Amazon、電子書籍著作権開放目的のクラウドファンディング経由の資金処理を停止

既刊本の著作権者がクリエイティブ・コモンズライセンスが付与された電子書籍にすることを目的に資金調達できるクラウドファンディングにAmazonは否定的だ。

» 2012年08月17日 15時45分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 5月に立ち上がったクラウドファンディングサイト「Unglue.it」は、電子書籍の“著作権開放”を目的に不特定多数の人から資金を調達し、それにより電子書籍のコピーライトとDRMの除去を目的としているが、Amazonはこのような取り引きを目的とした資金を受け取らないと同サイトに通知した。

 Unglue.itの運営会社、Gluejarのエリック・ヘルマンCEOは声明を発表し、「Amazon Paymentsは現在進行中のキャンペーンすべてを中止するよう強制し、Unglue.it向けの資金処理を行わないと通知してきました」と語った。あるAmazonの上級経理マネジャーによると、Amazonは「今回新たなクラウドファンディングアカウントの参画」に反対の立場を取ることを決めたという。Amazonは、人気のクラウドファンディングサイト、Kickstarterへの対応と同様に、Unglue.it向けの支払いサービスを提供してきた。

 Unglue.itのWebサイトは「世界に電子書籍を提供する」という目的で5月17日にオープンし、既刊本の著作権者が「著作権開放キャンペーン」を展開することを許可している。サイトのメンバーは本をクリエイティブ・コモンズライセンスが付与された電子書籍にすることを目的に資金調達することができる。キャンペーンがゴールに達すると、誰もが自由に電子書籍を入手できるようになる。Unglue.itはまず7578ドルを調達し、ルース・フィネガン氏の1970年の古典的作品『Oral Literature in Africa』を著作権開放することに成功した。この本は今回の措置の影響を受けず、もうすぐダウンロードできるようになる。

 Amazonは現在進行中のすべての資金調達を無効化するようUnglue.itに要求している。Unglue.itチームは新たな支払い方法を導入するべく対応を開始しており、そのアナウンスが待たれる。それまで、Unglue.it向けのサポートを表明するベストな方法は、サイトに登録し、友人にサイトに登録するよう勧め、ウィッシュリストを作成してどの本を解放すべきかを世界に知らしめることだ。

 エリック・ヘルマン氏は「このような事態になり大変残念です。われわれはもうすぐ再スタートを切り、多くの書籍を著作権開放していく予定です。いつの日か何十億人もの人が解放された書籍を読み、Amazonが電子書籍の世界を支配していた年月を驚きをもって思い返すのではないでしょうか」と語った。

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