Amazon、3G版Kindle Fireを開発中か?

3G版Kindle Fireの開発に関する具体的な証拠はないが、それ自体は非常に筋が通ったうわさだ。

» 2012年05月07日 10時20分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

うわさ

 AmazonはKindle Fire 3G版を開発中なのだろうか。最近の内部情報によるとAmazonは社内でそのアイデアを検討しているようだ。

合理性

 Amazonはここ4年間自社の電子書籍リーダーに無料の3Gインターネット接続を提供してきた。Wi-Fi版と比較すると高価だが、ワイヤレスLANの圏外で自由にコンテンツを購入できる。

 既存のWi-Fi版Kindle Fireの欠点は休暇中や通勤中の衝動買いができないことだ。Amazonはしばしばハードウェアを原価割れで提供し、コンテンツ販売で収益を確保している。現在販売されているWi-Fi版だけでは、ユーザーが購入できるコンテンツ量を制限することで自分の首を締めているようなものだ。3G版は本質的に移動中のユーザーにより柔軟性を提供するものだ。ユーザーが3Gインターネット接続に利用料金を支払う必要はないが、Amazon社内での議論はユーザーが3G接続で何をするかに終始しているようだ。

 AmazonのネットワークとS3クラウドサーバがインターネット上のコンテンツデリバリーネットワークのほとんどを管理している。ネットワーク帯域とサーバネットワークをまかなうためAmazonのサービスを利用する世界最大級のWebサイトも存在する。ユーザーが動画や音楽のストリーミングサービスといった帯域負荷の高いタスクに3G版Kindle Fireを利用することはできないのではないかと筆者は思う。Amazonは移動中のユーザーに書籍、新聞、アプリ、オーディオブックなど帯域負荷の低いコンテンツを購入させたい。それは同社のこれまでの無料3G版電子書籍リーダーに欠かせないことで、顧客ニーズに合わせて違うモデルを用意するのはよいことだ。

 Amazonが実際に3G版Kindle Fireを開発中の場合、ユーザーができることはおそらく限定されるのではないか。同社が無料3G版を提供し、移動中のユーザーにNetflixやAmazon Primeの動画を鑑賞させることはない。コンテンツを表示するにはワイヤレスネットワークに接続する必要があるというメッセージを毎回表示するのがせいぜいだろう。それにより通信業界全体を蝕むネットワークへの過大負荷の問題は回避できるだろう。つまり、3G回線で本を買うことはできるが、それ以外にユーザーができることはほとんどないのではないか。

 Amazon Kindle Fireは非常に人気があり、現在Androidタブレットマーケットの54%を支配しているということには議論の余地がない。同社がBarnes & Noble Glowlightに似た電子書籍リーダーとKindle Fireの10インチ版を開発しているといううわさもある。

 Amazonが3G版Kindle Fireを開発しているという具体的な証拠はないが、それ自体は非常に筋が通ったうわさだ。Amazonはコンテンツが収益源で、ハードウェア販売はほぼ逆ざやとなっている。ユーザーが移動中にコンテンツを購入する自由を与え、その後3GからWi-Fiに移管するというのはまったく筋が通っているのではないか。

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