Marvel、紙のコミックで拡張現実への取り組みを開始コミックに命を

アメコミの雄Marvel Comicsは、“コミックの革命”計画「Marvel ReEvolution」を遂行すべく、紙のコミックに拡張現実を取り入れ、コミックに命を吹き込もうとしている。

» 2012年03月14日 19時00分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 米国の漫画出版社Marvel Comicsは、テキサス州オースティンで開催されたSouth By Southwest Interactive Conferenceの場で、自社の印刷版コミックに拡張現実(AR)を埋め込む取り組みを明らかにした。「Marvel AR」と呼ばれ、間もなく発売される「Avengers VS X-Men #1」で読者はこの取り組みを目にするところとなる。


 この新プログラムの主な前提は、紙のコミック内でその社会的側面を次のレベルへ引き上げることだ。対象のコミックはカバーにARに使うロゴが印刷されており、スマートフォンかタブレットでこれをスキャンすると、読者は無料の「Marvel AR」アプリ経由で追加のコンテンツにアクセスできる。このMarvel ARアプリは今後数週間以内にAndroidとiOS向けにリリースされる予定だ。

 追加コンテンツはコミックごとに異なり、編集者から一連のストーリーの流れが紹介されたり、執筆者が動画で登場するなどいったものが想定されている。今のところ、Marvel ARは印刷版コミックにのみ対応しており、同社は電子版での追随を正当化するかその成功を測る予定だ。

 Marvel ARの本質は販売を促進し、その社会学的な側面を次のレベルへ引き上げることだ。最近同社が出版したほとんどのグラフィックノベルでは、ストーリーが終わりに近づくにつれて読者は幾つかの特別なコンテンツを目にすることになる。執筆者、編集者とアーティストが作品のディープな部分についてコメントしたり、シーンごとの分析を加えていたりもする。今回発表された新機能により、印刷版上のスペースを節約し、追加のコンテンツにはオンラインでアクセスするという流れを生み出すことになる。

 Marvelは自社でこのAR技術を開発したわけではなく、Aurasmaと技術提携している。カンファレンスで披露されたこの技術はストリーミング動画の視聴、オーディオなどの機能を備え、多くの称賛を得ている。デモのさ中、Techcrunchは「AR体験はかなり印象的だった。スマートフォンがコミック内のIron Manに向けられると、巨大な3DのIron Manがページ前面に出現し、鋼鉄の筋肉をほぐし、音を立てて周辺を飛び回る様子が観客用に用意されたプロジェクターに投影された」と書いている。AurasmaのARエンジンは1月のCESでデビューしたものだ。

 「われわれはコミックに命を吹き込もうとしています」とMarvel Digitalの上級副社長であり、社長のピーター・フィリップス氏は語った。編集長のアレックス・アロンソ氏は「Avengers VS X-Menのシリーズには毎号、拡張現実を盛り込んでいく予定です。われわれのゴールはコミックの読書体験を豊かなものにし、新たな方法でストーリーを語ることです」と付け加えた。

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