FIVEGIVES、書籍のスキャン代行サービス「ECOBOOK」を開始

FIVEGIVESは、5月から試験的にサービスを提供していた書籍のスキャン代行サービス「ECOBOOK」を正式オープンした。

» 2011年06月27日 20時38分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
ECOBOOK ECOBOOK。スキャン品質などは機会があれば別途紹介したい

 FIVEGIVESは6月27日、5月から試験的にサービスを提供していた書籍のスキャン代行サービス「ECOBOOK」を正式オープンした。

 サービス形態は、都度注文の単品会員プランと、月額900円から2万5000円まで5つのタイプが用意された月額会員プランの2種類が用意されている。前者の価格は1冊100円(OCRなどオプション除く)で、後者は最大で月120冊までのスキャンに対応する(月額2万5000円のプランはフルオプションサービス)。

 このほか、Amazonで購入した書籍を直接ECOBOOKに送付することで納期を短縮するサービスや、スキャンした書籍データの暗号化サービスも用意している(ただし、後者はサイト上にその文言は見られない)。さらに、書籍データを制限なく保管可能なストレージも無料で提供するとしている。

 スキャン対象書籍はISBNコード、雑誌コード、ISSNコードのいずれかの記載がある書籍に限定しており、A3サイズのものまで受け付けている。表紙のスキャンには対応していないが、同社弊社管理用のサムネイル画像を無料で利用できるとしている。また、雑誌のスキャンにも対応しているが、こちらは50ページ50円に設定されている。

 こうしたスキャン代行サービスで常に話題となるのが法的懸念。著作権法第30条1項では、著作物の私的使用を目的とする場合は、その使用する者が複製することができると定められているが(強調は筆者)、業者が代行する場合は、複製の主体が業者となってしまうため法的懸念が存在する。このほかにも、著作権法に明記されている「自動複製機器」の定義にも幾つかの見解が存在しているが、多くのスキャン代行業者は著作権法の附則5条の2で「当分の間、30条1項1号の『自動複製機器』には、『文書又は図画の複製に供するもの』は含まないものとする」と規定されているものを好意的に解釈し、サービスを提供しているのが現状だ。

 これまでeBook USERでは、TSUTAYAみなとみらい店の「BOOK ON DEMAND」や、東京・秋葉原の「自炊の森」をはじめ、幾つかのモデルケースを示しながら法的懸念について触れてきた。ECOBOOKは後発のサービスだが、サイトを見る限り、こうした法的懸念に対する新たな回避策は用意されていない。特に、複製の主体が業者であるのは自明で、かつ、対象書籍がISBNコードなどが付与されたものに限定していることから、版元からの訴訟リスクは一定量存在する。判例が存在するわけではなく、現状ではグレーゾーンのままだが、こうしたリスクは理解しておくべきだろう。

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