電子書籍に対するユーザーの意識、日中で大きな差――ネットマイル調査

ネットマイルが日本と中国のパネルから回答を得た電子書籍に関する調査によると、中国での電子書籍の利用状況は日本をはるかにしのぐようだ。

» 2011年11月22日 14時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本と中国の電子書籍市場はどのような違いがあるのか――そんな疑問に答える調査レポートがネットマイルから発表された。

 日本人パネル600人に加え、92dp.comを通じて中国人パネル450名に対して実施した電子書籍に関するインターネットリサーチの調査結果によると、電子書籍の利用状況は、日本では約1割、中国では約7割と中国の方が圧倒的に多いことが分かった。同市場の発展に対する考え方も、日本では“そこそこ発展する”とした回答が6割であったのに対し、中国では6割が“大きく発展する”と回答しており、電子書籍への期待感の違いも浮き彫りとなった。

日中の電子書籍の利用環境を比較(出典:ネットマイル)

 電子書籍を利用する理由としては、日本では“本の置き場所に困らない”という理由が最も多かったのに対し、中国では“入手の早さ”が1位だった。これに加え、利用端末はPCでの利用が過半数を占める日本の状況に対し、中国ではスマートフォンや携帯電話での利用が全体の4割近くに達している。これらの結果から、日本では、“いつでもどこでも読める”という電子書籍の利点が、あまり重視されていないとレポートしている。

電子書籍を利用するに至った主たる理由の比較(出典:ネットマイル)。なお、中国では電子書籍を利用しない理由として「読みたいジャンルがそろっていない」が高い数字を示していた

 また、作品を13ジャンルに分けてそれぞれのジャンルが紙書籍と電子書籍のどちらに向いているかを尋ねた項目では、日本は、「紙書籍に向いている」の回答率がほとんどの項目で5割を超え、「文芸・文学」「歴史・時代小説」「推理・ミステリー・サスペンス」などは紙で読みたいという声が約7割を占める一方、「ビジネス・経済・キャリア」「ファッション誌」などは電子書籍で読むことを好む傾向があるようだ。

 一方の中国では、「電子書籍に向いている」の回答率がほとんどの項目で5割を超え、特に、「ロマンス・恋愛」「冒険小説」「ビジネス・経済・キャリア」では電子書籍で読むことを好む傾向が顕著だった。日中の調査結果を比較してみると、回答に差がみられたのが、「歴史・時代小説」「冒険小説」、「ロマンス・恋愛」といったジャンル。レポートでは、“紙書籍として保管・保存する日本”に対して、“電子データをコンテンツとして楽しむ”中国という構図がうかがえると結んでいる。

 購買経路などに関する質問項目がないため、この調査をもって市場の比較とするのは難しいが、それでも電子書籍に関する両国の違いはよく浮き彫りになっている。

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