電子書籍スパムが電子出版業界を終焉に導くかもしれない

スパム電子書籍が電子書籍の可能性を揺るがしている。Amazon.comをはじめ、多くのプレイヤーが頭を悩ませている問題は今後さらに大きな問題となっていくのだろうか。

» 2011年06月24日 17時27分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 電子書籍リーダーがはじめて出現したとき、批判的な人々はまったく流行らないだろうと断言した。その主張は、多くのプラットフォーム上で電子書籍が紙書籍の売り上げを上回っているというニュースを踏まえれば、今や葬り去られたといえる。


 しかし、電子書籍産業は深刻な脅威に直面している。その脅威とは、スパムあるいは海賊版といった手法であり、読者に所有する電子書籍リーダーを放棄させ古き良き時代の紙のテキストへ回帰させるには十分な脅威である(「スパムおよび海賊版電子書籍がAmazon Bookstoreで拡散」、GoodEReader.com、2011年6月17日)。

 これらの不道徳なファイルをアップロードする人々の究極的な目標は期せずして、おおよそ1ドル以下の価格に設定することで購入者の邪魔をしてしまうことにある。十分な人々が餌に食いつき十分な売り上げが得られるなら、盗作されたり再流通目的でプライベートレーベルライトを通じて購入された文書を投稿した人は、一文字も書かずに少額の利益を上げることができてしまう。

 「それは深刻さを増す問題で、小売りの本棚を低品質で代わり映えしないコンテンツで詰まらせてしまう恐れがある」とSmashwordsのCEO、マーク・コーカー氏は電子書籍産業への差し迫った脅威について述べている。「電子書籍の出版プラットフォーム、流通業者と小売業者はより厳格な審査基準を施行し、スパム業者にとってスパム電子書籍の出版を不利益になるようにしなければならない。Smashwordsでは、おそらく業界で最も厳しい審査基準を持ち、結果的にスパム電子書籍をカタログから除去することに大きな成功を収めてきた。しかし、われわれが却下している同じコンテンツがしばしばスパム業者によって審査基準がそれほど厳しくない小売業者独自の流通プラットフォームに直接アップロードされている」

 ドイツの電子印刷プラットフォームXinXiiの創設者アンドレア・ショーバー氏は、欧州の電子書籍マーケットでもスパムまん延の影響を目撃してきたと話す。

 「初日から、われわれもまた再販書籍という形でスパム電子書籍に直面してきた。今や、何百万人もの読者へのアクセスとほとんど存在しない出版への壁によって、スパムと海賊版電子書籍の問題はますます大きくなっている。電子出版プラットフォームはその評価プロセスを早急にアップグレードする必要があるが、スパム業者はおそらく常に一歩先を行っていることだろう。

 XinXiiでは、スパム電子書籍はわれわれの契約条件により厳しく排除されており、プライベートレーベルライト(PLR)電子書籍と再販権付きの電子書籍はわれわれのWebサイトでは許可されていない。技術的手段と人的制御により、われわれはすべてのアップロードを監視し記録している。統計的に極端な値やほかの例外の場合、その作品は詳細に調査される。われわれはすべてのアップロードを日次で確認しており、「不適切としてフラグ」ボタンがこのプロセスに非常に役立つ。確認されたスパム電子書籍は削除され、アカウントは即座にロックされる。

 経験に基づいて、われわれは不正な電子書籍をアップロード後すぐに検知するようにプロセスを強化してきた」

 「ここで本当に問題なのは」とコーカー氏は続ける。「スパムが小売業者の棚に並ぶ前にフィルタリングを支援する流通業者の重要性を示すことだ。われわれの小売りパートナーがこのことに感謝しているのを知っているし、読者たちもまた同様に感謝している。スパム電子書籍は電子書籍の可能性を揺るがしている」

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