iPhone/iPadで無料漫画が読める! 「J Reader」使いこなし術(4/4 ページ)

» 2012年01月07日 10時30分 公開
[山口真弘,ITmedia]
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J Readerをさらに使いこなす

 J Readerはデフォルトでも快適に閲覧できるが、さらに快適に漫画を楽しむポイントもある。筆者がこれまで使ってみた中で「これは」というTipを紹介しておこう。ちなみにこれらはバージョン1.0.1の時点のものであり、今後のバージョンアップにより仕様が変わる可能性があるので、ご了承いただきたい。

縦表示と横表示を切り替えて使う

 J Readerを用いてiPadで漫画を表示すると、見開き表示でだいたい単行本の原寸サイズとなる。ただし稀に、これでは小さすぎて若干見づらいという場合もある。こうした場合は本体を縦向きにし、単ページ表示にすると拡大されて見やすくなる。

 以下に表示しているのは、鈴木みそ氏の「あんたっちゃぶる」だ。1990年代前半にファミ通(当時は『ファミコン通信』)に掲載されたルポ中心の漫画だが、一般的な漫画に比べると正方形に近い判型なので、見開きで開くと上下に余白ができてややバランスが悪い。また書き文字が小さいので、もう少し大きく表示できた方が読みやすそうだ。

鈴木みそ氏の「あんたっちゃぶる」第1巻。ほぼ正方形のページが見開きになるので、上下に余白ができてしまう。余談だが、この回はスーパーファミコン発売2カ月前の様子を描いており(1990年9月)、この数号後にはスーパーファミコン発売時の量販店の様子をレポートした回もあったりと、当時の熱狂ぶりを伝える興味深い内容となっている

 こうした場合は、縦向きで表示することで収まりがよくなり、また細部も読みやすくなる。回転のオン/オフについてはiPad側はもちろん、J Readerの設定画面からも指定できる。このほか、一時的に細部を拡大したいだけなら、ピンチイン/アウトによる拡大縮小にも対応する。

縦向きに表示したところ。細かい文字もはっきり読めるようになる(写真=左)/ピンチイン/アウトによる拡大も可能。ちなみにこのページはというと、マウスを使ってドット絵を描くエピソード。まだマウスが一般的でなかったため、マウスがどういうものかという説明から話が始まっているのが面白い(写真=右)

 ところで上のスクリーンショットを見て気づいた人もいるだろうが、実はこの「あんたっちゃぶる」は一般的な右綴じの漫画と違い、進行方向が「左→右」になっている。いわゆる左綴じで、セリフについても縦書きではなく横書きになっている。

 J Readerは、こうした綴じ方向が違うコンテンツについても、綴じ方向が自動的に切り替わる。多くのPDFビューワでは、起動のたびにいちいち綴じ方向を手動で右綴じに変更しなくてはいけなかったり、アプリによっては切り替え自体ができない場合もある(海外製のビューワでは上下にしかスクロールできないことも多い)。その点J Readerの挙動はなかなかインテリジェントだ。J Reader自体にも左右の綴じ方向を手動で切り替える機能はあるが、それらを使う機会はほぼない。

読み終わる前に続きを用意しておく

 J Readerで最後のページに到達すると、「最後のページです」というダイアログが表示され、そこから直接次のファイルを開くことができる。つまり1巻が終わると2巻、2巻が終わると3巻という具合に、シームレスに次の巻が表示できるのだ。有料サイトであればクレジットカード決済のプロセスがあるが故にいったん読書が中断されてしまうが、そこは広告モデルを採用するJコミとあって、続きがスムーズに読めるというわけだ。

最終ページでさらにページをめくろうとすると、次の挙動を選ぶためのダイアログが表示される。ここで「次のファイルを開く」を選ぶと、My Libraryで次に並んでいるファイルが表示される

 ただし続きが表示できるのは、すでにその巻のファイルがMy Libraryにダウンロード済みである場合に限られる。理想的なのはファイルがダウンロード済みでなくても自動的にJコミサイトに接続されてダウンロードが開始されることだろうが、現状ではそこまでの仕組みはない。My Libraryにファイルがなければ、無反応なまま終わってしまう。

 そのため、読んでいて「これは続きが読むことになるに違いない」と感じたら、読書の途中にいったんJコミのサイトに行き、次の巻のダウンロードを始めてしまうことをお勧めしたい。こうすれば、最終ページまで読み進めるころには次の巻のダウンロードが完了していて、スムーズに次の巻へと移動して読み続けることができるというわけだ。

 なお、続きとして表示されるのは必ずしも「同じタイトルの次の巻」というわけではなく、あくまでMy Library上で次に表紙が並んでいるファイルになる。そのため巻と巻の間で別タイトルをダウンロードすると、それが次の巻として表示される。これはこれで便利な場合もあるので、挙動のクセを知ったうえで上手に使いこなしたい。

