そのほか、未対応のクラウドサービスや、その他のアプリケーション連携にも重宝する新機能がScanSnap Folderだ。
ScanSnap Folderは連携したいアプリケーションのファイルメニューなどから開くことで有効化される。有効化されるとScanボタンの設定が自動的にScanSnap Folder連携に切り替わるので、そのままScanボタンをクリックしてスキャン、保存を行えばそのフォルダにスキャンファイルが表れる。アプリケーションからファイルを選択し、処理した後は自動的にファイルが破棄される。
この機能を使うとアプリケーション主導、つまり、「スキャンをしてからアプリケーションを起動する」のではなく、「アプリケーションからスキャンを行う」という操作が擬似的に実現される。これはTWAIN非対応のデメリットを払拭するだけでなく、TWAINに対応していないアプリケーションに対してもスキャナとの連携を可能にする革新的な機能だ。
なお、これら最新版のScanSnap Managerで実現されている機能はS1000番台の既存モデルユーザーに対しても無償アップデートで提供される。
S1300iはUSB給電でも利用できるが、その場合のスキャン速度はS1300と変わらず、ほぼすべてのモードでACアダプタ使用時の1/3程度に落ちてしまう。だが、これはS1300iの特性を考えると大きなデメリットとはならない。なぜなら、S1300iはS1100の携帯性とS1500の据え置きの高速性の両方取りをした製品だからだ。
自炊などで大量の原稿をスキャンするシーンは自宅やオフィスなどであり、そういった場合にはAC給電によって高速にスキャンする。また、出先でのスキャン用にS1300iを持ち出すときは荷物を減らすためにUSBケーブルのみにする、といういわば二刀流の使い方ができる。
ただ、頻繁に自炊するヘビーユーザーにはS1300iはお勧めできない。一般的な書籍はページ数で260ページ、130枚程度だが、オートドキュメントフィーダの最大セット枚数が10枚に制限されるS1300iでは頻繁に原稿を追加する必要がある。S1500の場合は、2分30秒ごとに1度、初回含めて3回セットすればよいのに対し、S1300iは1分40秒ごとに1度、13回セットしなければならない。また、50枚がセットできるS1500ではADFのインジケータを参考にしながら前のセットの読み取りが終わる前に補充していくこともできるが、S1300iの場合は枚数の見極めに使うことは難しい。間隔が1ミリ程度しかないうえに構造上、やや原稿が浮き気味になってしまうからだ。書籍丸ごとのスキャンは「できなくはない」程度で忍耐を要するものであることは覚悟しておいたほうがいいだろう。
4万9800円(PFUダイレクト価格)のS1500に対して、半額近い2万7800円というリーズナブルな価格は大きな魅力だ。速度の面でS1100との差別化に乏しく、「どっちつかず」の印象もあったS1300に対し、S1300iはポータブル機という特性を除いても十分エントリー機としての性能を満たしている。持ち運びのできるドキュメントスキャナがほしいという人のみならず、自炊をしてみたい、でも今後継続してやるかどうか分からないのに5万円近い金額は出せない、という人にとって、検討する価値のあるモデルだ。
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