読者も出版社も喜ぶ「最適解」――林信行が語るiOS版「電子書籍 GALAPAGOS」のインパクト(1/2 ページ)

シャープの電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」のサービスがついにiOSにも対応。ITジャーナリストでApple製品に詳しい林信行氏が、そのファーストインプレッションを語った。アプリの操作性などに鋭い視点を向ける一方で、「読者も出版社も満足させる最適解のサービス」と評価する、その理由とは。

» 2012年08月27日 23時45分 公開
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既に普及していた最強の電子ブックリーダー

photo 高精細な新しいiPadは、電子ブックリーダーとしても優れた能力を発揮してくれる

 今年の夏は、新型の電子ブックリーダー端末の話題がやたらと目立った。しかし、本そのものを楽しむのが目的であれば何も新しい機械を買う必要はない。国内だけで数百万台が出荷され、今や日本全国どこでも――電車内や街角でも――見かけるようになったAppleのiPad、そして、数千万台を出荷しているiPhoneも、秀逸な電子ブックリーダー端末であることをいま一度思い出してほしい。

 特に今年の春に発売された「新しいiPad」は、わずか9.7インチのサイズにフルハイビジョンの解像度を上回る超高精細なRetina Displayを搭載し、新聞の1ページを表示しても、目がいい人なら1文字1文字、「はね」や「はらい」までクッキリと見える。これを見た後では、ほかの専用電子ブックリーダー端末の文字がボヤけて見えてしまうほどの優秀さだ。

 だが、残念なことに日本では、米国と違い、このiPadやiPhoneで「定番」といえる電子ブックリーダーのアプリが存在しなかった。そして、ここがチャンスとばかりに、後先考えずにさまざまな電子ブックアプリが乱立。ホーム画面に1冊1アプリのアイコンがあふれるようになったかと思えば、出版社がそれぞれ自社の本しか買えないプラットフォームアプリを出し、本だけでなく本棚まであふれる大混乱を迎えてしまったのだ(現実の本屋を想像してほしい、特定の出版社の本しか置いていない本屋なんて想像できるだろうか?)。

 こうなると、本を読もうにも「あの本はどの出版社だっけ?」「この出版社のアプリはどれだっけ?」と覚えていないと本が読めない。これでは紙の本からの進化ではなく退化だろう。

iOS用として最大級の蔵書数を誇る「GALAPAGOS STORE」

photo iOSアプリ「電子書籍 GALAPAGOS」のブックシェルフ。端末に保存されているコンテンツと、「ネット書庫」にあるコンテンツの双方を管理できる

 そんな中、満を持して登場したのがシャープが提供するアプリ「電子書籍 GALAPAGOS」だ。約4万5000冊の書籍に加え、何と約2万2000冊のコミックも取りそろえ、さらには約3300冊の雑誌も取り扱う、総数約7万冊と現状で国内最大級のラインアップをそろえている。そしてほかにあまり見ない特徴として38冊の辞書も扱っていれば、「日本経済新聞 電子版」など国内有力紙の定期購読にも対応。iOS用の電子ブックサービスとして、魅力的なコンテンツ量だ。

 おまけに以前から取り扱っていたものも含め約320タイトル(約3200冊)の雑誌は、新しいiPadのRetina Displayの解像度をも上回る2400×4096ドットの高精細コンテンツとして用意。画面の上に表示された圧倒的に解像感のある画像が、さらにピンチアウト操作で拡大でき、細かく見られるようになっている。


photo 「Spografia in LONDON」の1ページ。Retina Displayのポテンシャルを引き出す高解像度コンテンツを楽しめる(Spografia in London/GALAPAGOS NETWORKS)
photo Retina Displayに対応した高精細な雑誌も豊富にラインアップ。ここにある雑誌以外にも、高精細な雑誌はまだまだ用意されている

 今回、GALAPAGOS STOREのオリジナルフォトマガジン「Photographer's choice」の別冊として、iOS版提供に合わせて用意された雑誌「Spografia in LONDON」などを見ると、高精細コンテンツの実力を余す所なく体験できるだろう。創刊号では、入江陵介選手が背泳ぎで立てる水しぶきの一滴一滴、ようやくメダルを手にした女子卓球団体の3人の笑顔の上で入り混じる汗と涙、澤穂希選手が立つコベントリースタジアムの芝目まで、ハイビジョンテレビですら伝えてくれなかった臨場感を手の中に抱えてみることができる。

