フォトフレームが見た電子書籍リーダーの夢――TRiFUN DPF-A8WM10WHそれゆけガジェット調査隊(1/2 ページ)

読書のスタイルは人それぞれだ。今回の「それゆけガジェット調査隊」では、「フォトフレーム」を電子書籍リーダーとして使うという、ひとつの考え方から学べることを示してみたい。

» 2011年10月16日 14時00分 公開
[池田圭一,ITmedia]
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 電子書籍リーダー端末に求められる機能は多い。表示パネルのサイズに表示品質、本体質量やバッテリー運用時間などの携帯性、通信端末としての機能や書籍データの検索・購入を含めた使い易さ、さらには縦書きや書体など日本語表示に関する細目。これらすべてを1台で満たそうとすれば必然的にコストは跳ね上がり、ユーザーの自由度も低下するものだ……。

 と、前置きが長くなってしまったが、今回は「フォトフレーム」を電子書籍リーダーとして使うという、ひとつの考え方から学べることを示してみたい。扱うのは“1万円前後で購入できる”エレコムの「TRiFUN DPF-A8WM10」シリーズ。ここで紹介する内容はメーカーの想定外の使い方だが、ここには『工夫次第で快適』というDIY的な楽しさがある。

HD表示、8型ワイド液晶採用の新世代フォトフレーム

 まず、DPF-A8WM10のどこが新しいのか? 最大のポイントは、フォトフレームに“携帯性”を取り込んだことである。卓上を飾るデジタル写真立て、として普及してきたフォトフレームの大半は、据え置き式で要電源接続だ。しかし、DPF-A8WM10は手に持って使うシーンを想定して作られており、充電式のバッテリーで動作する。その形状は、昨今のスレート状の端末と似ているといえば理解しやすいだろう。

フォトフレームらしく写真を意識したパッケージと内容物一覧、USBホストケーブルやコンポーネントビデオケーブル、リモコンなどが付属する
これはホワイトモデルだがブラックモデルもラインアップ。スレート状の本体は薄く、持ちやすい。LEDバックライトの液晶パネルは珍しくノングレアタイプを採用

 HD品質(1280×720ピクセル)映像なども表示できる、1280×768ドットの8型ワイドカラー液晶の周りを薄い額縁(ベゼル)が取り巻き、一方の短辺には操作ボタンやスピーカーの開口部が見える。サイズは幅213×高さ134×厚さ14(ミリ)で質量はわずか380グラム、特に裏面がフラットなのが手に持ちやすい。

裏面下部には、引き出して使う立てかけ用のスタンドを収納。なかなか憎い演出だ
電源、前に戻る、再生/一時停止(選択)ボタンと、その周囲の十字方向に押せる枠(音量調整ほか)、各種設定のM(オプションメニュー)ボタンとなっている。ボタンの下は赤外線リモコンの受光部で、側面に電源スイッチとインジケーターがある(写真=左)/左側面には、USBポート、SDカードスロット、映像出力(コンポーネントビデオ)、ヘッドフォンジャック、電源コネクタがある(写真=右)

 電源を入れると初期メニューを表示、左から「お気に入り」「エクスプローラー」「写真」「ムービー」「ミュージック」「電子ブック」「セットアップ」となっている。それぞれのアイコンを示すときに、データソースを4Gバイトの内蔵フラッシュメモリか側面のSDカードスロットに差し込んだメディア(32Gバイトまで)かを選択して各種データを表示。なお、側面にあるミニUSB-BポートはPCと接続して内蔵フラッシュメモリにアクセスするほか、付属ケーブルを用いてUSBメモリも接続できる。さらに、カードリーダーを接続するなどして別メディアの読み込みも可能だ(USBホスト機能)。

主メニューと各モード選択時、4Gバイトのフラッシュメモリを内蔵するのが頼もしい

 エクスプローラーではファイル選択により、拡張子から写真、動画、音楽を識別して再生。各モードでは再生可能なファイルを自動的にリスト化し、フォルダ階層ごとに再生していく。

特筆すべきmp4動画プレーヤーとしての快適さ

 DPF-A8WM10が扱える(再生できる)データは次のようなものがある。

DPF-A8WM10で扱えるファイルフォーマット

静止画:JPEG(JPG)、BMP、PNG

動画:MPEG-1(mpg)、MPEG-4 AVC/H.264(mp4)、MotionJPEG(AVI)

音楽:MP3(mp3)、AAC(m4a)、PCM(wav)

文書:TEXT(txt)


 マニュアルには、TS(MPEG2)やVOBなどの動画形式、APEやWMAなどの音楽形式にも対応すると記されている(なお、ピットレート240kbps以上のmp3データは再生できなかった)。

 いろいろ試してみた。フォトフレームだけあって、液晶の発色もよく写真表示は美しい。拡大(ズーム)表示やBGM再生機能もあり、写真表示の基本機能だけでも十分な価値がある。写真を映していないときに表示する簡単なカレンダーや時計機能がほしいところだが、自動ページ送り機能(早・中・遅の3段階+指定間隔タイマー)を使って、1時間ごとに自分で作った時計画像などを表示させてもよいだろう。

表示解像度1280×768ドット(15:9比)のTFTカラー液晶、8型ワイド液晶としては高精細で発色も抜群にいい。サムネイルでの一覧表示も可能だ
オプションメニューでBGM再生やスライドショー設定も可能
3秒〜任意の間隔での表示切替が可能、スライドショー切り替え効果も数種類ある

 音楽再生も、レベルメーター表示や優れた音響効果(クラッシック、ロック、ポップスなど)など、なかなか高機能。内蔵スピーカーの出力は“単なる音”のレベルだが、ヘッドフォンジャックからの出力はかなりの高音質で、思わず聞き惚れるほどだ。携帯音楽プレーヤーとしては大きく重いが、存在感があるため使い勝手は良好だ。カバンに放り込んで通勤・通学のお供にするのもいい。

レベルメーター表示で退屈しない音楽再生時、再生音質が良いのでアンプなどと接続して聴きたい。背景や音響効果も数種類用意され、画面表示の自動オフも可能だ

 続く動画再生だが、これには驚いた。CPUなどのスペックは明らかになっていないが、間違いなく動画表示処理専用のハードウェアコーデックを積んでいる。試しに、HDあるいはフルHD解像度のmp4動画を幾つか再生したところ、非常にスムーズに再生できた。

mp4やMPEG-1動画再生が可能。前回中断時からの再生にも対応
2500kbpsの720P・HD動画も軽快に再生できている。動画ビューワとしても有効だ(ネルドラP氏、MMD】Ding-Dong【PV】(HD) http://nico.ms/sm11975190 より)
デジカメで撮影した動画やネット動画などを再生し、バッテリーで3時間10分動いた

 DPF-A8WM10には容量2800mAhのバッテリーが内蔵されており、静止画スライドショー連続表示で約3時間の再生が可能とある。

 実際に、内蔵フラッシュメモリに入れた十数本のmp4動画を、繰り返し再生し続けたところ(バックライト輝度10段階中5、ヘッドフォン接続で適正音量に設定)、約3時間10分でバッテリーが切れ、自動でシャットダウンした。節電モード(バックライト減光)を活用すれば、利用時間はさらに延びるだろうが、これならちょっとした映画などの再生も十分耐えそうだ。

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