出版業界ニュースフラッシュ 2012年6月第2週

出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届けする週刊連載。先週は、2012年上半期ベストセラーの発表などが注目されました。

» 2012年06月11日 13時30分 公開
[新文化通信社]
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2012年上半期ベストセラー、1位は?タニタ本?(日販・トーハン調べ)

 両社によると総合1位はいずれも『体脂肪計タニタの社員食堂』『続・体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)となった。以下、2位が近藤麻理恵『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)、3位が中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎)だった。

 4位は日販が三浦しをん『舟を編む』(光文社)、トーハンが南雲吉則『50歳を超えても30代に見える生き方』(講談社)、5位は日販が東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』『同2』(小学館)、トーハンが『舟を編む』だった。

【出版科研の書籍・雑誌販売額調査】4月期は前年同月比5.7%減

 2012年4月期、書籍・雑誌の推定総販売金額(本体価格ベース)は、1415億1200万円で前年同月比5.7%減となった。内訳は「書籍」が同6.1%減の647億2300万円、「雑誌」が同5.3%減の767億8900万円と、両部門とも5%以上のマイナス。当月は、「書籍」のヒット作品に恵まれず、好調だった昨年の反動が出た形となった。

 5月21日の金環日食に合わせ、「月刊天文ナビ」「天文ガイド」などの「科学・天文/地学」関連誌が大幅に部数を増やし、同ジャンルの推定発行部数は、同332.8%増となった。

大阪屋、減収増益に

 6月6日開催の第46回「大阪屋友の会連合大会」の席上、大阪屋の南雲隆男社長は2012年3月期決算で売上高が1199億4300万円(前年比5.5%減)と減収するも、販管費の削減効果で最終利益を確保し、減収増益となる見通しを明らかにした。

 返品率は総合で33.2%(同1・5ポイント増)。2年連続で悪化している返品率が課題と述べた。また、田村定良会長(田村書店)は「書店の健全経営には3〜5%のマージン増がないと厳しい。画一的な取引きから大幅な条件改正する時期」と語り、計画販売制を含め、雑誌の新たな販売施策の必要性を訴えた。

トーハン、経常利益ベースで増益に

 6月5日、第65期(平成23年4月1日〜同24年3月31日)決算を発表した。売上高は5039億0300万円(前年比3%減)で6年連続の減収。営業利益は54億4900万円(同10.5%減)、経常利益は32億9500万円(同2.5%増)、当期純利益は15億6100万円(同14.2%減)。営業外収益が伸長した一方で、営業外費用が大幅減少して経常利益ベースで増益。震災関連、退職金給付制度終了損などを特別損失に計上したことで、最終利益が減益となった。

 子会社13社を含めた連結決算は、売上高5145億4300万円(同2.8%減)、営業利益67億9500万円(同8.4%減)、経常利益37億5200万円(同3.5%増)、当期純利益16億5100万円(同12.9%減)。

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