 ちなみにこのほかにも、「昆虫顔面図鑑 日本編」(実業之日本社)など、iPadの解像感を生かせるコンテンツが新たにラインアップに加わっている。夏休み中の子どもを連れてのキャンプ先で、600グラム程度のiPad1枚からこの昆虫顔面図鑑をはじめ、キャンプ場ガイド、アウトドア雑誌まで飛び出てくるのは、いかにも21世紀的で素晴らしい。


まずお勧めしたいのはビジネスユーザー!

 ところで、筆者はどんな本でも、ただ電子ブックになればいい、という考えには同意していない。だが、そんな筆者が明らかに電子ブックに向いていると思うジャンルが「ビジネス書」だ。ビジネス書では、気になった個所を後で仕事に生かせるようマーカーで線を引いたりすることも多いだろう。しかし紙の本だと、マーカーや付せんの数が増えてくるとどれがどれだか分からなくなり、結局、目的の言葉を探すのに時間がかかってしまう。

photophoto GALAPAGOSのアプリなら単語の検索はもちろん、マーカー機能を使って気になったカ所を整理する、といったことも可能だ(2022―これから10年、活躍できる人の条件 神田昌典/PHP研究所)(『Think Simple』(NHK出版刊))

 これが真っ当な電子ブックリーダーなら、ちゃんと“マーカーの一覧から会議中に引用したい箇所を瞬時に見つけ出す”といったことができるのだ。もちろん、GALAPAGOSのアプリにもこのマーカー機能が用意されている。

 また、GALAPAGOS STOREに関して言えば、ビジネス書だけでなくビジネス雑誌も豊富に取りそろえていたりと、コンテンツのラインアップ面でもビジネス分野と相性がいい。ちなみに、雑誌コンテンツに対してマーカーが引けるか気になるユーザーもいると思うが、残念ながら全コンテンツではないものの、「記事テキスト」表示モードに切り替えることでマーカーを利用できる雑誌がGALAPAGOS STOREにはそろっている。

photophoto テキスト表示に対応した雑誌では、左上に表示を切り替えるアイコンが表示される。テキスト表示ではマーカー機能を利用できる(週刊東洋経済 2012/7/28 農業で稼ぐ! 東洋経済新報社)
photo マーカーをつけた箇所の一覧表示も可能だ(コミュニケーションは、要らない 押井守/幻冬舎)

 新聞についても同様で、日経新聞などのビジネスに役立つ新聞がそろった上で、「記事テキスト」モードを使うことで記事中の大事なカ所を、まるで記事をスクラップをするように印をつけて記録できるのだ。

 現在のところ、マーカーで記録した内容は1冊1冊の本や雑誌、1日分の新聞といった単位で管理されており、本をまたいだ横断的な検索まではできないが、シャープによれば将来的にはマーカーの横断検索も可能にする予定だという。これが実現すれば、自分の本棚がただ本を並べただけの本棚ではなく、知の蓄積の場所として機能し始めるわけで、ビジネス系のユーザーにはことさらうれしい。

完璧ではないが奮闘が垣間みれるアプリ

 もっとも、iOS用GALAPAGOSも、まだ最初のバージョンであるため欠点も少なくない。Retina Displayの解像度を最大限に生かそうと頑張りすぎたのか、アプリが突然落ちることもあれば、まれに表示がおかしくなることもある。

 また個人的には、雑誌の「記事テキスト」モードでボタンをタップした時、Windows Mobileのスタイラスでボタンをタップした時のような変な星形のアニメーションが出るのが気になった。ページめくりのアニメーションも、Appleの「iBook」や、iPadで定番のビューワアプリ「i文庫」など比べるとこなれていない印象もある。

 それでも、このGALAPAGOS STOREを応援したいのは、少しでも多くの本を、少しでも読みやすい形で提供しようと奮闘している、その姿勢に惚れてかもしれない。

GALAPAGOS STORE

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia eBook USER 編集部/掲載内容有効期限:2012年9月27日