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» 2012年05月18日 20時00分 UPDATE

紙のリプレースではなく市場の拡大――ハイブリッド型総合書店「honto」が目指す先 (1/2)

多くのユーザーがリアル書店とオンライン書店をその時々で使い分けている日本。そんな日本市場では、「honto」が指向するハイブリッド型総合書店こそが利用者にすばらしい読書スタイルの提案ができ、出版市場自体を大きくできるとトゥ・ディファクトの小城武彦氏は言う。

[園部修,ITmedia]

 大日本印刷とNTTドコモ、丸善CHIホールディングスの共同事業として展開するトゥ・ディファクトが5月17日、オンライン書店「ビーケーワン(bk1)」のサービスを統合した、電子書籍と紙の書籍の両方を販売するハイブリッド型総合書店「honto」のサービスを開始。またジュンク堂、丸善、文教堂といったリアル店舗との連携も発表した。NTTドコモのスマートフォン向けに提供されていた電子書店「2Dfacto powered by honto」は名称をhontoに変更してサービスを継続する。

 これを受けて18日、トゥ・ディファクトがサービスのコンセプトなどを説明。同社の狙いが、既存の書籍市場を電子書籍でリプレースするのではなく、リアル書店とオンライン書店、電子書店のすべてのサービスを通して、出版市場そのものの拡大を目指すことにある、と明らかにした。

発表会で公開された「honto」のサービスイメージを説明する映像
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「honto」リニューアルの狙い

Photo トゥ・ディファクトの代表取締役社長、小城武彦氏

 hontoをリニューアルし、リアルの書店とオンライン書店、それに電子書店を三位一体で展開することにした理由を、トゥ・ディファクトの代表取締役社長、小城武彦氏は「日本人にとって、リアルの書店が日常生活の中で身近な存在だから」だと説明する。

 米国と日本の人口の違いや書店の数を比較してみると、米国では大型の書店が多く、全米の店舗数は9400店しかないのに対し、日本では小型店から大型店まで多様な形態の店舗が全国で1万5000店もあるという。米国の国土は日本の25倍広いが、本屋の数は日本の方が多いのだ。米国の書店が1店舗でカバーする面積は約1000平方キロにもなる。東京23区をすべて足した面積が621平方キロなので、それよりも広い。山などの人が住んでいない地域もあるとはいえ、米国はかなり書店が少ないのだ。ちなみに書店1店舗がカバーする人口は、米国では1店舗あたり3万4000人。日本では書店1店舗あたりのカバー人口は8500人程度なので、単純に比較すると、日本には米国の4倍の密度で書店があることになる。トゥ・ディファクトはここに着目した。

 「日本は通勤通学の途中に気軽によれる場所に本屋がある。車で本を買いに行く米国とは違って、書店で本をよく買う」(小城氏)

PhotoPhoto 米国と日本では、書店の利用シーンに大きな違いがある

 ネット上で、トゥ・ディファクトが「本を購入する際、書店と通販のどちらを選択しますか?」という調査を行った際にも非常に興味深いデータが得られたという。全体の約40.4%のユーザーが「書店のみ」と回答し、52.3%が「書店と通販(オンライン)の両方」と回答。通販(オンライン)でしか本を購入していない人は5.7%しかいなかったという。

 また、電子書籍サービスが広がりつつある中で、本の買い方が変わったかどうかを聞くために行った「電子書籍を購入してから、現物の本を購入する頻度は変わったか?」という調査では、73.8%の人が「変わらない」と回答したという。「今後電子書籍で読める本が増えたとしても、実店舗での書籍購入を続けるか?」との問いに対しては、63.0%が「これまでと同じ頻度で購入」、32.0%が「頻度は減るが購入し続ける」と答えている。

PhotoPhoto 多くの書店ユーザーは、リアル書店とオンライン書店を適宜使い分けており、オンライン書店を利用していてもリアル書店で本を買う人が多い。また電子書籍が普及しても、書店で本を購入するという行動には大きな変化はないという調査結果を示し、さまざまな形での読書体験を提供していくことが重要だという
Photo hontoはリアル書店とオンライン書店、それぞれのよさを生かす

 この結果を踏まえて小城氏は、「電子書籍が読めるようになり、タイトル数が増えても、店舗では変わらず本を買う人が多い。これが日本の生活者の実態だ」と話した。

 「ネットは便利だが、限界もある。検索性や利便性は高いが、セレンディピティ(偶発性)がない。一方、普段読まない本と偶然で会えるのは書店のようなリアルな場。双方の力を生かして、すばらしい読書ライフを提供したい」(小城氏)

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