新聞社、無料タブレットで読者を引き付ける

購読者と広告収入の減少に悩む紙の新聞業界。そんな中、フィラデルフィアの新聞社は、Androidベースのタブレットを無償配布するというモデルを打ち出した。

» 2011年08月03日 12時00分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 紙の新聞業界は過去数年瀬戸際に立たされており、何十年もの経験と読者層に支えられ、また評価されてきた報道機関が倒産に追い込まれるのを恐怖を感じつつ観察している。ほとんどの新聞は朝刊がニューススタンドに到着する24時間前に起きたニュースを伝えており、即時性に欠けること、そして、オンラインおよびライブストリーミングのニュースという選択肢の存在を踏まえ、多くの批評家はビジネスモデル全体を批判している。広告収入は購読者数の現象とともに落ち込んでおり、購読者と広告収入の減少は、新聞業界にとって財政的に両方向からの打撃となっている。

 そんな中、フィラデルフィアの2紙、The Philadelphia InquirerPhiladelphia Daily Newsは、2年以上購読する意思がある読者とニュースアプリを4つ購入する意思がある読者にAndroidベースのタブレットPCを無料配布することで、長期の電子版購読を奨励している。両紙とローカルイベントを紹介するWebサイトphilly.comは、2010年秋に倒産した両紙を買収した投資家グループのPhiladelphia Media Networkが所有している。

 タブレットの無料配布は現在オンラインでニュースを読んでいる若い読者層、特に日常的にphilly.comを利用している人々を引き付けることを目的にしている。両紙の電子版を購読している読者数はおよそ3万5000人で、Philadelphia Media Networkでは、読者に新聞のコンテンツをオンライン購読可能にするアプリを搭載するデバイスを提供することで読者数増につながると期待している。

 タブレットや機能に関する詳細は公表されていないものの、同紙のスポークスマンは、Androidデバイスを採用したのは、iTunes Storeを利用した場合に発生する厄介な手数料を回避するための意図的な試みだとはっきり述べている。

 業界内では、こうした動きは一時的な解決にしかならないと考える人もいるが、そのことによって生じる害はないと見ている。Androidに特化したアプリは、Webアプリ全盛の時代に、問題に対処する努力が少すぎるし遅すぎるのではないかと指摘する率直な反対者もいる。同紙のスポークスマンは、これは新聞を電子版に転換するための試みではなく、むしろニュースをオンラインで読みたがっている読者に届けることで読者数を回復する試みである話している。

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