次のダウンロードは読書中に行っておく

 JコミからPDFデータをダウンロードする際、iPhone/iPadがロック状態になるとダウンロードが中断され、最初からやり直すことになる。本来であれば、ダウンロード中は放置しておき、しばらくして席に戻ってきてから読み始める──という使い方ができるとよいのだが、PDFはそこそこのデータ量があるため、ダウンロードを完了する前にロック状態になってしまい、結果としてダウンロードが中断することになりがちだ。

ダウンロードの途中でロックがかかると、ダウンロードがそこで中断されてしまう場合がある。うまくいく場合もあり傾向が掴みづらいが、試した限りでは、複数コンテンツを同時にダウンロードしている最中にロックがかかると中断するケースが多いようだ

 これを回避するには、漫画ファイルを読んでいる最中に、バックグラウンドで次の巻のダウンロードを行うとよい。こうすれば、絶えず操作が続いているためiPhone/iPadがロック状態になることもない(ただしページめくりの動きは多少鈍くなる)。先に述べたように次の巻をあらかじめダウンロードしておけば最終ページからすぐさま次の巻に移動できるため、一石二鳥というわけだ。

 もちろん、これは現時点での仕様に合わせた使い方であり、できればダウンロード中はロックがかからず、また最終ページから自動的に次の巻のダウンロードページに移動できるような仕様があった方がファンとしては嬉しい。シリーズ単位でのダウンロードというのも、サーバ負荷の問題はあるにせよ、あれば便利なことは間違いない。今後のさらなる進化に期待したい。

複数の本棚を活用する

 J Readerでは、デフォルトで設定されている「My Library」の下に複数の本棚を持つことができる。シリーズごとに本棚を作って作品を分類したり、読み終えたがまだしばらく消さずにおきたい作品を入れておくといった使い方ができる。パスワードロックをかけることもできるので、iPadを家族と共用している場合などに、見られたくない本を隠すことも可能だ。

My Libraryの下層に複数の本棚を設定できる。作品別、ステータス別など、アイデア次第でさまざまな用途に分類できる。ブックマークは移動後も保持されるので安心だ

 iPhoneでは1画面に9つの作品しか表示できず、作品が増えてくるとスクロールして探すのも大変になるので、新たに本棚を作って作品別に分けることで快適に探せるようになる。こまめに活用するとよいだろう。

まとめと個人的要望

 J Readerは、分類上は「ストア連携機能を持った電子書籍ビューワアプリ」だが、ほかのサイトでは有料で購入する形になる電子書籍コンテンツが、広告モデルを採用するJコミでは無料で導入、閲覧できる。

 そのせいかどうかは不明だが、国内の少年漫画におけるお色気シーンなども現状では問題なく表示が可能だ(なお、アプリ自体は12+のレートがつけられている)。直接18禁に該当する表現はないとはいえ、これまで過剰なまでにアダルトシーンを規制してきたApp Storeの方向性からすると、かなり緩いアプリといえる。

 とはいえ、もちろん今後のAppleの方針によって、このアプリ自体が規制の対象となる可能性も残されている。Jコミのビジネスモデルと同様、このアプリもひとつの試金石として注目していきたいところだ。今回のiPhone/iPadアプリに引き続き、近日中にAndroidアプリの公開も予定されているとのことなので、Androidユーザーは公開を楽しみに待つことにしたい。

普段ページを表示している際は、画面の右下にバナー広告が表示されている。広告入りの無料漫画というJコミならではの仕組みだが、漫画の画面を隠すこともなく、表示は控えめだ。このほか各漫画ファイルの巻末には作者のアフィリエイトページへのリンクも用意されている

 最後に個人的なリクエストとして、未知の作品との出会いにつながる検索機能の充実を望みたい。2011年の春以降ほぼ毎日のように新作が公開され、現時点で150点を超えるタイトルが公開されているJコミだが、量が多いが故に、どうしても既知の作品もしくは作者の漫画に目が行ってしまい、読んだことのない作品には目が行きにくくなってしまっている。当初は公開される全作品をチェックしていたものの、挫折してしまったという人も(筆者以外に)いるかもしれない。

 現状でもジャンル別検索のほか、日毎に更新されるおすすめタイトルなどが用意されているとはいえ、未知の作品への導線としてはあまり効果がないように思える。今回も記事執筆に当たってダウンロードした未知の作品の中に「おっ、これは」という作品が幾つもあり、もったいないと感じさせられた。今後、こうした自分が知らない作品との出会いをもたらしてくれる何らかの機能が用意されることを期待したい。

ジャンル別検索ページは設けられているが、あまり積極的に使おうという気になれない。絵柄による検索など、未知の作品への導線が欲しいところだ
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