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» 2011年04月07日 16時15分 UPDATE

知の老舗の英断:丸善出版、放射線や災害関連の書籍をPDFで無償公開

丸善出版は、東日本大震災を受け、「放射線」「災害」「心理学」の各分野に該当する同社刊行の書籍をPDFで無償公開した。万人に強くお勧めしたい。

[西尾泰三,ITmedia]

無償公開されたPDFの中でも質量ともにトップクラス

 丸善の出版事業を分社化して誕生した丸善出版は、東日本大震災を受け、「放射線」「災害」「心理学」の各分野に該当する同社刊行の書籍をPDFで無償公開した。現在、同社ホームページで7タイトルが公開されている。

tnfigm1.jpgtnfigm2.jpgtnfigm3.jpgtnfigm4.jpgtnfigm5.jpgtnfigm6.jpg PDFで無償公開された書籍。このほか「応用心理学事典」が公開されている。

 放射線関連では、放射線の受け方、受ける量などによる影響を、身のまわりの具体的な話題の中からまとめた「身近な放射線の知識」、放射線と医療に関する広範な話題を紹介した「知っていますか?医療と放射線 放射線の基礎から最先端の重粒子線治療まで」を公開している。

 心理学関連では、「応用心理学事典」「ACP内科医のための『こころの診かた』ここから始める!あなたの心療」のほか、スリーマイル島やチェルノブイリでのストレスによる影響はどのようなものだったのかなど、ストレスに関係するあらゆるトピックやその派生的影響も合わせて、17領域、545項目で構成された「ストレス百科事典」を公開している。

 このほか、1冊で科学の全分野を網羅するデータブック「理科年表 平成23年版」や、月刊物理科学雑誌「パリティ」から、チェルノブイリ事故の影響を中心に、放射線の理解のために必要な知識と、人体への影響、防護のための方策など、放射線と社会との関係を解説した「放射線の危険性と倫理」、東海村JCOウラン加工工場臨界事故を受けて、事故発生とその後の経過、放射線被害の一般論と被ばく作業員の状況や背景となる物理科学を、放射線防護の視点から解説した「臨界事故と放射線防護」などを公開した。

 福島第一原子力発電所で起こっていることとは状況が異なる部分もあるとはいえ、放射線の理解に必要な知識と、人体への影響がよくまとめられている。目に見えない放射能やその長期的な影響を心配しているのなら、一読を強くお勧めしたい。

 丸善出版によると、今回PDFで無償配布がはじまったこれらのタイトルの一部は、画像スキャンでPDF化したものもあるため、多少荒さが目立つかもしれないとしているが、これだけのまとまった情報を無償公開したことは高く評価されるべきだろう。同社では準備ができ次第、タイトルを順次追加していくとしている。

 東日本大震災以後、化学同人、講談社ブルーバックス、岩波書店などは放射線に関連した刊行書籍をPDFで無償公開する動きが盛んだが、今回丸善出版から無償公開されたものは、それらを上回る質量だ。

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