Barnes & Nobleの2012年度決算、NOOK事業が10億ドル間近に

Barnes & Nobleが2012会計年度決算を発表。NOOKなど電子書籍関連事業は前年から34%と大きく成長。デバイスの売り上げに陰りが生じ、コンテンツの売り上げは急伸した内容となっている。

» 2012年06月22日 12時00分 公開
[前島梓,ITmedia]

 米国内最大の書店チェーンでNOOKに代表される電子書籍事業も手掛けているBarnes & Noble。同社は先日、2012会計年度(4月28日までの12カ月)の決算を発表した。

 2012会計年度の売上高は約71億ドルで、前年比でプラス1.9%。EBITDA(売上総利益から、販売費および一般管理費のうち減価償却費以外を差し引いたもの)は1億7140万ドルでプラス5%となったが、6890万ドルの純損失となった。

 同社の売り上げで大きな割合を占めるのが、BN.comと実書店からの売り上げを含むリテール事業。こちらの売上高は前年比マイナス1.5%の約49億ドルで、依然として同社の売り上げの大半をこの事業が占めている。細目では、書店の売り上げはプラス4.5%となったが、BN.comの売上高は引き続き下落したという。大学書店ビジネスの売上高もマイナス1.9%落ち込んだ。

 NOOK関連事業の売上高は9億3300万ドルで、前年比でプラス34%。EBITDAは2億6200万ドルの赤字だった。「NOOK Simple Touch」などハードウェアの売り上げプラス45%だったが、直近の四半期では売り上げを大きく落としている。競合製品との低価格競争に陥っていることも理由の1つだが、量販店からの返品が増えたことなども理由として挙がっている。

 デバイスの売り上げが落ち込みを見せる中、NOOK事業ではデジタルコンテンツの販売が急伸した。その売り上げは前年同期比プラス65%、通期でプラス119%の4億8300万ドルとNOOK事業の約半分を占める成長を遂げた。

 Barnes & Nobleは同社は4月にMicrosoftと提携を発表しており、NOOK事業と大学教科書事業をスピンオフして新会社を設立、そこにMicrosoftが今後5年間で約6億ドルを出資する予定だ。

 今回の決算発表でNOOKの売り上げが落ち込んだのは一過性のものかもしれないが、デバイスの部分でMicrosoftと何か動きがあるのではないかと期待する向きもあった。しかし、Microsoftが6月18日に発表したWindows搭載タブレット「Surface」は、少なくとも現時点でBarnes & Nobleと何か関係するようなものではなかった。Barnes & Nobleがデバイスを今後経営の中でどう位置づけていくかが引き続き注目される。

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