コラム
» 2012年02月17日 10時15分 UPDATE

電子書籍リーダーはソーシャルメディアをさらに取り込むか?

電子書籍とソーシャルメディアの連携を進める動きがあるが、これらのネットワークが読書体験を向上させているか、それとも損なっているかを考えてみたい。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader
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 Amazon KindleやKobo Touchなど多くの電子書籍リーダーはソーシャルメディアを取り込んでいるが、それぞれの方法はかなり異なっている。AmazonのデバイスではTwitterとFacebook経由でユーザーが読んでいる本からの引用をシェアできる。一方、Koboは「Reading Life」を開発し、既成機能を一歩進めてユーザーは実績バッジや達成度を獲得できる。Koboは追加のソフトウェアなしにKobo VoxとApple iPad上でユーザーが同じ本を読んでいるほかの人と自由にリアルタイムでチャットする機能も提供している。これらの企業はさまざまなソーシャルメディアプラットフォームと十分に連携できているだろうか? あるいはこれは読書体験を損なう機能だろうか?

 ソーシャルメディアは成長している。Facebook Burnout上で先日行われた調査は、ソーシャルネットワークが誕生してから何年も経過したにもかかわらず、人々がそれに疲れ果てたり、それ自体陳腐化したりといったことはまだ発生していないことを明らかにした。Facebookは最近のIPO申請でニュースに何度も登場している。Twitterは「アラブの春」革命を助長し、ユーザーの友人が昼食に何を食べたかを知るのにも役立つもう一方の巨大ネットワークだ。

 明らかに、ソーシャルメディアはFriendsterやMyspaceが生まれたころからすると大きな発展を遂げた。これらのネットワークはわれわれの社会に織り込まれ、少なくとも高校時代の友人がどうしているか知ることができる。問題はこれらのネットワークが読書体験を向上させているか、それとも損なっているかということだ。

 読書は主として反社会的試みで、短時間であれ長時間であれ読書をするとかなり精神浄化作用を持つこともある。人々は喜んで本の世界へ飛び込み、誰かの生活を味わったり、ドラゴンと戦ったり、Appleがどのように創業されたかを知ったりする。読書は人を日常生活から解放し、短時間であれ電子メール、テキストメッセージ、仕事や子どものことを忘れさせてくれる。人々はポップアップするメッセージのうっとうしさや空想から現実へと引き戻すソーシャルメディア機能を本当に望んでいるのだろうか。

 ここ数年、われわれにメールしてくれたり、ブログにコメントしてくれたりした多くのユーザーの中でも、AmazonとKoboが読書体験に採用したソーシャルネットワークに対する反応はさまざまだ。読んでいる本からの引用について友人とチャットしたり自分の仮想ブッククラブを結成できるのは素晴らしいと考える人もいれば、不愉快に感じたり読書に集中できないと考える人もいる。サービスを提供している企業はそれらの機能を利用するかどうかをユーザーに委ねており、それらは今のところ読書体験に埋め込まれていない。

 明らかにソーシャルメディア要素は電子書籍と電子書籍体験全体からいちじるしく欠落している。テキストの一説をツイートしたり、読んでいる本のFacebookステータスを更新できるじゃないかって? 2009年はどうだっただろう。Koboはユーザーが読書している時のソーシャル体験全体を独自色の強いものにしている唯一の企業だ。同社は基本的に本からのテキストによりユーザーステータスを更新するReading Lifeで際立っていた。同社はこれを拡張し、ユーザーが読んでいる本に実績バッジや読書進行に応じた達成度を提供し、ユーザーはそれを友人にシェアできる。最近、Koboは自社のVOXタブレットでほかのユーザーが書いた本へのコメントを読むことができる「Pulse」機能を公開した。この機能には「ネタばれ」オプションも付いており、自分よりも先を読んでいるユーザーのコメントを読めないように設定できる。ユーザーはこの機能をレビューの投稿、本の評価あるいはただチャットするために利用している。数週間前、Koboは昨年、同社がD8会議で表明したFacebookとの提携の賜物である「タイムライン」機能をFacebookと連動するように更新した。

 筆者は企業がソーシャルメディアを正しく利用しておらず、読書体験においてそれがどのように機能すべきかということについて非常に革新的、あるいは示唆に富む何かを提供していないと考えている。例えば、自分が読んでいる本あるいはほかのユーザーが読書中にほかのユーザーとチャットできるのは素晴らしい仮想ブッククラブ機能とはいえない。Kobo Pulseはこれを何とかして達成しようとしているが、実装には満足できない。

 筆者としては、電子書籍形式で出版されたそれぞれの本のFacebookグループが自動的に作成され、それが特定の本の仮想読書クラブとしての機能を果たすようなものをぜひ見てみたい。本を読んでいる人が読書中にその本についてチャットできる機能を備え、「このキャラクターがこのセリフを言った時がよかった」と書き込んで、即座に「あ、わたしも」という反応を確認する。Facebookページにライブチャット機能を持たせれば共同体としての一体感を醸成することができるかもしれない。個人的に、筆者は週一でコーヒーを飲みながら、読んだ本について語り合う読書クラブというアイデアを好ましいと思っているが、こうしたものを探しだすのは本当に難しい。筆者は電子書籍リーダーを所有し電子書籍バージョンを読んでいる技術に詳しい人と語り合いたい。仕事で読書していないとき、Facebookの電子書籍ページにログインして、新しくできた友人と話したり、読んだ章を追体験したりしたいのだ。

 明らかにスタンドアロンのTwitter APIとFacebookアプリ以外にも主流の方法があり、コーディングの知識により巨大な利益をもたらすだろう。電子読書プログラムをよりソーシャル化するための革新的な方法を開発するためのプラットフォームの限界に基づけば、可能性は無限大だ。人間は生来、社会的存在で読書プロセスに拡張性のあるひねりを加えることでより多くの人が実際に読書するように仕向けられるかもしれない。企業がソーシャルメディアを正しく利用できれば、自社の製品やサービスに重要なセールスポイントを持つことになる。よりソーシャルな読書体験を待ち望む顧客はその企業に引き寄せられ、誰でも金もうけできるかもしれない。

 結局のところ、電子書籍のソーシャルメディア機能はいちじるしく不足している。多くの企業はユーザーが自分と似たような人と交流する体験を改善する多くの方法を模索していない。部分的に採用されているのはほかの人のウォールへの無差別な書き込みだけで、ほとんどのユーザーの友人は同じ志向を持ち合わせていない。電子書籍のインディーアプリや大手企業のアプリにさらにソーシャル機能を追加し、次の段階へと発展させることが業界の成長に寄与し、競合する機能、あるいはより優れた機能をより多くの企業が提供するように拍車をかけるだろう。

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