NOOK Simple Touch with Glowlightの実機レビュー(2/2 ページ)

» 2012年05月16日 11時00分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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電子読書体験

 NOOKが対応しているファイル形式はEPUB、Adobe PDFなど。EPUB形式は電子書籍のインターネット標準で、フォント、行間、余白の変更に関してかなり自由度が高い。NOOKを買うと、Barnes & Nobleからの書籍購入に限定されず、どこでも好きなオンラインストアから購入する自由がある。ほかのストアで書籍を購入する場合、ユーザーは自分のデバイスに書籍を転送するのにAdobe Digital Editionsが必要になる。利用できない唯一のストアはAmazonで、これは同社が独自フォーマットを採用しているためだ。

 電子書籍貸出を実現するため、米国の多くの図書館はOvedriveのシステムを利用している。そして、ユーザーは公共図書館から書籍を借りるためにNOOKを利用できる。必要になるのは図書カードと4けたの暗証番号だ。

 インターネット経由で多くの書籍をダウンロードするユーザーや、コンテンツを取得するために怪しげなWebサイトに出入りするユーザーにもこの電子書籍リーダーは最適だ。ユーザーはEPUB形式でどんな本でもダウンロードでき、自分のライブラリーを管理するのにCalibreといったサードパーティー製プログラムを利用できる。

 余談だが、書籍の編集という点で、筆者はCalibreが好きだ。自由度が高いことがその大きな理由である。ユーザーがオンラインで書籍をダウンロードすると本のタイトルや著者名の綴りが間違っていたり、本のタイトル、著者名、シリーズ名がすべてタイトルに含まれてしまっていることがある。Calibreを利用して、これらの情報を変更し、また表紙絵を変更することもできる。サードパーティー製プログラムを利用したくなければ、書籍をブックフォルダやドキュメントフォルダにコピーするのにWindows Explorerを利用すれば良い。

 NOOK系列の電子書籍リーダーは読書体験のカスタマイズ性で競合製品より高い自由度を提供している。読書する際は8つのフォントから選択できる。デフォルトの選択肢はCaecillia、Malabar、Amasis、Gill Sans、Helvetica、Trebuchetなどだ。7段階のフォントサイズも用意されている。ユーザーのニーズに合わせてフォントサイズを最適化できるのは便利だ。行間、余白を変更したり、出版社のデフォルト設定に合わせたり多くのオプションがある。

夜間の読書

 Nook Simple Touch with Glowlightはどのような状況下でも読書できるようデザインされており、夜間の読書が優先的に想定されている。デバイスをiPad 3やNOOK TabletといったLCDタブレットと比較するために一連のテストを行った。ビルトインLEDライトを備えた新たなSoloarFocusのカバーやBarnes & Noble公式のBooklightとの比較も行っている。

 Kindle Touchのような専用電子書籍リーダーや初代NOOK Simple Touchでさえ、暗い場所で読書するためにはブックライトを利用する必要がある。これらのライトはスクリーンの上半分を照らすだけで、多くの場合、スクリーン上にLEDライトが反射することが検証により判明した。このテストで、新型電子書籍リーダーのGlow機能はさまざまなブックライトを圧倒した。

 iPad 3やNOOK TabletといったLCDベースタブレットは暗い環境下で読書できるようにデザインされており、スクリーンの明るさを調整する多くのオプションがある。多くの場合、背景を黒にテキストを白に変更する夜間読書モードも備えている。それにより頭痛を防止し、長時間読書しても目に優しい。本物の紙を模した電子インク技術とLCDスクリーンの間には明らかに根本的な違いがある。われわれが行ったほとんどのテストで、LCDスクリーンは夜間にかなり優れたパフォーマンスを発揮したが、しかし昼間の屋外での読書には問題がある。NOOK Simple Touch with Glowは屋内でも屋外でも専用電子書籍リーダーという点で、明らかに一番優れている。

われわれの考え

 Nook Simple Touch with Glowlightは2012年の電子読書の水準を引き上げた。これは暗い場所で快適に読書可能な唯一のデバイスだ。個人的に、筆者はもっぱら寝る前に読書する。過去、ライトを点けて、電子書籍リーダーのディスプレイをライトの方向に向け、ディスプレイに影が落ちないような格好で読書する必要があった。家族や恋人と寝ていると、ライトの点灯状態をめぐって争いになることもある。ブックライトかビルトインライト付きカバーを購入すれば、無益な争いを避けられるかもしれないが、電子書籍リーダーの魅力である軽量性と携帯性を損なうので、筆者はこれらの製品が好きではなかった。

 Glow機能に関する懸念点は、LEDライトが切れた場合、どうすればよいのかということだ。交換用ライトは市場に見当たらず、Barnes & Nobleはこの点について沈黙を続けている。言うまでもなく、Barnes & Nobleは米国外で自社の電子書籍リーダーやタブレットを積極的に販売していない。カナダ、オーストラリア、欧州などに居住されているなら、潤沢に在庫を持つ電子書籍ストアShop e-Readersでの購入をお勧めする。

 最後に。これはコストパフォーマンスが高い素晴らしい電子書籍リーダーで、唯一ビルトインされたライトを搭載するデバイスだ。それにより、どこでも好きなときに読書できる。LCDタブレットとは異なり目に優しく、紙の本を読むのに一番近い体験を得ることができる。電子コンテンツは紙の本を購入するよりもかなり安い。ハードカバーの新刊価格は25ドルから45ドルほどだが、電子書籍はしばしば9.99ドルに設定されている。Barnes & Nobleから購入した本はiOS、Androidなど多くのOS向けの公式アプリ上で読める。

長所

  • 暗い場所で読書できる
  • 書籍とニュースペーパーの幅広いエコシステム
  • 読書体験を変更する数多くのオプション
  • かなり購入しやすい

短所

  • ほとんどのBarnes & Nobleのストアで品切れ
  • 検索メニューにインターネットブラウザがない

評価:9.5/10



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