたか分からないが、旧モデルにあった仕様を削るというのは勇気の要る判断だと思う。

スペックを比較してみた

 PRS-T2とその先代モデルの「PRS-T1」、そして楽天koboの「Kobo Touch」のスペックを比較したものが以下の表だ。サイズとしては一般的な新書サイズとほぼ同じで、それでいてそうした新書よりも軽量だ。

スペック PRS-T2 Kobo Touch PRS-T1
110ミリ 114ミリ 110ミリ
奥行き 173ミリ 165ミリ 173.3ミリ
厚さ 9.1ミリ 10ミリ 9.6ミリ
重さ 164グラム 185グラム 168グラム
解像度 600×800
画面サイズ 6型
ディスプレイ 電子ペーパー16階調グレースケール
タッチパネル クリアタッチパネル(光学式)
オーディオ再生 - - 対応
内蔵メモリー 2Gバイト
使用可能領域 1.3Gバイト 1Gバイト 1.4Gバイト
外部記憶装置 microSD/SDHC(最大32Gバイト)
通信方式 IEEE 802.11b/g/n
バッテリー持続時間(メーカー公称) Wi-Fiオフ時:最長2カ月(1日30分)・最長1.5カ月(1日60分)/Wi-Fiオン時:最長3週間 約1カ月 Wi-Fiオフ時:最長5週間(1日30分)・最長1.5カ月(1日60分)/Wi-Fiオン時:最長3週間
対応ファイル形式(電子書籍) 配信コンテンツ(.mnh)、XMDF(.zbf)、ドットブック(.book)、EPUB(.epub)、PDF(.pdf)、Text(.txt) EPUB(.epub)、PDF(.pdf) 配信コンテンツ(.mnh)、XMDF(.zbf)、ドットブック(.book)、EPUB(.epub)、PDF(.pdf)、Text(.txt)
対応ファイル形式(画像など) JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp) JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp)、TIFF(.tiff)、CBZ(.cbz)※いずれも非公式 JPEG(.jpg、.jpeg)、GIF(.gif)、PNG(.png)、BMP(.bmp)、MP3(.mp3)、AAC(.mp4、.m4a)
価格(本稿執筆時点) 9980円(米国129ドル) 7980円 14800円
PRS-T2と先代モデルの「PRS-T1」、そして楽天koboの「Kobo Touch」のスペック比較

 こうしてスペックを比較すると、PRS-T2は「とにかく薄く、軽く」を追求した端末ということなのだろう。ただ、薄く・軽くしながらも、バッテリー持続時間(メーカー公称)はPRS-T1より延びている。全体的に、PRS-T1のデザインを進化させ、より読みやすさを追求したデザインになっているといえる。

UIはさらにシンプルに

 クイックスタートガイドに記載されている手順では、端末をUSBケーブルでPCへ繋ぎ、時刻を設定した後、PC専用ソフトウェアのインストール、製品登録と機器認証となっているが、冒頭に触れた通り、本稿執筆時点では製品登録や機器認証ができなかった。また、端末からReader Storeの利用もできなかったため、購入や書籍のダウンロードを試すことはできなかった。この部分は端末発売後に追って紹介したい。

左図/端末をUSBケーブルでパソコンへ接続すると、自動的に電源が入り日付と時間の設定画面になる。中央図/日付と時刻の設定が終わると、パソコンへ認識させるかどうかの確認画面になる。[はい]をタップすると、端末の操作はできなくなる。[いいえ]をタップすると端末操作可能な充電モードになる。右図/[はい]をタップして、パソコンに認識させた状態。内部ストレージの操作が可能になる
左図/ホーム画面。上に最後に読んだ書籍、その下に最近追加された書籍が表示されている。メニューは左から本棚、Reader Store、アプリケーション。右図/アプリケーションを開いた画面。各種設定もここから行う
PRS-T1のホーム画面との比較。左がPRS-T1、右がPRS-T2。メニューがシンプルになっているのが分かる

 設定には、端末のパスワードロックや、スタンバイ画面の画像(初期状態では、最後に読んだ書籍の表紙)、標準文字サイズやページめくり方向、画面のリフレッシュを毎ページ行うかどうかなどがある。

左図/[アプリケーション]→[設定]→[アプリケーションの設定]→[書籍/定期購読]から、標準文字サイズの変更ができる。中央図/ページめくり方向も変更できる。右図/標準で使用する辞書を選択できるが、用意されている日本語辞書は大辞林だけだ
左図/[アプリケーション]→[設定]→[システム設定]を開いた画面。中央図/[本機のロック]機能を設定すると、電源ONやスリープモードからの復帰時に数字の入力が必要になる。右図/スタンバイ画面に表示する画像は、初期状態では最後に読んだ本の表紙。他人に見られると恥ずかしいような表紙の場合は、ここで画像を変更しておこう

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