Zinio、電子雑誌出版の未来とAppleとの関係について語る

世界で最も成功している電子雑誌企業の1つであるZinioも最初は数々の試練に悩まされたようだ。

» 2011年11月28日 11時30分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 Zinioは世界で最も成功している電子雑誌企業の1つだ。われわれは以前、サンフランシスコで開催されたE-Reader ConferenceでZinoのユーザーエクスペリエンス担当副社長を務めるマシュー・デービス氏と情報交換した。

 デービス氏はZinioの国実用性、構造、美しさといったものを進化させる役割を主に担っている人物で、Zinioにほぼ創業当初から勤務しており、初代iPadの発表時には同社の事業を具体化し注目を浴びるよう尽力した。

 ZinioはConde Nastなど一流の雑誌出版社数社と提携しているが、Zinioが成功したのはiPadの莫大な販売量に起因するものが多く、実際ZinioはApp Storeで最も販売されたニュースアプリにまで成長した。芸術形態としての雑誌に強い関心を寄せるデービス氏はまさに雑誌のファンといった感じの人間で、かつては古いスケート雑誌の切り抜きで壁を飾っていたものだった。

 iPadの発表以前、同社はZinioのプロトタイプを幾つか作り上げていて、それらは窃盗を防ぐため、デスクに固定されかつ、頑丈なガラスで覆っていた。2010年2月、iPad発表の6週間前に同社が直面した試練はiPad上で完全に動作するアプリを開発し、2400以上のタイトルを移植し、そのうちの7タイトルを特に高品質で提供することだった。初期メンバー24人はこれらの仕事に集中し、小さなオフィスで丸々6週間、寝食をともにしたという。

 さらに、共通言語障壁の存在も、同社が初期に直面した試練だった。これは、プログラマーがデザイナーの言葉を理解することで、全員が同じ理解に至ることができた。雑誌界と出版界には難解な専門用語集が存在しており、全員が同じ言葉を解するようになるまでには試練を伴う。このプロセスの後、プログラマーとデザイナーがまったく話したことがないというWiredのような出版社を彼らは笑わずにはいられなかったという。

 アプリケーションデザインというのは新しい領域であり、特にジェスチャーシステム全体はゼロから開発する必要があり、同時に直感的で美しくなければならないため、非常に困難なチャレンジだ。ディスプレイの水平および垂直モードのタッチスクリーンナビゲーションにも新たなパラダイムが存在する。雑誌をスクロールするのに違うやり方を求める雑誌も存在した。例えば、Wiredは同じ記事内で違うページを経由し、左右にジェスチャーすることで違う記事を経由してスクロールするようユーザーに求めている。

 デービス氏との意見交換の中では、同社がiPad発表時に直面した幾つかの試練と、それが同社をどのように変えたかについて聞くことができた。こうした経験を経て、彼らは現在、小さなデザイン会社から北米に本社を2つ、そして世界中にサテライトの営業所を構えるまでに成長した。

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