大手出版社、電子書籍市場の利用を望む

伝統的な出版社は電子書籍のトレンドについていけなくなるのだろうか。創業204年のJohn Wiley & Sonsは、自社がそうならないよう電子書籍に向き合い始めた。

» 2011年09月21日 10時00分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 現在の出版産業に関する不満の1つは、伝統的な出版が時代遅れのモデルに則って機能していることだ。店じまいを余儀なくされる書店がますます増えていることについて、出版産業全体が単にトレンドについていけなくなっているのだと非難する人もいる。何人かの時代を代表する偉大な著者(例えば、エドガー・アラン・ポー氏)で有名な創業204年のJohn Wiley & Sonsは今年の第3四半期までの電子書籍売り上げが3倍に上昇したが、全体の売り上げに占める割合はわずか11%に過ぎない。しかし、同社はそれを変えたいと望んでいる。

 この小さな割合に含まれるタイトルのほとんどは、人気のあるFor Dummiesシリーズと幾つかの主要な料理本といった教材である。教育的なコンテンツは電子書籍リーダーと相性が良く、ほとんどの人が何らかの形で教材に頼っており、それらは必ずしもリビングルームのアームチェアで寛ぎつつ読んでいるのではなく、むしろ教材が参照用に必要とされる慌ただしい状況下で読んでいるのだ。デジタルデバイスをキッチンカウンターに乗せてレシピを見つけるということに懸念を抱く読者も存在するかもしれないが、ボタン1つで情報が必要とされるさまざまな状況に電子書籍はよくなじむ。

 John Wiley & Sonsでは、電子書籍を含むデジタルコンテンツが今会計年度の売り上げの40%を占めた。売り上げを押し上げた要因の一部は、同社がドイツのAmazonストアを含む幾つかの電子書籍流通プラットフォームと契約を交わしたためだ。同社は数年前に英国の大きな学術書出版社を買収しているが、この分野を拡大させる企業やプラットフォームの獲得で素晴らしい仕事をしてきた。同社は電子書籍の成長を積極的に求め続ける試みとして、テクノロジーおよびデジタル企業の新たな源泉を買収しようとマーケットに参入している。

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