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» 2011年11月08日 16時30分 UPDATE

電子書籍も“ニコニコ”で――ニコニコ静画(電子書籍)が正式オープン

ドワンゴと角川グループによる電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」(ニコ書)が始まった。ニコニコ動画で培われたコメント機能が電子書籍に新たな価値を与えることになるかもしれない。

[西尾泰三,ITmedia]

 ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」。その1サービスとして展開されている「ニコニコ静画」で、ドワンゴと角川グループによる電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」(ニコ書)が始まった。ここでは、速報記事でお伝えできなかった点などを、発表会の様子と交えて紹介する。

角川グループの電子書籍がニコニコ静画で読める!

 ニコニコ静画の1コーナーという位置づけのニコ書。その概要をざっくりとまとめると、「角川グループの電子書籍が、ニコニコ静画で読める」もの。これをもう少し詳細に書くと、「角川グループが提供する電子書籍配信サービス『BOOK☆WALKER』のコンテンツのうち、ニコニコ動画(あるいはニコニコ静画)のユーザーと親和性が高いものを中心とした作品群がニコニコ静画で読める」ということになる。ここから分かるように、基本的に作品の購入はBOOK☆WALKER上で行うことが前提となっている。また、BOOK☆WALKERアプリで購入した作品のうち、ニコ書に対応しているものは購入リストを更新することで表示される。

tnfignb6.jpg BOOK☆WALKERのコンテンツをニコニコ静画で閲覧する、というのがニコ書の基本イメージ。説明を行っているのはドワンゴ ニコニコ事業本部企画開発部の伴龍一郎部長
tnfignb1.jpgtnfignb2.jpg ニコ書で有料作品を購入する場合は、初回のみBOOK☆WALKERとのアカウント連携を許可する必要がある

 少し捕捉すると、現時点でBOOK☆WALKERはPC向けのビューワを提供していない。栗本氏の説明では、BOOK☆WALKERのPC向けビューワは来春まで登場しないようなので、現時点ではニコ書がその役割を担っている部分もある。ただし、BOOK☆WALKERで販売されている作品がすべてニコ書で読めるわけではない。BOOK☆WALKERは現在、約3000点ほどのラインアップとなっているが、編集部の意向などもあって、そのすべてがニコ書に対応しているわけではない。実際、ニコ書のラインアップは現時点で712点ほどだ。栗本氏は、今回スタートしたことで、その反響などを踏まえて数を増やしていきたいと述べている。

tnfignb7.jpgtnfignb8.jpg 『エイジプレミアム』Vol.1〜3、電撃コミックジャパンなども無料で読むことができる

ニコ書の意義は?

 ニコニコ静画で電子書籍を読む意義は、コメント投稿機能に集約されるといっても過言ではない。ニコ書では、ニコニコ動画などで好評を博すコメント機能が利用できる。同様の仕組みは太田出版の「ぽこぽこ」などもあるが、ニコニコ動画のユーザー数の前にはかすんでしまう。

 コメントは流れていくタイプのほか、範囲を指定した任意の場所にコメントを付けることもできる。後者は例えば、コミックの吹き出しや、あるいは活字ものの文字列に対して使うようなことが考えられる。面白い使い方も出てきそうだ。

 ちなみに、画面キャプチャなどによる不正な流通対策としては、ページ右下にユーザーアカウントのメールアドレスが表示されるようになっている。緩いDRMといったところだ。また、現時点では文字列検索などは実装されていないが、コメントと同時にTwitterに投稿する機能などは存在する(ちなみにTwitter経由でニコ書の作品ページに来た場合、コメントが表紙に帯のように表示されるというギミックも用意されている)。

tnfignb3.jpg ニコ書の閲覧画面。ここでは『ニコニコ静画(電子書籍)の使い方』を開いている流れているコメントとピンポイントで指定されているコメントがあることが分かるだろう。PC向けビューワでは、スペースキーでコメントの表示/非表示が切り替えられる (c)せら/ニコニコ静画

 ビューワについては、PC向けのほか、iOS向けにアプリがリリースされている。iOSアプリは純粋なビューワで、購入などはあらかじめ済ませておき、リストを更新することで同期する必要がある。

tnfignb4.jpgtnfignb5.jpg iOS版ニコ書 (c)せら/ニコニコ静画
tnfigapp1.gif

 「ホップ・ステップ、ジャンプに当たると思っている」――角川コンテンツゲート サービス開発部の栗本直彦マネジャーは、今回の取り組みについてこのように述べた。30万ダウンロードを突破したBOOK☆WALKERが提供するコンテンツと、ニコニコ動画のユーザー層がどのような化学反応を起こしていくのか、非常に注目される取り組みだ。

 今後の展開としては、まずコンテンツの拡充が挙げられており、発表会でのスライドでは取り扱い出版社の拡大、とあった。文脈から考えると、ここで指摘されている出版社というのは角川グループ以外の出版社も想定しているのではないかと考えられる。機能面では、Android向けのアプリ提供、ニコニコポイントでの決済代行機能の提供などが今後予定されている。

角川ニコニコエースは無料の週刊誌

tnfignb9.jpg 角川コンテンツゲート サービス開発部の栗本直彦マネジャー。AmazonのKindle Storeへの参加についてはコメントを避けた

 ドワンゴと角川グループが共同で創刊した無料のWebコミック誌「角川ニコニコエース」は、「少年エース」「ヤングエース」「コンプエース」「ニュータイプエース」など角川グループのエース系雑誌の中から幾つかの作品をパッケージングしたもので、創刊号のラインアップは「そらのおとしもの」「大好きです!!魔法天使こすもす」「デッドマン・ワンダーランド」「ケロロ軍曹」「タイガー&バニー」「東京ESP」「ナナマル サンバツ」「アニコイ」の8作品。毎週火曜日に更新され、作品は1話ずつ毎週/隔週/毎月のいずれかのパターンで更新されるという。

 角川ニコニコエースでは、新人作家の作品をユーザーからの直接投票で掲載する「ニコニコAコミック総選挙」を12月6日から実施するほか、イラストコンテスト(第1回は『そらのおとしもの』)など、読者とクリエイターの両方が参画する“Web”型の新しい誌面作りを模索している。これらがどのように進化していくかも注目だ。

 いずれにせよ、角川グループとドワンゴの強力タッグにより生まれたニコニコ静画(電子書籍)。これまでの電子書籍ユーザーとはまた異なるユーザー層がここから生まれてくるのではないだろうか。

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