次に、実際に使ってみた上での操作性について見ていこう。
Optimus Padは、デュアルコアCPUであるNVIDIA Tegra2(1GHz)を搭載していることもあるが、タッチ操作による動作は軽快だ。GALAXY TabのようなAndroid 2.x系のタブレットや、Windows 7マシンでのマルチタッチ操作と比べると、その反応の良さは雲泥の差がある。
ただ、スクロールなどの動作では、スペックが基本的に同一であるはずのXOOM Wi-Fiに比べて若干もたつく印象だ。特にブラウジングではその傾向が顕著で、フリック操作を空振りしたり、指先の動きに画面が追従しないことがまれに起こる。これを筆者の感覚的なものとして無理矢理数値化するならば、iPadの反応を100とした場合、XOOM Wi-Fiが90、Optimus Padが70くらいという印象だ。メニュー周りの操作では特に問題が見られないため、個々のアプリとのチューニングが完全ではないのかもしれない。
なお、Quadrant Professionalを用いたベンチマークの測定結果は以下の通りだ。これを見ると、XOOM Wi-Fiとまったく同じ傾向で、全体的には高いパフォーマンスを示すものの、2Dの性能については、従来のAndroid 2.x系列のスマートフォンなどと大差ない。フルHD動画が撮影できたり、HDMI端子で外部ディスプレイに出力できるといったマルチメディア志向のタブレットであることを考えると、こうした傾向はやや不本意ではあるだろう。もっとも、ハードウェアのスペックそのものが低いというわけでないので、チューニング次第で評価が一変してもおかしくはない。すでに発表されているAndroid 3.1への対応も含め、今後の対応に期待、ということになるだろう。
というわけでざっと使ってみたが、個人的にはハードウェアのスペック以上に、他にないサイズであることに魅力を感じた。8.9インチという画面サイズは、iPadの9.7インチよりも小さく、GALAXY Tabの7インチよりも大きい。サイズを主眼に置いてタブレットをチョイスしたいユーザーにとっては、思わぬ伏兵になる可能性はある。
XOOM Wi-Fiと比較した場合も、このサイズの違いが大きなポイントとなる。ハードウェアスペックが似通っていることもあり、現状だけで決めるのであれば「8.9型で3G回線を搭載するOptimus Pad」「10.1型で3G回線のないXOOM Wi-Fi」というパラメータで、製品を決めても問題ないだろう。
一方で残念なのが、サイズに比べると厚みがそこそこあること。また前述のようにベンチマークテストで動画再生のパフォーマンスが低い点が挙げられる。後者については今後Android 3.0への最適化によってパフォーマンスが改善されることを期待したい。
逆に言うと、タブレットの利用目的がはっきりしていて、それが動画再生を中心とした用途なのであれば、アップデートによるパフォーマンス改善の兆候が見られるまでは静観するのも賢明だろう。また、フルHDの動画や3D動画が撮影できるのは楽しいが、それらは本体ディスプレイでは観られず、HDMIでの外部出力が必須になるので、こうしたマルチメディアユースを重視する人は、それらも考慮しておいたほうがよさそうだ。
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