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» 2011年07月08日 08時00分 UPDATE

たまねぎIT戦士の国際電子出版EXPO Report:電子書籍の未来を感じ、最新技術を体験してきた――電子出版EXPO開幕

東京ビッグサイトで「第15回国際電子出版EXPO」が開幕した。会場には電子書籍向けデバイスや、コンテンツ、ソリューションが展示されている。電子書籍市場へ注目が集まっているためか、会場内は非常に混雑していた。

[池田憲弘,ITmedia]

 国内最大級の電子出版専門展「第15回国際電子出版EXPO」が東京ビッグサイトで開幕した。会場には国内各メーカーの電子書籍向けデバイス、コンテンツ、ソリューションが展示されている。入場料は1200円(招待券持参で無料)で、入場者数は約8万人となる見込み。この記事では、会場内部の様子や見どころをリポートする。

 会場に入ると、まず凸版印刷のブースが目に飛び込んでくる。同社は電子書籍の流通事業、ARを用いたソリューションや、インテルと共同で立ち上げた電子書籍サイト「BookLive!」などさまざまな事業の紹介をしているが、記者のオススメは凸版が“未来の電子雑誌ビジネス”と銘打つ「Choiiist!/Next Choiiist!」だ。

photophoto 凸版印刷ブース(写真=左)、ブース内のステージで佐々木俊尚さんが講演していた(写真=右)

 Choiiist!はエンドユーザーにコンテンツを提供するための基盤プラットフォームで、雑誌コンテンツを記事単位で手に入れられることが特徴。ユーザーの興味関心や普段の生活圏に関する情報を入力し、個人に合った記事をレコメンドする機能や、よく訪れる場所に関連する雑誌記事をピックアップしてくれる機能もある。また、購入した記事を組み合わせてサービス側が整形し、自分オリジナルの雑誌を作ることもできる。今後の展開としては、作成したオリジナルの雑誌のSNSにおける共有の可能性を探りつつ、年末から来年の早い段階でのローンチを目指すとしている。

photophotophoto Choiiist!メイン画面。この画面から記事を買う(写真=左)。ユーザーの興味関心や普段の生活圏に関する情報を入力(写真=中央)。購入した記事を組み合わせてオリジナルの雑誌を作ることも可能だ(写真=右)

 Next Choiiist!はChoiiist!のユーザーインタフェースやシステムに実験的な要素を加えた参考展示だ。他のユーザーをお気に入りのキュレーターとして登録し(twitterのフォローのようなイメージ)、キュレーターが購入した記事をレコメンドする機能を備えるなど、SNS的な要素を取り入れたインタフェースを採用している。また、面白い情報を偶然見つけるという目的に特化させ、記事のサムネイル画像を、3次元空間の中にプロットした「エモーショナルビューア」という新しいUIを提案している。

photophoto 他のユーザーをお気に入りのキュレーターとして登録できる(写真=左)。新しいUI、エモーショナルビューア。情報の海にダイブしているような感覚を味わえる。手前の情報は新しく、奥にある情報は古い(写真=右)

 廣済堂のブースでは、PS3用のビューワ「PLAYVIEW」を用いた電子書籍の新しい表現技法が参考出展されている。フルハイビジョン画質で電子書籍の画面が表示され、マンガのコマをズームすると映像が流れたり、最初はモノクロで表示されている画集が、ズームするとカラーになったり、画面に表示している詩が読み上げられるなど、PS3と組み合わせることによってさまざまな仕掛けや表現技法が可能となることを示すデモが行われている。

photophoto 廣済堂のブース(写真=左)/画面に表示している詩が読み上げられる(写真=右)
photophoto 中央部分に黄色いマークがある。ズームすると映像が流れる仕組みだ(写真=左)/画面右下で映像が流れている(写真=右)(c)Sony Magazines
photophotophoto 最初はモノクロの状態で画集が表示される(写真=左)/拡大するとカラーになる(写真=中央)/画面中央上部の画像にズームした(写真=右)(c)コミックハウス

 電子出版EXPOでは、電子書籍の出版や販売を手がけるソリューションが数多く出展されているが、中でもSeesaaの「forkN」が興味深い。もともと紙媒体である書籍を電子版に変換するというソリューションが多いなか、forkNはブログのような感覚で書籍の本文や表紙を編集するというゼロから電子書籍を出版する個人向けのサービスだ。

 作成した書籍はforkNで販売でき(無料)、売り上げの70%を作者が得るというビジネスモデルを採用している。このサービスは今後、オリジナル作品に対して自由に手を加えられるように設定する「N次創作機能」や、複数人で共同執筆を行う「共著機能」なども今秋には実装予定だとしている。記者の「同人誌の作成を支援するような機能ですね」という感想に対し、「同人誌は市場の規模が大きく、ビジネスチャンスだと思っているのでサポートしていきたい」(説明員)と答えてくれた。

photophoto forkNメイン画面(写真=左)/ブログを作成する感覚で書籍が編集できる(写真=右)
photophoto 完成したデータはiPadにも出力できる(写真=左)/ジャンルはさまざまな種類を用意。例えばマンガのジャンルはというと……(写真=右)

 ブースでは紹介していないものの、一昨日にリリースした「puble」も面白いサービスだ。Tumblr(Web上の情報をスクラップできるサービス)の記事をピックアップし、EPUB形式に変換してダウンロードすることできる無料のサービスで、作成したEPUBファイルはiPhoneやiPad、電子書籍向けデバイスなどで閲覧できる。「出力されるEPUBのレイアウトはiPadに最適化してあり、iPadで見ると美しいのでぜひ見てみてほしい」(説明員)とのこと。今後、instagr.amなど他のWebサービスをEPUBに変換するサービスも開発してみたいと意気込みを語ってくれた。Seesaaブースに立ち寄る機会があったらぜひ「『puble』ってなんですか?」と聞いてみてほしい。きっと喜んで担当者が出てきてくれるはずだ。

photophoto publeの画面。自分のスクラップが表示されてちょっと恥ずかしい(写真=左)。Seesaaブース(写真=右)

 第15回国際電子出版EXPOの開催期間は7月9日(土)まで。ブースでの展示のほか、セミナー(一部有料)も催されている。初日の会場では夕方になると来場者が一気に増え、非常に混雑したので、早い時間の来場をおすすめする。

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