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» 2011年07月12日 10時00分 UPDATE

腐女子勉強会:キャラに恋をした経験、ありませんか? 私が腐女子になった理由

男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性を指して使われる「腐女子」。現代のコンテンツマーケットで強力な存在になりつつある腐女子の世界について、今Web上で女子力全開のまみぺこさんが4名の方に教えを請う。

[まみぺこ,ITmedia]

はじめに

 男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性を指して使われる「腐女子」。電子書籍の世界でも、腐女子が好むジャンルの人気はうなぎ登りで、主要な電子書籍ストアでは、この売れ筋ジャンルをしっかりとカバーしているほどだ。

 しかし、実際のところ、私たちは腐女子について幾らも知らない。「えっちなことしかよく分からないWebデザイナー&コーダー」としてネットカルチャーやサブカルチャーの世界を独自のセンスで分かりやすく紹介してくれる「はぁはぁブログ」のまみぺこさんもその一人だ。そこでeBook USERでは、まみぺこさんが4名の方に教えを請い、腐女子の世界について学ぶ場を用意した。気鋭のマルチアイドルであるJulieさん、秋葉原にあるメイド喫茶「シャッツキステ」のオーナーであるエリスさん、大学の非常勤講師でもある“腐男子”芸人サンキュータツオさん、そして、現役のボーイズラブ系漫画家である藤井あやさん――この4名がそれぞれの立場から腐女子の世界をまみぺこさんに紹介する様子を今回から数回に渡ってお届けしたい。

 もちろん言うまでもなく、腐女子の世界は十把一絡げにして語れるほど矮小(わいしょう)なものではない。ただ、それでも最初の理解を促進する一助とはなるだろう。

 では、まみぺこさんとともに体験いただこう。腐女子たちの脳内ワールドを。そして、現代のコンテンツマーケットの一角を占めるジャンルの奥深さを。

BLは少女漫画の延長線――Julieさんの場合

まみぺこ
漫画もアニメもゲームも大好き。
きちんとヲタクとして育ってきたはずなのに、ボーイズラブ(BL)だけが分かりません!
なぜ? どうしてみんな腐っていくの? 私だって腐女子になりたかった。
BLの魅力をもっと知りたい。腐女子の世界をもっと教えてほしい。
腐女子は、一体何に萌え、ときめいているのか。その素顔に迫ります。

「小学生のとき、腐女子になったんですよ」
恥ずかしそうにはにかみ笑いながら、Julieさんは教えてくれました。
どうして腐女子になったのか。どんなBLとの出会いがあったのか。
まずは、腐女子になったきっかけから教えてもらうことにしました。

Julieさん

秋葉原を中心とする「OTAKUカルチャー」。その中に混在するアニメ、漫画、アイドル、コンピューターゲーム、ハードウェアなどを素材に、この文化を二次創作してみせるJulieさん。自身がセルフプロデュースするグラビアアイドル「天野あい」も文化としての「アイドル」というコンテンツで創作した彼女の二次創作作品の1つ


まみぺこ
Julieさんは、グラビアアイドルでもあり、写真家でもあり
iPhoneアプリまで制作してしまう才能あふれるマルチアイドルさん。
しかも噂によると、なな何と「ガチで腐女子です」とのことですが、
いつから腐女子になったんでしょうか? 教えてください!

Julieさん
初めてBLと出会ったのは、小学生のときですね。
塾の帰りに本屋さんで『BE×BOY』を偶然手にとったのがきっかけです。

サンキュータツオさん
ええっ、いきなり『BE×BOY』ってなにそれすごい。腐女子のエリートですね。
好きなアニメのアンソロ本や同人誌からBLにハマったわけじゃないんですか。

Julieさん
そうなんです。
いきなり商業BLからだったんです。

まみぺこ
えっと……『BE×BOY』ってBL漫画の雑誌なんですよね。
男の人同士のエッチなシーンもあるんですか?
セッ、セッ……

Julieさん
セックスもガンガンありますよ。絡みまくります。
いかにどんなシチュエーションでヤるかという感じです(笑)
もちろん初めは「何だろうこれ?」ってびっくりしました。
でもBLって、少女漫画の延長線なんだなってすぐ分かったんです。
恋愛の自然な流れとして男同士もアリだなと、ナチュラルに受け入れられましたね。

疲れたときは、すごくBLが読みたくなっちゃうんです。
恋愛の話が読みたくてたまらない瞬間ってあるんですよ。
すごく疲れているときとか、気力がまったくないときとか。
でも、そういうときに、ヒロインが女の子の恋愛話だと感情移入しすぎてしまう。
自己投影してしまうんですね。どうしても。それが疲れるんです。
自分とまったく関係のないところの恋愛が読みたい気持ちになるんです。

だって男と男だったら、どっちにも感情移入できないじゃないですか。
陰からこっそりのぞくんです。美しい男の人たちの恋愛を。
「受け」や「攻め」のキャラクターに感情移入して読めるようになったのは
もっと腐女子として成長して、ずっとあとになってからです。
当時は「感情移入しない」っていうプラスの意味での読み方でした。
少女時代は、あまり性的なことに近づきたくなかったんですけど
BLなら大丈夫だったんです。生々しくないから。

Julieさん

まみぺこ
ちなみに、「BLが好きです」「腐女子です」といったことは周りには隠していたんですか?

