グローブコム、スキャン代行サービス「自炊代行ドットコム」を立ち上げ

グローブコムはスキャン代行サービス「自炊代行ドットコム」を立ち上げた。

» 2011年06月15日 21時10分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 書籍の電子化を代行する業者がまた1社登場した。グローブコムが立ち上げた「自炊代行ドットコム」だ。

 社名にもなっている「自炊」とは、漫画や文庫本、学術書やマニュアルなどの書籍を裁断してスキャンすることで電子化する行為を指して近年用いられることが多い用語。この自炊をユーザーに変わって行う、いわゆる「自炊代行業者」は2010年ごろから話題となっている。

 数ある自炊代行業者の中で、自炊代行ドットコムが競合との差別化ポイントして挙げているのが「再スキャン保障」「詰め放題」「送料無料」。再スキャン保障により、書籍をスキャンする際に起こりやすい「ページとび」や「ライン写り」などの事象に対応するため、一定期間内であれば「無料」で再スキャンできる。

 詰め放題は、まとめて送ることで1冊当たりのサービス単価が安くなるというもの。さらにOCRが標準で付いてくるメニューも用意されている。

 書籍の「自炊」を代行するいわゆる自炊代行が著作権法に違反するかどうかは、まだ判例が出ておらず、いわばグレーゾーンだ。版元の中からは、紙で出版される書籍の巻末に「著者は本書の自炊代行業者によるデジタル化を認めおらず、そうした行為は著作権法違反であるという旨を記載し始めたところも出てきており、こうした業者との一触即発の雰囲気がある。

 しかし、現時点での結果だけで見れば、自炊代行業者は乱立傾向にある。グローブコムも、「個人が有する権利の行使」を手伝っているだけで、まったく違法性はないと主張、営業している。

 ちなみに同社は、裁断機とスキャナといった機材とスペースをユーザーにレンタルする「SCAN PARK」というサービスも提供している。代行が問題であれば、ユーザーが自分で作業するための適した環境“だけ”を提供する、というこのサービスは、法的な懸念を感じるユーザー向けのものだ。

 eBook USERでも過去に「スキャン代行サービス」大研究という特集で、サービスの現状や、実際に各業者に発注してサービスの内容を具体的に検証した。興味がある方は関連記事をご一読いただきたい。

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