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» 2011年07月08日 19時15分 UPDATE

国際電子出版EXPO Report:「電子書籍の自販機本」は登場するか――大日本印刷などが参考展示

ある世代以上の人には懐かしく感じられるかもしれない「自販機本」。「第15回国際電子出版EXPO」の会場では、電子書籍の自動販売機が参考展示されており、再び日の目を浴びそうだ。

[西尾泰三,ITmedia]

 7月9日まで東京ビッグサイトで開催中の「第15回国際電子出版EXPO」。電子書籍市場の盛り上がりもあり、会場には多くの人が足を運んでいる。

 各社のブースを回る中で、なるほどこれは紙では難しいだろう、と思えるソリューションも幾つか確認できた。例えば、「電子書籍の自動販売機」である。

 私たちは、紙の本の自動販売機というのを普段あまり目にしない。1980年代に多感な時期を過ごした方であれば、自動販売機でポルノ写真本、いわゆる自販機本が販売されていたことを懐かしく思い出す方もいるかもしれないし、現在でも、一部の駅構内で文庫などを扱う本の自動販売機も一応存在する。

 しかし、自動販売機の中に物理的に格納できる程度の冊数では、多くのタイトルを扱うことができないのは容易に想像できる。紙の本の自動販売機というのは、そうした物理的な制約のため、採算性のあるビジネスとは言いがたい。

 しかし、基本的にデータでしかない電子書籍であれば、そうした制約を受けることがない。モバイルデバイスの多くが3G回線を搭載している現状を考えれば、端末から直接購入する方向が支持されているとはいえ、選択肢の1つとして再び日の目を浴びようとしている

2つのブースで展示されている「電子書籍の自動販売機」

tnfigeas1.jpg グローリーのブースで参考展示されているフィーチャーフォン向けの電子書籍自動販売機(クリックでディスプレイ画面の詳細)

 そうした電子書籍の自動販売機に関して、第15回国際電子出版EXPOでは2つの展示を見ることができる。1つは自動販売機の開発などを手掛けるグローリーのブース、もう1つは大日本印刷のブースだ。

 グローリーが参考展示しているのはフィーチャーフォン向けの電子書籍自動販売機。いわゆるケータイコミックなどをわずらわしいユーザー登録をすることなく購入できる手軽さを売りに訴求したい考えだ。

 仕組みとしては、やはりタッチパネル式のディスプレイから希望の商品を選択し、代金を支払うと、QRコードとアクセスコードが印刷された券が発券され、QRコードを読み取ることでサイトに接続、そこでアクセスコードを入力することでコンテンツがダウンロードできる。

 グローリーでは今後、駅構内などへ設置する提案を行っていくとし、早ければ2012年にも登場するとしている。また、合わせてスマートフォン対応も図っていくという。


tnfigeas2.jpg 大日本印刷のブースで参考展示されているKIOSK端末。SDカードスロットなどが確認できる

 一方、大日本印刷のブースでは、同社が志向するリアルとネットの融合による「ハイブリッド書店」サービスの1つとして、KIOSK端末が参考展示されている。紙と電子を問わず検索して購入できるスタイルで、単なる自動販売機というよりは、現在書店などに設置されている在庫検索端末に電子書籍の購入機能を追加した格好の端末といえる。

 グローリーが展示していたものと異なり、こちらは会員サービスの一環として考えられており、ユーザー登録を行う必要があるが、その分購入までが素早く行えるのが特長。展示されている端末にはSDカードスロットが用意されており、電子書籍を購入した場合はそこにダウンロードするようなイメージだと思われる。また、クレジットカードや電子マネーにも対応している。同社では、早ければ年内にもこのKIOSK端末をグループ傘下の書店などに設置していく考えだ。


 こうした電子書籍の自動販売機に対する業界の興味は、それをどこに設置するか、である。例えば大日本印刷などはグループ傘下の書店に設置することを視野に入れているが、施策として、ある場所に設置された端末だけで購入できる電子書籍作品、といった展開も考えられるかもしれない。読者と書店の関係強化にこうした電子書籍の自動販売機がどう寄与するかが注目される。

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