Julieさん
隠してましたよ。
でも、親にバレたことはあるんです。
ある日、私の『BE×BOY』が机の上に……
片付けられていて……すごくショックで……。

サンキュータツオさん
それ完全に男子がエロ本親バレしたときの体験談ですね(笑)

Julieさん
ううう、そうなんです。
お母さんに「あんたこれ……」って言われて。
「あ、それ……漫画……」って(笑)
ただのエロ漫画だと思ったのか、娘がBL好きなんだと分かったのか
どう思われたのかは謎です。つらかったですね。忘れられないです。

まみぺこ
ごめんなさい!
古傷をえぐってしまいましたね。
ちなみに、学校の友達にも隠していたんですか?

Julieさん
クラスの子にも絶対言えませんでしたね。
ずっと一人でBLにハマっていました。
腐女子の友達ができたのは、実はアニメイトがきっかけだったんです。

私、初恋はアニメのキャラだったんです。
『ガンダムW』のデュオ・マックスウェルに恋をしてしまって。
毎週アニメを見ないと会えないし、アニメだけじゃ足りなさすぎて
もっともっと彼に会いたくて同人誌を買いまくっていました。
キャラに恋をした経験、ありませんか?

エリスさん
ありますあります。
私もそうで、「もっとこのキャラのことを知りたい」とか
「公式だけでは足りない」って飢えて飢えて同人誌に走るんですよね。
男性キャラに恋をするというのは腐女子になるきっかけかもしれませんね。

Julieさん
ですよねですよね。
私はデュオがもう好きで好きで好きすぎて
だから地元のアニメイトに通いはじめたんです。
アニメイトって同人誌コーナーに交流ノートがあるんですよ。
「このカップリングが好きです」とか「このシチュエーションが好きです」って
絵を描いていたら、その交流ノートがきっかけでやっと腐女子の友達ができました。

Julieさん

Julieさん
そういえば、うちの実家の近くにあった本屋さんでの話なんですけど。
漫画が少ない本屋さんで、もちろんBLはなかったんですけど
ある日いきなり私の『BE×BOY』が一冊入荷されていたんですよ!

びっくりして買っちゃったんです。
でも、それってたぶん誰かが「入荷してください」って頼んだものだったのに
空気を読まずに私が買ってしまったんでしょうね。次の月に行ってみたらないんです。

本屋のおじさんに「あの本ありますか?」って聞いてみたら
「ごめんね。今月はもうないんだけど、取り寄せておくね」って。
それから毎月取り寄せてくれるようになったんです。
だからそれ以来、わざわざ遠くの本屋さんまで行かなくても
確実に手に入れられるようになったんですよ!
しかも行くと必ず「あるよ」ってささっと出してくれるという。

サンキュータツオさん
何ですかそれ!
超いい話じゃないですか。

まみぺこ
いい話すぎますね!
結局のところ、JulieさんはBLに何を求めていたんでしょうか?

Julieさん

Julieさん
私が子どものころからここまでBLにハマったのはきっと
透明感のある恋愛を求めていたからなんだと思います。

思春期になると、クラスの女の子たちはだんだんおしゃれし始めたりして
男の子の気を引くようになるんだけど、私、そんな気持ちに全然なれなくて。
クラスの男子をかっこいいと思えなかったんですよ。
大声で騒いでうるさいし、給食の食べ方も汚いし。
そんなとき身近にあった奇麗な恋愛が、BLだったんです。

恋をしたくなかったんでしょうねきっと。
自分が恋愛することに対して、性的なところを避けていたんだと思います。
男子が嫌で嫌で仕方なかったから私はBLの美しい世界に行くんだ! と思って
少年愛漫画の金字塔とうたわれる『風と木の詩』などを読んでいました。
思春期に私みたいな理由でBLにハマる女の子はけっこういるんじゃないかな。

まみぺこ
なるほど!
「腐女子になった理由」勉強になりました!
でも、まだまだ腐女子の世界は謎だらけ。
次回は秋葉原にあるメイド喫茶『シャッツキステ』オーナーのエリスさんから
「BLは脳の知的スポーツである」というお話を伺います。
お楽しみに!

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