ロマンス小説の読者は電子出版物をむさぼり読む

ロマンス小説の出版は、紙版であってもなくても、年間10億ドルを売り上げる産業だ。ロマンス小説は電子出版に効果的に移行してきており、「苦悩する乙女タイプのヒロイン」が受けた時代から大きく変化している。

» 2011年07月01日 14時15分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 ロマンス小説の出版は、紙版であってもなくても、年間10億ドルを売り上げる産業である。ファンは自分の好きな著者に一途だが、常に新しい読み物を熱心に求めてもいる。ロマンス小説のブッククラブはメンバーがより多くの作品を強く要求するため、新しい書籍を追加するために読者に出資を求めるモデルで運営されており、いまだに盛況である。そして米国ロマンス小説家会議が現在ニューヨークで開催されており、それらのくだらない小さなペーパーバックが今週の大きなニュースになっている。

 ロマンス小説が電子出版に非常に効果的に移行してきたことには何の驚きもない。読者は膨大な好みのタイトルのライブラリを享受でき、新書籍がリリースされると同時に即座にダウンロードすることもできる。そして、電子出版は読者の欲求に喜んで追随しようとしている。

 幾つかの出版社は紙版で1カ月当たり4タイトルから10タイトルをリリースする一方で、電子版の出版レーベルは1週間当たり4タイトルをリリースしている。本日のリポートによると電子書籍市場では紙版で絶版になったタイトルの再利用による売り上げが急上昇しているという。

 多くの主要な出版社のロマンス小説出版レーベルはこの電子読書に対する愛を熱心に受け入れようとしており、さらにその興奮を著者との前代未聞の契約に置き換えようとしている。幾つかの電子書籍部門、例えばロマンス小説のリーダーであるHarlequinの電子書籍専門レーベル、Carina Pressは、市場に本を出すために掛かる時間を迅速化するために著者が前払金なしで了承するならば、前代未聞の著作権料――時には定価の30%にも上る――を提示さえしようとしている。Random HouseはBantamのLovesweptレーベルから電子書籍形式で古いタイトルに再び火をつけようとしている一方、Amazon.comの新出版事業はすでにそのロマンス小説部門であるMontlake Romanceレーベルを設立済みだ。

 「ロマンス小説のジャンルは官能的なロマン小説のころから大きく発展したわ」と、近刊予定の小説、「Burn Me」のほか、「Awaken」「Blue Lotus」の著者でもあるシェリー・ワッターズ氏はコメントする。

 「こんな本を覚えているかしら。ファビオが気絶しそうな女性を抱き抱えていて、彼女の服はほとんどずり落ちそうになっているの。変わったのはもちろんカバーだけではないんだけど、イラストがシャツを着ていない男だけに移り変わって、それかもっといいのは、強い女性のキャラクター自身が、火炎放射器を振り回しているような何か素晴らしいことをしているの。ロマンス小説のヒロインも大きく成長したのよ。20年から30年前は、苦悩する乙女タイプのヒロインを設定するのが普通だったんだけど、そこではヒーローがいつもヒロインを救って、ヒロインはヒーローなしではいられないの。今では、キャリアも、目標も、強い野心もあって、おまけに自立していて、意思が強くて自分のことはきちんと自分で対処できる強い女性キャラクターが登場しているの。実際に、読者もすごく成長しているから『苦悩する乙女タイプのヒロイン』はたいてい読者からの評価が低いわね。読者は強いキャラクターを求めているの。そして、自分のことは自分で対処できるだけでなく、最後には恋を見つけるヒロインを求めているの。それは難しいバランスだけど、正しくバランスが取れるのなら素晴らしいわ」

 「ロマンス小説のファンは本を間違いなく貪り読んでいるわ。実際、わたしもその1人よ。そして、電子書籍リーダーは本を読むことだけじゃなくて、いつでも読める本をいつも山積みしておくことももっと簡単にしているわね。わたしの意見では、ロマンス小説のジャンル、特に電子書籍版のロマンス小説の売り上げは飛躍的に伸びつづけると思うわ。それは、ロマンス小説を読むことを恥だととらえる人もいるけれど、もっと多くの人がそのジャンルの小説を読んで、書き言葉によるただのポルノじゃないということが分かれば、そういう感覚も小さくなっていくからだと思うからなの」

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