KoboやAmazonが第2世代タブレットを発売するに当たって取り組むべきこと

AmazonのKindle Fire、KoboのKobo Voxのようなタブレットは現在の標準と比較してどうしようもないほど時代遅れになっている。変化し続けるタブレットデバイスの中で競争力を保つためにはどのような取り組みをすべきだろうか。

» 2012年08月20日 14時04分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 電子読書はここ2年で大きく変貌を遂げ、ユーザーの多くは伝統的な電子インクデバイスからタブレットへの切り替えを行なっている。タブレットは動画、音楽、メール、ブラウジング、アプリなど幅広い追加機能を提供している。

 AmazonやBarnes & Nobleは追加コンテンツを提供するのに独自のエコシステムを開発したが、Koboははじめアプリ配信をAndroidアプリストアのGetjarに依存し、その後Google Playに乗り換えた。これらの企業がタブレットデバイスを発売してほぼ1年が経過したが、変化し続けるタブレットデバイスの中で競争力を保つためにはどのような取り組みをすべきだろうか。

 まず、これらの企業が取り組むべきことはより高いレベルのハードウェアパフォーマンスを追求することだ。例えば現在、クアッドコアプロセッサがASUS、Googleなど大手企業のタブレットデバイスでは標準になりつつある。顧客の期待はより高速処理が可能なプロセッサを求めるところまできている。デュアルコアプロセッサからのグレードアップには多くの利点がある。処理能力によりHD動画のレンダリングは高速処理され、最先端のゲームをプレイすることもできる。電子書籍技術が発達し、機能強化された電子書籍が標準的になるにつれ、ユーザーは処理遅延などが発生しない完全な読書体験が得られることを渇望している。ほとんどの書籍は高い割合でインタラクティブな地図、音声、動画、タッチスクリーン制御などマルチメディアコンテンツを内蔵している。プロセッサ価格が下がるにつれ、幅広い業界で採用されていることもあり、プロセッサ変更が端末コストに劇的に跳ね返ることはないだろう。実際、GoogleのNexus 7は200ドルを少し超える程度で市場参入を果たしており、それを証明している。

 Koboは豊かで幅広いエコシステムを持たず、他社とは異なっている。独自のブックストアのほか、コンテンツ配信でオリジナルなものは何も提供していない。AmazonとBarnes & Nobleは独自アプリストアを運営しており、積極的に自社独自コンテンツを確保しようと開発者に働きかけている。Koboは以前、自社デバイスへのコンテンツ配信をGetjarに依存していた。そして、そのほとんどのケースでアプリとゲームはタブレット向けではなくスマートフォン向けに最適化されている。数カ月前、KoboはGoogleの認可を取得し、現在ではGoogle Playへの完全なアクセスを獲得している。それは結構なことだが、市場で際立つためにKoboは自社アプリストア開発を真剣に検討すべきで、自社顧客への配信を他社に依存するべきではない。自社アプリストアを持つことで自社デバイスにどのアプリとゲームを最適化するかのコントロールが可能になり、市場でより高い競争力を獲得するだろう。Kobo Voxが購入されなくても、Kobo App StoreをAndroidタブレット上で利用できれば、ブランド広告にはなる。

 電子読書にフォーカスする主要タブレットはすべてAndroid OSを搭載している。Amazon、Kobo、Barnes & Nobleのデバイスを購入すると、恐ろしく古いバージョン――ほとんどがバージョン2.3ベース――のAndroid OSが搭載されたデバイスを手にすることになる。現在、ハイエンドのタブレットデバイスの多くがAndroid 4.1(コードネーム:Jelly Bean)を採用していることを考えればこれは数世代遅れている。最高のコンテンツ、アプリ、ゲームを配信するために、Amazon、Kobo、Barnes & NobleがAndroid 4.1を自社デバイスのOSとして採用することが重要だ。

 Android 4.1には「Google Now」といった大きな変更も追加されている。パーソナルアシスタント機能であるGoogle Nowは、ユーザーの秘書のように機能し、日々の管理を行うための幅広いオプションを与えてくれる。また、Android 4.1には追加セキュリティ機能を提供する拡張版顔認識ソフトも組み込まれている。電子書籍リーダーとして販売されているタブレットは主として家族向けデバイスで、家族全員がそれぞれのコンテンツにアクセスする。顔認識により子どものユーザープロファイルがロック解除され、子ども向けの本や好みの学習ゲームだけがリストされるようになればどれほど良いだろうか。一方で、大人向けにはユーザーのライブラリーとお気に入りのゾンビゲームがロック解除されるというのはどうだろう。

 つまるところ、Amazon、Kobo、Barnes & Nobleが販売するタブレットは現在の標準と比較してどうしようもないほど時代遅れになっているということだ。顧客は価格が259.99ドル以下で高パフォーマンスのハードウェアをこれまでにないほど求めている。市場で競争力を保つために、これらの企業はより強力なハードウェアとソフトウェアを採用する必要がある。電子読書向けタブレットは一部の熱心な読者に受けが良いかもしれないが、やがてコストパフォーマンスを求める一般的な顧客がユーザー人口に加わるかもしれない。Amazon、Kobo、Barnes & Nobleが持つ1つの強みは小売業界での強い存在感だ。ちょっとしたガジェット売り場のある小売店でKindle、Kobo、NOOKを見ないことはない。

 Amazon、Kobo、Barnes & Nobleは購入済み、あるいはこれから購入される現行モデルのアップグレードを保証すべきだろうか。

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