緊デジ、申請数低迷で申請条件を大幅緩和

経済産業省の「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」。出版社からの申請数が予想よりも低いため、EPUB 3の採用を含め大幅な条件の緩和が行われた。

» 2012年07月25日 17時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本出版インフラセンター(JPO)は7月25日、現在進めている経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」について、補助金対象の条件を緩和すると発表した。申請受付を開始して1カ月経過したが、出版社からの申請数が予想よりも低かったことに起因するもの。条件を緩和することで、出版社からの申請を増やしたい考え。

 緊デジ事業は、経済産業省が東北支援を掲げて実施しているもので、書籍の電子化に対して補助金を出すなどして電子書籍産業の支援にもつなげる構造となっている。事業総額で約20億円の予算が付けられている。

 今回の条件緩和では、これまで採用を見送っていたEPUB 3を採用。フィックス型、リフロー型のどちらでもEPUB 3を配信フォーマットに選択可能になった。グループ各社で保有する約5000タイトルをEPUB 3準拠にさせる予定を明らかにしている角川グループの動きや、楽天Koboが開始した電子書籍事業でのEPUB採用など、国内でもEPUBへの関心が高まってきている中、それに対応する決断を下した格好だ。

 このほかにも幾つか条件が緩和されている。例えば、電子化を行う制作会社を出版社が一定の条件の下指定できるようになったこと。これは出版社と制作会社の連携を重視したもので、パブリッシングリンクに登録された制作会社であれば補助金を受けられる。さらに、PDFフォーマットの制作にも要請に応じて対応、これまで年間発行点数の2倍までとされていた電子化の申請上限を廃止、図書寄贈の義務化も「可能な範囲での寄贈」に改められた。

 実際の制作開始は9月1日以降を予定しており、この事業で約6万点のタイトルが電子化される見込みとされている。

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